AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

チームの重要な一員

上級准尉2 ジョサイア A. ジョン
第16戦闘航空旅団 第158強襲ヘリコプター連隊 第2大隊 A中隊
ワシントン州 ルイス・マコード統合基地

それはいつもどおりの飛行任務でした。私が機長を務めるUH-60には、副操縦士である上級准尉に加えて、後部座席にはクルー・チーフである特技兵と、ガナーである軍曹が搭乗していました。戦闘巡回の最終区間を飛行していると、夜が更けてきました。気象予報では若干の天候悪化が予想されていましたが、ブリーフィングで示された最低気象条件の範囲内だったため、指揮所は飛行の継続を承認しました。

支援基盤に向かって帰投中に出くわしたのは、敵の組織的な待ち伏せ攻撃でした。敵の最初の弾丸が油圧デッキに命中し、パイロット・アシスト・モジュールの機能を停止させました。続く敵弾はトランスミッションセクションに着弾し、スタビライザーの自動制御装置を破壊しました。幸運なことに、スタビライザーは手動で制御することができました。

なんとか敵の攻撃から逃れることができたものの、その間にさらに複数の銃弾がコックピットに撃ち込まれ、副操縦士が死亡しました。直ちに操縦桿を握った私は、無線で緊急事態を宣言するとともに、後続機に状況を通報しました。空を見上げると、最低条件を超えることはないと予想していた天候が急激に悪化していました。気づいたときには、IIMC(inadvertent instrument meteorological conditions、予期せぬ天候急変等による計器飛行状態)に陥っていました。

幸運なことに、これは機長の技量評価の一環として実施されたシミュレーションでの出来事でした。私はこのシミュレーションから、重要な教訓を学びました。それは、後部座席の搭乗員を飛行に参加させることがいかに重要かということです。パイロットは、任務遂行のため、すべての搭乗員を統合させなければなりません。訓練・計画段階から任務終了後のAAR(after-action review、事後検証)に至るまで、任務のあらゆる側面に全員を可能な限り関与させる必要があるのです。そのためには、少なくとも搭載航空電子機器の基本的な操作について、あらかじめ訓練を行っておくことが必要です。

先に述べたシミュレーションにおいては、安全帯を装着した搭乗員が、センターコンソールの後ろ側からGPSに進入に必要な諸元を入力しようとしていました。私は油圧系統が損傷した機体を飛行させながら、その搭乗員に必要な進入経路をGPSに設定する要領を説明しなければなりませんでした。任務開始前にほんの数分の地上訓練を行っていれば、その必要がありませんでした。そうしていれば、はるかに少ないストレスで対応できたはずでした。

また、定期的に行われるパイロットの訓練にパイロット以外の搭乗員を参加させることも有益でしょう。パイロット以外の搭乗員も機体の概要については教育を受けますが、教育科目が航空力学や緊急操作などパイロット特有のものになると、その意思にかかわらず自分の任務に戻されてしまいがちです。

加えて、任務の計画作成やブリーフィングも、多くの場合、パイロット以外の搭乗員を除外して行われます。パイロット以外の搭乗員が飛行任務の経路を把握できていないと、予想される脅威に対する警戒が不十分になりがちです。航空機の側方や後方など、パイロットからは見えない方向を監視できる後席の搭乗員は、飛行安全の確保に重要な存在です。任務ブリーフィングにすべての搭乗員を参加させれば、潜在的な脅威をより効果的に把握することが可能になるのです。

他にも方法はありますが、いずれにしても、パイロット以外の搭乗員も飛行任務に積極的に参加させるべきです。すべての搭乗員は、任務開始前の計画段階から任務終了後のAARまで、チームの重要な一員なのです。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2024年10月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

アクセス回数:217

コメント投稿フォーム

  入力したコメントを修正・削除したい場合やメールアドレスを通知したい場合は、<お問い合わせ>フォームからご連絡ください。