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陸軍航空の情報センター

フォーラム:小型無人システム装備部隊の拡大に伴う問題とその対策

論説、意見、アイデア、情報

上級准尉3 ミッチェル・ヴェイノ UAS准尉/情報運用
第578旅団工兵大隊D中隊第1分遣隊
カリフォルニア州キャンプ・ロバーツ

ここに表明された見解は専門的な議論を喚起するためのものであり、アメリカ陸軍またはアメリカ陸軍コンバット・レディネス・センターの方針を示すものではない。

アメリカ陸軍が近代化を進め、殺傷能力を向上させる中、今後数年間の主な焦点の一つは、大隊レベル以下のすべての階層におけるSUAS(小型無人航空機システム)能力の向上に置かれています。現在発生している紛争や交戦では、これらの階層へのSUASの導入が戦闘に絶大な効果をもたらしています。その一方で、下位階層でのUAS(無人航空機システム)の能力向上は、空域内で必要となる管制上の措置や安全上の考慮事項の理解に重大なギャップを生じさせています。

この問題は今に始まったことではありませんが、システムの配備数が増加するに従って、さらに拡大されつつあります。こういった考慮事項などへの理解の不足は、航空科以外の部隊において特に顕著です。アメリカ軍は、将来的に、このリスクをどのように軽減してゆくべきなのでしょうか?航空についての実経験がなく、自分たちのシステムがそれにもたらす影響を理解できていない部隊が、一体どうすればそのような経験や知識を養えるのでしょうか?

私自身は、それらの部隊において、SUASの使用に関する教育や訓練が不足しがちな状況を目のあたりにしてきました。与えられた空域が十分に周知されていないことが多く、運用制限空域(ROZ)が任務に対して小さすぎ、戦場の知識が不足し、緊急時の衝突回避に必要な通信能力が不足しています。これらは、特に複雑な訓練環境において問題となります。さらには、州兵に固有の問題もあります。国内作戦支援の際に必要となる空域の区分、小型無人航空機システム(SUAS)に課せられた制限、関連する調整手段などを理解できていない部隊が多いのです。

この問題に対する解決策の一つは、アメリカ陸軍の部隊にすでに存在しているのではないでしょうか。アメリカ陸軍のほとんどの旅団には、UAS(無人航空機システム)の特技を持った者がいます。150U(UAS准尉)と15W(UAS操縦士)です。これらのUAS特技者は、過去数十年にわたり、主にRQ-7シャドウUASの操縦士として勤務してきました。大隊に配備されているSUASシステムの管理や操縦に従事してきた者はあまりいませんが、UASに関して最も高い経験と知識を有している兵士たちです。その兵士たちで構成されるUAS小隊は、戦場でUASを運用する際の空域、作戦、基準および安全性について、十分な知識を有しています。

RQ-11RQ-7が廃止される今こそが、それに関わってきた兵士たちや小隊を使って、強力かつ安全なSUASプログラムを作り上げる絶好の機会です。歩兵、工兵、憲兵、その他の組織は、150Uや15Wの特技を有する者たちほどには、訓練や経験ができていません。このため、自分たちのシステムを空域内で飛行させる際に必要な安全対策や要求事項について、十分に理解できていない場合が多いのです。UASの特技者であれば、従来機のために維持してきたプログラムを活かし、SUASプログラムに関する教育やその設計などを支援できます。150Uや15Wの特技を有する者たちに新しいSUAS機の資格を付与することで、そのためのプログラムを最適化し、発展させる方法についての理解を深められるでしょう。そのためには、そのために必要な時間、資源および人員の割当を上級指揮官が承認し、SUASプログラムが効果を発揮できる環境が整えられなければなりません。新しい機体の配備を待っているUAS特技者たちを、UAS以外の任務に就かせることには、長年の経験で得られた知識や技量を低下させてまうリスクがあります。SUASプログラムに既存の専門知識や知見を活用することは、最善の行動方針の一つなのではないでしょうか。

これらの新しいシステムの多くは、回転翼航空機と同じ低高度を飛行することから、有人機部隊も、これらのプログラムの確立に関与することが求められます。航空科部隊とBCT(旅団戦闘チーム)とが協力し合い、最低限の安全対策を確立することが必要です。そのための最適な方策は、BCT内に既に存在する旅団航空科部隊や150U特技者を活用することかもしれません。航空科部隊であれば、SOP(作戦規定)やTTP(戦術・技術・手順)の監修や評価も支援することができます。

各部隊の指揮官は、UAS特技者や航空科部隊の支援を受けることで、下層の部隊に至るまで、強力な教育訓練プログラムを作り上げることができます。また、それらが有する経験を適切に維持し活用することで、将来の問題を軽減しつつ、強力かつ殺傷力の高いUAS部隊を維持できるようになります。この取り組みを可能にするため必要なのは、全階層の指揮官がこの方策に賛同し、各部隊のUAS特技者が旅団全体のSUASプログラムの確立に積極的に取り組むことなのです。

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2024年11月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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