AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

航空事故発生状況-C-12U

エンジン始動手順を実施中、No2プロペラが胴体のアビオニクス・ベイに衝突し、クラスAの損傷が生じた。

事故発生の経過

当該C-12Uの任務は、即応レベル (RL) の向上および訓練を目的とした飛行の実施であった。当該機は、事故発生当日の早い時間に、別の訓練飛行を異常なく終了していた。搭乗員は、指揮官が承認した週間飛行計画に基づき、当日の飛行訓練任務を受領した。天候およびNOTAMの確認、危険見積の実施、飛行計画の提出などの通常の飛行準備を完了し、搭乗員飛行前ブリーフィングおよび訓練ブリーフィングを実施した。任務担当士官によるブリーフィングが行われ、当該飛行任務はリスク・レベルが低い任務として中隊長の承認を得た。その後、搭乗員全員に対するブリーフィングの内容および各人の役割を伝達を完了した。事故機の搭乗員は、航空機に向かい、飛行前点検を開始した。承認されたチェックリストに従い、地上整備員が準備した電源装置を使ってエンジンを始動した。No.2エンジンのラダー・ブースト点検を実施中、右ペダルが踏めないことに教官操縦士が気づいた。副操縦士がチェックリストに基づく点検を始めたとき、No.2エンジンからオレンジ色の火の玉と大きな爆発音が発生した。搭乗員は、ただちに地上でのエンジン火災の緊急操作を実施し、無線で地上管制に通報した後、ドアから機外に脱出した。火の玉を目撃した航空管制は航空救難を発令し、列線整備員は消火器を持って機体に急行した。列線整備員の列線用消火器による消火活動により、航空救難消防員や消防車が到着する前に火災は収まった。

搭乗員の練度

教官操縦士の総飛行時間は1,164時間であり、陸軍の固定翼で1,091時間、教官操縦士として107時間の飛行を経験していた。副操縦士の総飛行時間は263時間であり、陸軍の固定翼機で53時間、C-12で39時間の飛行を経験していた。

考 察

No.2エンジンのラダー・ブースト点検を実行中に、No.2プロペラ・ハブに壊滅的な損傷が生じ、プロペラが離脱して、エンジンおよび機体に広範囲にわたる損傷が発生した。事故調査委員会は、高回転エネルギーによる内部の疲労亀裂が原因であると推定している。事故機の搭乗員は、ブリーフィング時に説明された手順に従って火災が発生したエンジンを停止し速やかに航空機から脱出するなど、すべての手順を適切に実施した。列線用消火器を使用して消火した列線勤務員の状況認識および対応措置も極めて適切であった。

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2024年02月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    先月発生した羽田空港での衝突事故で私が驚いたのは、A350の火災を消すことができなかったことです。