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陸軍航空の情報センター

ベトナムで行われていたドローンの空中回収

J・デイビッド・マクラング

編集者注:これは、ベトナム・ヘリコプター・パイロット協会のニュースレター「The VHPA AVIATOR」の連載記事からの抜粋です。先人の偉業から学んでください!-上級准尉4(退役)ジョー・ピサーノ、1970-1971年にベトナム派遣

1967年にシェパード空軍基地で米国空軍ヘリコプター・パイロット教育課程を卒業した私は、アリゾナ州デービス・モンサン空軍基地の第100戦略偵察航空団(Strategic Reconnaissance Wing, SRW)に配属されました。ベトナムでCH-3ヘリコプターを運用していること以外、その部隊の任務については何も知りませんでした。赴任して最初の週に、経験豊富な上級曹長が部隊の任務について私にブリーフィングを行いました。彼は言いました。「あなたは空中で無人ジェット機を捕まえることになります。」私は笑いながら言いました。「私が少尉だからといって、騙せると思わないでください。ヘリコプターにはそんなことはできませんよ。」彼は微笑んで言いました。「冗談を言っているわけではありません。明朝、あなたには最初の捕獲任務が予定されています。」

第100戦略偵察航空団のCH-3は、ドローン回収任務のために特別に改造されていました。ランプは取り外され、貨物エリアの重心位置に大型の油圧ウインチが追加されていました。フレームに穴が開けられ、ウインチからヘリコプターの後部にケーブルを通すことができるようになっていました。2本のアルミニウム製のポールが後部の開口部から伸び、その先端にフックが取り付けられていました。フックはナイロン製の輪でケーブルに接続されていました。飛行中は、そのポールを下方に伸ばすことができるようになっていました。

ドローンはコンピューター制御のジェット機でした。有人機が行くには危険すぎる場所の非常に詳細な写真を撮影していました。我々が何度も捕獲したうちの1機が、オマハ近郊の戦略航空軍団・航空宇宙博物館(Strategic Air Command & Aerospace Museum)に今でも展示されています。添付の写真は、数年前に私がその博物館を訪れた時に撮影したものです。

ドローンは、南ベトナムの回収エリアに戻ると、大型パラシュートを展開し、降下速度を毎分約1,000フィートまで減速させます。ドローンの上部中央に取り付けられたナイロン製のロープは、大型パラシュートの上に展開する小型パラシュートにつながっていました。ドローンを回収するため、CH-3は60ノットの速度で急降下し、小型パラシュートを捕捉します。ヘリコプターの衝撃吸収ウインチは、ドローンがヘリコプターの後ろに追従するようになるまでケーブルを繰り出します。大型パラシュートがドローンから分離して落下すると、ドローンはヘリコプターの約300フィート下に吊り下げられます。ヘリコプター内のウインチ操作員は、ドローンがヘリコプターのすぐ下に吊り下げられるまで巻き上げます。ヘリコプターはドローンを抱えた状態で、基地に戻るのです。

当時、ドローンで撮影された写真はフィルムに記録されており、現像する必要がありました。デジタル・カメラはまだ発明されておらず、ドローンには電子的に写真を送信する能力がありませんでした。収集された情報を利用するためには、ドローンを物理的に基地に戻すしかなかったのです。

私は1967年、1968年、1969年の3回にわたってベトナムに派遣されました。ダナン空軍基地から200回以上のドローン回収任務を遂行しました。ドローンはC-130輸送機から発進し、北ベトナムの標的上空を飛行し、南ベトナムのモンキー・マウンテン近くの指定された回収エリアに戻ることになっていました。我々の部隊の空中でのドローン捕捉は、成功率が95%以上でした。うまく回収できなかった場合の原因は、さまざまな機械的故障でした。例えば、私が行った任務の1つでは、大型パラシュートがドローンから切り離されませんでした。そのため大きな抵抗が生じ、ウインチ・ケーブルを完全に引き出してしまいました。ドローンは海上に墜落してしまいました。ベトナム戦争後、アメリカ空軍はドローンに着陸装置を追加したため、空中回収システムは不要となりました。今日のドローンは自力で離着陸し、デジタル画像をリアルタイムで送信することができます。

私たちが飛行していたCH-3ヘリコプターは、すべて退役しました。そのうちの1機がユタ州のヒル空軍基地に永久展示されています。他の機体はデービス・モンサン空軍基地の用廃機保管場所である「ボーンヤード」に移されました。

あれから50年が過ぎた今、他の人にベトナム戦争で私が行ったことを話すと、たいていの場合、同じような反応が返ってきます。「ベトナムでドローンを使っていたなんて知らなかった」当時、我々の任務は極秘扱いでした。北ベトナム軍が米軍機5機を撃墜したと主張した時のことを覚えています。米国は「それは間違っている。3機だけである」と返答しました。北ベトナム軍の数えた機数には、ドローンも含まれていたのです。ベトナムでのドローン作戦については長年にわたって少しずつ明らかにされてきましたが、まだお話できない部分もあります。

J. デイビッド・マクラングはカンザス州オレイシに住むVHPA(ベトナム・ヘリコプター・パイロット協会)の終身会員です。

                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2025年03月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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