陸軍安全部長からの航空安全警報:出力管理(1999年9月号Flightfax掲載記事)
米陸軍安全センター(U.S. Army Safety Center, USASC)は、陸軍全体で近年実施されたクラスA航空事故の調査結果において、航空機の出力管理(パワー・マネジメント)手順の不適切に起因する事故が増加していることを確認しています。陸軍のパイロットは、現代の多発機が低い気圧高度・密度高度および低温の環境下で運用された場合にもたらされる、事実上無制限とも言える出力の恩恵に慣れきってしまっています。
部隊は、本国の基地とは大きく環境が異なる地域に配備され、高い気圧高度・密度高度や高温の環境下で運用される場合があります。こうした環境条件に多くの任務において求められる重い全備重量が加わることにより、パイロットが使用できる出力は、大幅に低下するおそれがあります。必要出力と使用可能出力とを照合する作業には、継続的な注意力と絶え間ないパフォーマンス・プランニングが求められます。
プラニング・データを正確に算出し、適切なパワー・チェックを行ったうえで適用すれば、どのような環境条件下における機体性能でも予測することが可能です。しかし、パフォーマンス・プランニングだけでは十分ではありません。パイロットはまた、付与された任務の全局面において、出力制限を受けた機体がどのように性能を発揮するのかを正確に理解しておく必要があります。
出力管理(パワー・マネジメント)手順に関わる事故を防止するための鍵となるのは、教育訓練です。教官操縦士(instructor pilot, IP)および部隊教官操縦士には、適切な機体パフォーマンス・プランニングの重要性、およびそのデータを任務に適用することの重要性を強調することが求められます。最新世代の機体で育ったパイロットにも、自らが操縦する機体の限界について認識させる必要があります。最後に、適時かつ効果的な教育訓練を実施し、基準を厳格に順守させることは、各級指揮官の責務です。
出典:DASAF Safety Alert: Power Management, FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2011年07月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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