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陸軍航空の情報センター

事故調査報告:飛行中のエンジン停止

「下方エンジン・チップ」のメッセージを受信してから約2分半後、OH-58Dのエンジンが停止した。機体はオートローテーションに入り、未舗装の地面にハード・ランディングして大破し、2名が重傷を負った。

飛行の経緯

事故機は、2機のOH-58Dで構成されるスカウト・ウェポン・チームのうちの1機であり、その任務は指定地域(NAI、Named Areas of Interest)の航空経路偵察および警備であった。搭乗員は現地時間0600に勤務を開始し、0630時にミッション・ブリーフィングを受けた。チーム・ブリーフィングは0700に行われ、その後、個別のクルー・ブリーフィング、プリフライト(飛行前点検)、ランナップ(地上試運転)が行われた。気象予報は快晴で、視界を妨げるものはなかった。風速は2ノットでバリアブル(変動あり)、気温は36℃だった。

編隊は現地時間0900に出発し、事故機が先頭機となって対地高度(AGL, Above Ground Level)約200フィートを飛行し、後続機はAGL約300フィートを飛行していた。任務の最初の段階はブリーフィング通りに進んだ。1時間半後に給油のため帰投し、1040に離陸して作戦を再開した。現地時間およそ1047、先頭機は後続機に対し、「下方エンジン・チップ」のメッセージが多機能ディスプレイ(MFD, Multi-Function Display)に表示されたと伝えた。基地へ帰投することが決定された。現地時間1049、AGL150フィート、対気速度90ノットでエンジンが停止した。搭乗員は、高さ6から8インチ(約15~20センチメートル)の畦(あぜ)に囲まれた、柔らかい土の耕作地に向けオートローテーションを実施した。着陸シークエンス中に、その畦に衝突して、前方のクロス・チューブが分離し、胴体が地面に接触して、左に横転した。機体は大破し、搭乗員は重傷を負った。

搭乗員の経験

右席に座っていた機長(PC, Pilot in Command)は、総飛行時間3,800時間以上、OH-58Dでの飛行時間は3,600時間で、そのうち975時間は標準化操縦士/教官操縦士(SP/IP, Standardization Pilot/Instructor Pilot)としてのものであった。操縦士(PI, Pilot)は、総飛行時間が750時間以上で、OH-58Dでの飛行時間は680時間であった。

所見

事故調査委員会は、事故機のエンジンが飛行中にエンジン故障を起こしたと断定した。故障の原因を特定するため、エンジンは分解分析のために送られた。

この報告書に含まれるすべての情報は、事故防止目的でのみ使用されるものである。米国陸軍戦闘準備センター(USACRC, U.S. Army Combat Readiness Center)の事前の承認なしに国防総省(DOD, Department of Defense)の外部に配布してはならない。完全な予備報告書は、CRC RMISの事故概要予備事故報告書(https://rmis.army.mil/rmis/asmis.main1)でアクセスできる。AKOのパスワードとRMISの許可が必要である。

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2012年07月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    2012年の記事です。