AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

航空機事故ブリーフ(抜粋)

本稿は、報告された航空機事故の予備報告に基づく情報です。

有人機

H-60

試験飛行操縦士(Maintenance Test Pilot, MTP)の資格を付与するための検定飛行において、搭乗員訓練マニュアル(Aircrew Training Manual, ATM)タスク4228「振動吸収装置点検・調整(A/L/V)」を行っていた。タスク4001が規定するエンジン故障発生時の対応要領を検定するため、整備確認飛行士(ME)がエンジン模擬故障を口頭で通報したのに対し、テストパイロット(Maintenance Pilot, MP)はロックアウト状態から復帰するため第1エンジンのエンジン・パワー・コントロール・レバー(Engine Power Control Lever, EPCL)をアイドル位置まで絞ろうとした。その際に誤って、そのレバーのラッチ解除ボタンを押してしまった。このため、第1エンジンが停止した。テストパイロットは、第1エンジンのエンジン・パワー・コントロール・レバーがアイドルを下回っていることに気付かないまま、レバーを飛行位置側へ進めてしまった。その結果、第1エンジンのタービン・ガス温度(Turbine Gas Temperature, TGT)が制限値を超過した(クラスC事故)。

訳者注:飛行中に意図せず停止した第1エンジンを、正規の再始動手順(点火・回転数に応じた燃料スケジュール制御)を経ずにいきなりFLY位置へ進めてしまったことで、回転数(=空気流量)と燃料流量が釣り合わない状態で燃焼が起き、タービン温度が跳ね上がったものと考えられます。

H-64

整備場において整備作業中、整備員(Servicemember, SM)が航空機のピッチ・ハウジング・アセンブリ4個に修復不能な損傷を与えた。当該隊員は、固着したボルトを取り外そうとした際、マイナスドライバーとボールピンハンマーを使用した(これは、整備実施規定に規定のない手順であった)。これにより当該部品の重要部位が損傷した。交換費用は約82,649米ドルと見積もられた(クラスC事故)。

H-47

火砲を搭載した襲撃任務飛行を実施中、牽引砲を機体から降ろす作業中に当該火砲により機体を損傷させた。搭乗員は、簡易点検の結果、当該損傷が任務遂行に支障を及ぼさないと判断し、演習を継続した。その後の運用は問題なく行われた。しかし、給油のため帰投した際に詳細点検を実施したところ、当該損傷は、その後の飛行を中止せざるを得ないほど深刻であることが判明した(クラスC事故)。

無人機

小型UAS

小型UAS(small Unmanned Aircraft System, sUAS)が離陸中に不規則な挙動を示し、後方の樹木に向かって飛行した後、空中分解して地面に落下した。当該小型UASはテール・ブーム、テール・ローターおよび右側の着陸脚を含む機体全体が損傷し、ペイロード・カメラも破壊された(クラスC事故)。

C-100小型UASの操縦要員・教官訓練中、対地高度(above ground level, AGL)約50フィート(約15メートル)で安定したホバリング状態にあったところ、電動モーター4基が同時に停止した。当該C-100小型UASは急速に高度を失い、アスファルト舗装の駐車場に墜落した。負傷者は報告されていないが、当該小型UASは全損となった(クラスC事故)。

訳者コメント:本記事は、Flightfax 2026年6月号「Selected Aircraft Mishap Briefs」の抜粋です。有人機(H-60、H-64、H-47)3件、無人機(sUAS、C-100 sUAS)2件、計5件の予備報告ベースの事故概要を紹介しています。いずれも米陸軍戦闘即応センターがまとめた、クラスC事故(比較的軽微な物損等に分類される事故)の速報です。H-60の事例については、原文の記述に加え、タービン・ガス温度上昇に至った技術的機序について訳者による補足説明を本文中に加えています。
                               

出典:Selected Aircraft Mishap Briefs, FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2026年06月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

アクセス回数:63

コメント投稿フォーム

  入力したコメントを修正・削除したい場合やメールアドレスを通知したい場合は、<お問い合わせ>フォームからご連絡ください。