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陸軍航空の情報センター

つなげて読む周辺国軍の動き(2026年5月)

Aviation Assets 管理人

防衛省の統合幕僚監部(統幕)は、日本の周辺で中国やロシアなどの艦艇・航空機を確認するたびに、その動向を発表しています。発表は確認の場面ごとに出るため、1件だけでは一連の動きが分かりません。この記事では、Jディフェンスニュース(JDN)が掲載した統幕の発表を、発表中の「〜と同一である」という記述でつなぎ、2026年5月に確認された動きを、最初に確認された日の順に示します(6月まで続いた動きを含みます)。

各節の地図は、統幕の発表に添えられた地図をもとに、一連の動きを1枚に描き直したものです。実線と矢印は確認された区間、点線は経路が公表されていない部分を便宜的に結んだものです。確認された位置は、発表の「与那国島の南約50km」といった記述や統幕の地図から求めた概略です。

2026年5月に確認された動きの全体図
図0 2026年5月に確認された動きの全体図。丸数字は節番号、日付は最初に確認された月日(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成。各節の地図を縮小して重ねた概略)

5月の動きの一覧

No.期間国艦艇・航空機主な経路
15月9日〜6月29日ロシアフリゲート2隻、補給艦、えい船、貨物船6隻5月に対馬海峡から東シナ海を経て太平洋へ。6月末にフリゲート2隻と補給艦が東シナ海へ戻り、うち2隻が日本海へ
25月18日〜6月20日中国空母「遼寧」、駆逐艦2隻、フリゲート、高速戦闘支援艦沖縄本島と宮古島の間から太平洋へ出たフリゲートなどが、空母「遼寧」の艦隊と合流。艦載機の発着艦は約170回。6月に沖縄本島と宮古島の間から東シナ海へ
35月21日ロシア情報収集機大陸方面から日本海上空を能登半島沖まで飛行
45月22日ロシア情報収集機オホーツク海から太平洋に出て岩手県沖まで飛行し、日本海へ
55月22日中国フリゲート、揚陸艦沖縄本島と宮古島の間から太平洋へ
65月28日中国情報収集機東シナ海上で男女群島南方と沖縄本島沖の間を往復

1 ロシア海軍のフリゲート2隻・補給艦・えい船と貨物船6隻 太平洋へ南下し、約1か月半後に一部が北上(5月9日〜6月29日)

5月9日午後5時頃、対馬の北東約140kmの海域で、南西進するロシア海軍のステレグシチー級フリゲート2隻(艦番号「333」「343」)、ドゥブナ級補給艦、バルク級航洋えい船と貨物船6隻の計10隻が確認されました。10隻は9日から10日にかけて対馬海峡を南西進し、12日午後11時頃に西表島の北西約50kmで確認された後、12日から13日にかけて与那国島と西表島の間を南西進して、太平洋へ向かいました。フリゲート2隻は、4月24日に対馬海峡を北東進して日本海へ向かった艦と同じ艦番号です。

約1か月半後の6月27日午後2時頃、与那国島の南約60kmの海域で、北東進するフリゲート333、343と補給艦の3隻が確認されました。3隻は与那国島と西表島の間を北東進して東シナ海に入りました。29日午前11時頃には、五島列島の西約70kmでフリゲート333と補給艦の2隻が確認され、2隻は対馬海峡を北東進して日本海へ向かいました。統幕は、これらがいずれも5月9日から10日にかけて対馬海峡を南西進した艦艇と同一であると発表しています。えい船と貨物船6隻については、5月13日より後の確認は公表されていません。

フリゲート343は、6月29日には確認されていません。次に確認されたのは7月16日で、中国海軍の艦艇3隻とともに沖縄本島と宮古島の間を南進していました。この中国とロシアの艦艇の動きは、7月の記事で取り上げます。

出典:JDN(5月11日、5月13日、6月29日、6月30日、7月16日の統幕発表を掲載した記事)

ロシア海軍のフリゲート2隻・補給艦・えい船と貨物船6隻の動き
図1 ロシア海軍のフリゲート2隻・補給艦・えい船と貨物船6隻の動き(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

2 中国海軍の空母「遼寧」の艦隊 太平洋で艦載機の発着艦約170回(5月18日〜6月20日)

5月18日午前11時頃、久米島の北西約520kmの海域で、南進する中国海軍のジャンカイⅢ級フリゲート(艦番号「545」)とフユ級高速戦闘支援艦(艦番号「901」)が確認されました。ジャンカイⅢ級は、海上自衛隊が警戒監視で初めて確認した艦です。2隻は19日に沖縄本島と宮古島の間を南東進し、太平洋へ向かいました。

25日正午頃、沖ノ鳥島の南西約880kmの海域で、クズネツォフ級空母「遼寧」(艦番号「16」)、レンハイ級ミサイル駆逐艦(艦番号「104」)、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(艦番号「124」)と、545、901の計5隻が航行しているのが確認されました。艦隊は、26日に沖ノ鳥島の南西約1,090km、27日に宮古島の南約790km、28日に宮古島の南西約590kmの海域で確認され、この3日間に「遼寧」から艦載戦闘機と艦載ヘリが計約170回(26日約80回、27日約50回、28日約40回)発着艦しました。29日には、「遼寧」、104、124の3隻がフィリピンの東の海域を南東進しました。

その後、6月19日正午頃に545と901が宮古島の南東約140kmで、20日午前0時頃に「遼寧」、104、124の3隻が宮古島の東約130kmで確認され、いずれも沖縄本島と宮古島の間を北西進して、東シナ海へ向かいました。統幕は、これらが5月に確認した艦艇と同一であると発表しています。5月29日(545と901は5月28日)から6月19日までの動きは公表されていません。

