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陸軍航空の情報センター

テクニカルトーク:製造承認

軍属 デイブ・クリップスおよびスティーブ・ブラッドム

写真:米陸軍開発コマンド航空・ミサイル・センター システム・レディネス部門

先月号のテクニカルトークでは、健全な耐空性プログラムの基盤となる設計承認に焦点を当てました。今月号は製造承認について論じますが、これは一言で言えば、「製造された」コンフィギュレーションが「承認された」設計に適合していることを保証するものです。

設計承認においては、システムとしての航空機全体がすべての適切な仕様および規格を満たしていることが確認されるだけでなく、個々の部品が設計どおりに機能することが解析および試験されていました。数万点に及ぶ部品のそれぞれには、使用される材料、その材料をどのように加工して部品に変換するかの段階的な手順、厳密な寸法、表面仕上げ工程などの無数の項目が列挙された詳細な仕様書が存在し、部品の製造方法が定義されています。その製造計画は製造業者によって文書化され、その後、政府の専門家によって正確性を検査され、毎回まったく同じ部品を繰り返し製造できることが保証されます。サブシステムまたはアセンブリに組み立てられる個々のコンポーネントについては、組み立ての要領、治工具、および検査が正確に規定されます。製造業者は、各部品を自社で製造するか、サプライヤーから調達するかを慎重に決定し、すべてのコンポーネントの詳細をサプライヤーに提供し、その後、サプライヤーの製造が仕様を満たしているかどうかを評価します。

政府は製造業者の品質マネジメント・プログラムを評価するとともに、そのプログラムが国際標準化機構によって独立して評価されることを要求します。重要安全品目(Critical Safety Items, CSI)として知られる一部のコンポーネントまたはアセンブリには、その故障が破局的な結果をもたらす可能性があるため、さらに厳格な監視および管理が要求されます。それぞれの重要安全品目には、個別に測定または確認され、恒久的な記録に文書化されなければならない重要特性が必ず存在します。すべての重要安全品目は、どの航空機に搭載されているかを正確に把握するため、シリアル化された管理方法を備えていなければなりません。

製造にあたる作業者は、必要な資格を保有し、実施された作業の各段階を記録しなければなりません。加えて、適切に訓練され、経験を積んだ作業監督者および検査官が、作業が規格どおりに実施されたことを監視および保証し、各検査および製造承認を文書化しなければなりません。製造記録は、部隊での装備品の故障に関する調査の際に必要に応じて解析できるようにするため、無期限に保管されます。国防契約管理局(Defense Contract Management Agency, DCMA)の現地駐在員は、製造プロセスを監視し、製造業者およびそのサプライヤーが承認された製造計画を遵守していることを確認します。各コンポーネントの最初の生産品は初度試験(first article test)を受け、最初の生産航空機の組立は生産適合性監査(production verification audit)の対象となり、承認された設計仕様に適合していることが保証されます。それ以降の各生産航空機は国防契約管理局検査官による徹底的な検査を受け、完成した航空機は国防契約管理局に配属された政府整備パイロットによる受入れ地上試験および飛行試験を受けます。これらのプロセスにおいて特定されたあらゆる不適合は製造業者によって是正され、個々の航空機が承認された設計に正確に適合していることを保証するために再評価され、その後、政府は正式に航空機の引渡しを受け入れます。

ライフサイクルを通じた航空機の改修は、同じような基本設計承認プロセスに従って行われ、その後、技術変更提案(Engineering Change Proposal, ECP)を通じて製造プロセスに組み込まれ、製造計画および検査プログラムにも反映されます。各航空機の製造記録には、どの技術変更提案が適用されたかが記録され、それによって当該機体の形態が規定されます。すでに政府に引き渡された航空機については、変更作業指示(Modification Work Order, MWO)によって、変更を適用し、個々の航空機の履歴記録に文書化するための詳細な手順が示されることになっています。

デイブ・クリップス氏は主任耐空性技術者であり、スティーブン・ブラッドム氏は副耐空性技術者である。両氏は、アラバマ州レッドストーン工廠の米陸軍戦闘能力開発コマンド航空・ミサイル・センターのシステム・レディネス部門に所属している。

                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2024年06月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    陸上自衛隊ではMWO(Modification Work Order, 航空機等改造指令書)とEWO(Engineering Work Order, 航空機等技術指令書)とに分けられていますが、アメリカ陸軍ではEWOという用語が存在はするものの、実際上の手続きとしては機能していないようです。