航空アナリティクス・ダッシュボード
USACRCが航空部隊向けの新たな事故防止ツールを運用開始

USACRC(U.S. Army Combat Readiness Center, 米国陸軍戦闘即応センター)は、2024年10月1日から「航空アナリティクス・ダッシュボード」の運用を開始した。このツールは、各級部隊の航空安全士官にタイムリーかつ包括的な情報を提供し、事故防止活動を支援する。
USACRCの航空分析・予防部長であるショーン・M・オコンネル中佐によると、航空アナリティクス・ダッシュボードは旅団から中隊までのすべての航空安全士官による事故防止データへのアクセスを可能とし、指揮官による安全プログラムの管理を支援することを目的としている。
航空安全士官は、このダッシュボードを利用することで、ASMIS(Army Safety Management Information System, 陸軍安全管理情報システム)2.0のデータを活用した分析結果を導き出すことができる。また、事故データを視覚的なグラフやチャートで表示することで、任務に関する説得力のあるレポートを作成できる。
オコンネル中佐によると、最新技術を駆使したこのダッシュボードは、過去数十年にわたるクラスA~Cの航空事故に関する情報を使いやすい形式で分類し、機種、部隊、場所、期間、原因、事象などに応じた事故の傾向を提供することができる。
「この新しいアプローチにより、事故に関する情報を理解しやすく使いやすい視覚的形式で共有できます。航空安全士官は複数のパラメータを選択して検索結果をカスタマイズするだけで、レポート用にエクスポートすることができるのです」とオコンネル中佐は述べた。
「複数のデータ・ポイントを選択することで事故データを相関させ、事故の発生場所や傾向を容易に把握できます。また、発生件数順に事象を並べ替えたりフィルタリングしたりすることで、リスク軽減策を集中させるべき箇所を明らかにできます。そして、最新かつ正確な事故データ(発生件数および発生率)を指揮官に説明することで、リスクを特定し、軽減に必要なリソースを投入できるようになります。」
DAP(Directorate of Analysis and Prevention, 分析・予防局)航空部門のアナリストであるダナ・R・ブリュワー氏によると、このダッシュボードの目的は、事故防止に必要な早期分析ツールを航空安全士官に提供するとともに、USACRCスタッフが陸軍全体について確認しているのと同じ共通状況図を指揮官にも提供し、事故の統計や詳細をタイムリーに把握できるようにすることにある。
「USACRCが現場からのRFI(Request for Information, 情報要求)への回答に日常的に使用しているものを、航空安全士官が利用することには大きなメリットがあります。USACRCはこれまでもデータ解釈のための分析を行ってきました」とブリュワー氏は語った。「これからは、その知識をエンド・ユーザーと共有できるのです。USACRCは専用のMicrosoft Teamsチャネルを通じて航空安全士官にアクセス権を提供します。」
ブリュワー氏によると、USACRC航空アナリティクス・ダッシュボードはMicrosoft Power BIを活用しており、情報を分かりやすい形式で表示することで可能となっている。
航空安全士官がこの新ツールにアクセスするには、CRCウェブサイトの航空セクション(https://safety.army.mil/ON-DUTY/Aviation)にアクセスする必要がある。資格情報が確認されると、MS Teamsチャネルを通じてダッシュボードにアクセスできるようになる。
「また、安全なPower BIモバイル・アプリケーションを利用し、Windows、iOS、またはAndroidのGFE(Government Furnished Equipment, 官給品)携帯電話でどこからでもダッシュボードを閲覧できるようにしました」とブリュワー氏は述べた。「システム内のデータは、国防総省命令6055.07に規定された安全情報の使用、共有、および公開方法に準拠するようサニタイズされています。」
このアプリケーションは誰でも簡単に使えるよう設計されているが、新人の航空安全士官向けにUSACRC訓練・教育部局によるサポートの提供も予定している。ブリュワー氏によると、アプリケーションの操作方法や事故分析サマリーの検索方法を習得するためのトレーニング・ビデオやユーザー・ヒントにアクセスすることも可能になる。
USACRCの指導部は、航空アナリティクス・ダッシュボードの提供に大きな期待を寄せており、陸軍航空における事故防止のための貴重なツールになると考えている。
「航空アナリティクス・ダッシュボードは、分析データの提供方法に、これまでにない大きな飛躍をもたらしたのです。」
出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2025年11月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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この記事は、Flightfax 2024年10月号に掲載された記事が再掲載されたものです。