ブロークン・ウィング賞
陸軍航空のブロークン・ウィング賞は、飛行中の故障や不具合から航空機を回復させ、緊急着陸を要する状況下で高度な専門的技能を発揮した航空搭乗員を表彰するものである。受賞要件はDA PAM 385-10の6-3f(訳者注:現在は5-11g)に記載されている。
上級准尉2 フランチェスコ・M・フォスケッティ
タスクフォース・フェニックス第1-10攻撃偵察大隊C中隊、アフガニスタン
バグラム飛行場への最終進入中、AH-64Dのテールローター・ブレードの1枚が根元から破損し、機体から分離した。このインバランス状態により、テール・ローター・アセンブリが機体から完全に分離した。
フォスケッティ上級准尉2は、この状況を認識するやいなや、即座に操縦を交代し、機体の制御を取り戻した。対気速度を上げ、不規則なヨー運動と意図せぬ降下を最小限に抑えるように操作した。対気速度を上げながら、着陸予定地点の付近に2階建ての建物があることに気付いた。飛行を継続するのに十分な対気速度を得ることができないと判断し、その建物の手前に着陸することを決定した。地面に接近するにつれ、機首を上げて機体を減速させた。着陸直前に機体が回転し始めると、右側のサイクリックを操作し、最も有利な姿勢で着地させた。
上級准尉2 フォスケッティの冷静な判断と優れた操縦技術により、壊滅的な事故と人命の損失が回避された。
上級准尉2 ガブリエル・A・トーニー
タスクフォース・ブローラー、アフガニスタン前方運用基地シャンク
即応対処部隊(QRF)の撤収を支援中、上級准尉2トーニーのOH-58Dが敵火に晒された。トーニーは、その時、M4ライフルをコックピットドアから外に向け、周辺を警戒していた。そして、下方ウインドゥからセンターコンソールを貫通した弾丸の破片により被弾した。破片が前腕と顔面を貫通し、視界が制限された。さらに、別の弾丸が右脚を貫通して膝を脱臼させ、左脚に留まった。操縦桿を握っていた操縦士は、別の弾丸が命中し、意識を失っていた。機体は90度上方にピッチ・アップし、横転し始めた。
上級准尉2トーニーはこの極限状況を直ちに認識し、操縦を交代した。緊迫した状況の中、視界が制限された状態で航空機の姿勢を回復し、編隊長に報告し、安全な患者後送用LZまで飛行した。
緊迫した状況下での上級准尉2トーニーの冷静さ、緊急事態への対応、そして卓越した操縦技術により、航空機の損失が回避された。
出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2012年01月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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1件のコメント
2012年の記事です。
トーニー准尉の飛行の詳細は、こちらの記事に掲載されています。
敵地上空での被弾