書籍紹介:無人暗殺機ドローンの誕生
米軍を再編し、現代戦を再形成し、航空界に革命を巻き起こしたプレデター無人機の誕生秘話
地球の反対側にいるオペレーターが操縦して、敵に忍び寄り、それを殺害できるという、歴史上初めての兵器の創造がもたらしたのは、単なる技術の発展だけではなかった。リチャード・ウィッテルが本著「プレデター」で示したように、それは軍事および航空宇宙工学の歴史上、もっとも意味深い開発のひとつなのである。
壊れやすい「おもちゃ」としてしか認識されていなかった「ドローン」は、その活躍の場が長きに渡って限定されてきた。プレデターの開発は、ほぼあらゆる局面において軍事組織からの抵抗を受けてきたが、これを打破しようとするごくわずかな者たちが、この新しいテクノロジーがその誕生において窒息死することを阻止した。プレデターの開発に関わった主要な人物には、ロスアンゼルスのガレージをドローン研究室に改築した元イスラエル発明家、共産主義との戦いを援助するためにこの革新的兵器を販売した億万長者の兄弟、軍の大勢派に頑強に抵抗しようとしたふたりの戦闘機パイロット、「スネーク」というニックネームで呼ばれた悪賢いペンタゴンのオペレーター、および「ビック・サファリ」として知られる空軍の秘密組織の構成員などが含まれていた。そして、2001年、ある空軍チームがCIAの要請によるドローン攻撃を成功させると、軍のドローンに対する見方は、一夜で劇的に変化したのであった。
5年間に及ぶ調査と、年百人もの関係者からのインタビューに基づいて執筆された本書「プレデター」は、戦争の方法を永遠に変え、航空界に新たな時代のドアを開いたこの革命的兵器の創造に関するドラマチックな裏話を明らかにするものである。
出典:Predator, Amazon.co.jp 2015年09月
アクセス回数:3,169