オスプレイ反対 配備直前決起大会

2025年6月1日、スポーツパーク川副体育センター(佐賀市)で行われた「第12回オスプレイ反対 配備直前決起集会」に参加しました。
これまでも各地での反対集会に参加してきましたが、今回の集会が他と決定的に違っていたのは、会場に日の丸が掲げられていたことです。「日本という国を大切にしよう」という志のある方々の発言には、他の集会以上の重みを感じました。今後も、反対派の方々のお気持ちが揺らぐことは絶対にないでしょう。
オスプレイ問題だけではなく、すべての政治的問題がそうですが、賛成派も反対派も間違ってはいません。双方が相手の意見に耳を傾け、妥協点を見出していく以外に解決の手立てはないと思います。私自身はその中において、正しい情報を分かりやすく提供するという自分の役割を引き続き果たしてゆきたいと思います。
以下は、私が聞き取った発言内容をまとめたものです。
開会挨拶(オスプレイ反対住民の会会長 古賀初次氏)
2014年からオスプレイ反対運動を続けてきたが、駐屯地開設が決定されたことに深い悔しさを感じている。問題となっている土地は、漁業者一人ひとりに配分されたものであり、所有権も侵害されている。
かつて豊かな漁場だった有明海は、海苔の不作や魚介類の減少、駐屯地からの排水問題などで「死の海」へと変わりつつある。国の対応は生ぬるく、訴えを真剣に受け止めていない。佐賀県に対して繰り返される100億円規模の交付金は、県民を愚弄するものだ。諫早湾干拓地の開門と駐屯地建設の差し止めを強く求める。
オスプレイ配備阻止に向けての裁判状況報告(弁護団長 東島弁護士)
申し立てた駐屯地建設工事差止めの仮処分は却下されたが、本裁判は継続中である。さらに市民原告訴訟も起こしている。裁判所は、土地の所有権は漁協にあり、オスプレイ墜落の具体的危険性が証明されていないと判断したが、土地改良法や過去の県議会答弁を根拠に反論している。
農地であった土地を漁協が取得することには法的問題がある。屋久島沖でのオスプレイ墜落事故を見ても、原因不明のままの危険な機体であることは明らかだ。今後の裁判では、オスプレイ移駐に伴う差し止め対象工事の追加や請求趣旨の変更を検討している。
戦争被害が起きてからでは裁判所は救ってくれない。被害が起こる前に国が戦争に向かう行為を止めるべきだ。司法の役割を問い、支援の拡大を呼びかける。
講演「軍事優先の戦争準備と佐賀空港オスプレイ基地問題」(ジャーナリスト 吉田敏浩氏)
佐賀空港へのオスプレイ配備強行は、憲法が保障する財産権や人格権(生命・自由・幸福追求権)を侵害するものである。オスプレイの危険性、騒音・低周波音被害への懸念を無視した配備だと批判せざるを得ない。
南西諸島から九州にかけて進む軍事要塞化は、アメリカの対中国戦争を見据えた戦略の一環であり、佐賀の基地もその一部である。このような軍事優先政策は、国策への協力を当然視する空気を醸成し、憲法で保障された人権を解体する国の企みだ。
さらに懸念するのは、日米同盟強化の名の下に自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれ、アメリカの戦争に巻き込まれる危険性である。軍事費増大による国民生活への負担増、武器輸出で利益を得る軍産複合体の存在も見過ごせない。
アジア太平洋戦争の教訓として、日本が戦争の加害者・被害者双方の歴史を持つことを踏まえ、憲法9条の意義を強調すべきである。東アジアでの戦争回避のための外交努力を怠り、軍拡競争を煽る現状は容認できない。
中国による台湾侵攻の可能性は現状低いと考えているが、偶発的衝突のリスクや、日本の政治家がいたずらに台湾有事を煽ることの危険性を指摘したい。
佐賀のオスプレイ基地反対運動は、軍事優先社会がもたらす人権侵害や戦争のリスクを社会に知らせる「炭鉱のカナリア」としての重要な意義を持つと評価している。
各界からの報告
平田のぶきお氏(有明訴訟原告)
大浦から参加した。有明海の深刻な漁業被害を訴えたい。かつて豊かだった漁場は、平良木や竹崎カニ、車エビなどが激減し、海底調査では硫化水素が発生している状況である。
国の特措法に基づく環境保全事業や100億円の加速化交付金についても、「言葉だけで人を騙すもの」だと効果を疑問視している。開門こそが唯一の解決策である。オスプレイ配備による騒音被害が、魚の産卵場を破壊し、さらなる漁業衰退を招くと懸念している。
有明海の問題は漁業者だけでなく、地域経済全体の問題である。国に対し断固として戦う姿勢を示す。
飯島教授(名古屋学院大学)
沖縄で行われた軍事演習「アイアン・フィスト」に注目している。佐賀のオスプレイ部隊が長崎・大分の水陸機動団を戦地へ輸送する役割を担うと分析しており、佐賀が戦争に組み込まれている実態を指摘したい。
自衛隊が戦死者の搬送訓練まで行うなど、安保三文書の下で戦争準備が進んでいる現状に危機感を抱いている。辺野古の米軍基地建設問題のように、佐賀が「夜逃げの二の舞」になる可能性を警告する。
憲法前文の平和的生存権に言及したい。オスプレイ配備による攻撃対象となる恐怖自体が権利侵害だと考えている。佐賀の住民による抵抗運動を高く評価し、今後も諦めずに活動を続けることの重要性を説きたい。
発行:Aviation Assets 2025年06月
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