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陸軍航空の情報センター

ブロークン・ウィング賞

陸軍航空ブロークン・ウィング賞は、緊急着陸を必要とする飛行中の故障または不具合から航空機を回復させる際に、高度な専門的スキルを発揮した航空搭乗員を表彰するものです。授賞の要件は、DA PAM 385-10 パラグラフ6-3f(訳者注:現在は5-11g)に記載されています。

以下の方々がブロークン・ウィング賞を受賞されました。

中尉 ジョン・A・ベイリー
中尉 ヘクター・M・エチェバリア
第214航空連隊第1大隊

ベイリー中尉とエチェバリア中尉は、2010年4月6日、C-12Uの左エンジンのエンジン・ハウジングとプロペラ・システムが機体から分離した際に、卓越した判断力および技量を発揮した。

IMC(計器気象状態)で高度15,000フィートから5,000フィートへ降下中、機体の左側から大きな爆発音が聞こえた。機体はピッチ・アップし、左にヨーイングして、緊急事態が発生してから数秒以内に速度が約50ノット低下した。左エンジンに重大な損傷が生じ、約350ポンドの突然の重心移動と極端な左ヨーイング傾向があったにもかかわらず、搭乗員の迅速な処置により、それ以上の対気速度の損失と機体制御の喪失が回避された。その後は、単発エンジン状態で問題なく着陸した。

切迫した状況下でのベイリー中尉とエチェバリア中尉の冷静さ、緊急事態への適切な対応、そして優れたエアマンシップにより、壊滅的な事故と人命の損失につながりかねない事態の発生を防止することができた。

上級准尉3 アンソニー・デジャコモ
第1-14航空連隊、フォート・ラッカー、アラバマ州

2010年5月6日、デジャコモ上級准尉は、OH-58Dの操縦中に180度旋回を伴う模擬エンジン故障を展示していた。

高度約800フィート、速度80ノットで45度の左バンクに入った際に、操縦系統に衝撃を感じ、油圧パワーが完全に喪失した。デジャコモ上級准尉は、学生に油圧故障の緊急操作手順を開始するよう指示しながら、直ちに機体をバンクから回復させた。左バンクを修正すると同時に、機体を水平にし、スロットルを100%に増加させ、コレクティブを調整して飛行を制御した。

デジャコモ上級准尉は、当初予定していたレーン1の着陸エリアには安全に着陸できないと直ちに判断した。このため、目視で空域を確認し、管制塔に連絡し、空対空周波数で意図を伝えると、レーン4への緊急クリアランスを要求した。デジャコモ上級准尉は、卓越したエアマンシップにより、本能的に適切な操縦操作を行い、最も適切で安全な着陸エリアに25ノットの速度で着陸した。

デジャコモ上級准尉の素早い思考と技量により、空中でのロールオーバーが回避され、航空機と人命の完全な喪失を防止することができた。

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2012年03月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    2012年の記事です。