6月2日の記者会見で、小泉防衛大臣は、中国海軍は「遼寧」を含め3隻の空母を保有しており、空母の運用能力向上や遠方の海空域における作戦遂行能力の向上を狙っていると考えられ、今回の活動もその一環であると述べました。同じ日、齋藤海上幕僚長も同じ趣旨の見方を示し、フィリピンなどとの共同訓練「バリカタン」への牽制ではないかとの質問には、「様々な見方がある」として、分析の内容を明らかにすることは控えました。

6月下旬には、中国の国営メディアが、「遼寧」の訓練中に日本側から妨害や挑発があったと報じました。齋藤海上幕僚長は6月23日の会見で、海上自衛隊は国際法をはじめとする関係法規に基づいて適切に対応していると述べ、内倉統合幕僚長は6月26日の会見で、こうした主張は事実ではないと述べました。防衛省の報道官も6月26日、X(旧Twitter)で、中国空母に関して日本側の艦艇や航空機が妨害や挑発を行ったという主張は事実ではないと発信しています。

出典:JDN(5月19日、5月26日、6月1日、6月22日(545・901)、6月22日(「遼寧」など)の統幕発表を掲載した記事、防衛大臣と海上幕僚長の6月2日の会見、海上幕僚長の6月23日の会見、統合幕僚長の6月26日の会見、報道官のXの記事)

中国海軍の空母「遼寧」の艦隊の動き
図2 中国海軍の空母「遼寧」の艦隊の動き。5月25日〜29日の位置は統幕の地図から読み取った。沖縄本島と宮古島の間の通過は、重なりを避けるため線を並べて描いた(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

3 ロシア軍の情報収集機 日本海上空を能登半島沖まで(5月21日)

5月21日の午前から午後にかけて、ロシア軍のIL-20情報収集機1機が大陸方面から飛来し、日本海上空を石川県能登半島沖まで飛行した後、変針して大陸方面へ飛行しました。航空自衛隊は、北部航空方面隊等の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させて対応しました。緊急発進は、日本の周辺を飛行する国籍不明の航空機に領空侵犯のおそれがある場合に、戦闘機などを発進させることです(JDN用語集)。統幕の地図によると、IL-20は北海道の北西の日本海上空から南下し、能登半島沖で西へ向きを変えた後、北西へ進んでいます。

出典:JDN(5月21日の統幕発表を掲載した記事)

ロシア軍の情報収集機の飛行経路(5月21日)
図3 ロシア軍の情報収集機の飛行経路(5月21日)(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

4 ロシア軍の情報収集機 オホーツク海から太平洋へ出て岩手県沖まで(5月22日)

翌22日の午前から午後にかけても、ロシア軍のIL-20情報収集機1機が大陸方面から飛来しました。IL-20はオホーツク海を経由して太平洋に出た後、岩手県沖まで南下して反転し、オホーツク海を経由して日本海に至りました。航空自衛隊は、北部航空方面隊等の戦闘機を緊急発進させて対応しました。

出典:JDN(5月22日の統幕発表を掲載した記事)

ロシア軍の情報収集機の飛行経路(5月22日)
図4 ロシア軍の情報収集機の飛行経路(5月22日)。往路と復路を並べて描いた(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

5 中国海軍のフリゲートと揚陸艦 沖縄本島・宮古島間から太平洋へ(5月22日)

5月22日午後3時頃、久米島の南西約110kmの海域で、南東進する中国海軍のジャンカイⅡ級フリゲート(艦番号「599」)とユーシェン級揚陸艦(艦番号「33」)が確認されました。2隻は沖縄本島と宮古島の間を南東進し、太平洋へ向かいました。統幕は、この2隻のその後の動きを発表していません。

なお、6月26日には、同じ艦番号のジャンカイⅡ級フリゲート599が久米島の西約80kmで確認され、沖縄本島と宮古島の間を南東進しています。統幕はこれを5月22日の艦と同一とは発表していないため、6月の記事で取り上げます。

出典:JDN(5月25日の統幕発表を掲載した記事)

中国海軍のフリゲートと揚陸艦の動き
図5 中国海軍のフリゲートと揚陸艦の動き(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

6 中国軍の情報収集機 東シナ海で男女群島南方と沖縄本島沖を往復(5月28日)

5月28日の午後、中国軍のY-9情報収集機1機が大陸方面から飛来し、東シナ海上を長崎県男女群島の南方まで飛行した後、南西進して沖縄本島沖で反転し、男女群島南方と沖縄本島沖の間を往復した後、大陸方面に向けて飛行しました。航空自衛隊は、西部航空方面隊等の戦闘機を緊急発進させて対応しました。

出典:JDN(5月28日の統幕発表を掲載した記事)

中国軍の情報収集機の飛行経路
図6 中国軍の情報収集機の飛行経路。往復した部分は線を並べて描いた(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

記事に登場した艦艇・航空機

艦種・機種国説明(JDN用語集による)
ステレグシチー級フリゲートロシアステルス性を考慮した次世代型の沿海域用汎用艦として計画されたフリゲート(用語集の「ステレグシチーⅡ級フリゲート」の項による)
クズネツォフ級空母中国ロシア海軍の空母「アドミラル・クズネツォフ」と同型の空母。2番艦が建造中止の後に中国に売却され、「遼寧」となった。スキージャンプを備える
レンハイ級ミサイル駆逐艦中国ステルス形状の船体とVLS(垂直発射装置)を持つミサイル駆逐艦。中国海軍での名称は055型駆逐艦
ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦中国ルーヤンⅡ級(052C型)の発展型。中国海軍でのタイプ名は052D型
ジャンカイⅡ級フリゲート中国中国海軍のワークホース(主力)として大量に建造されているフリゲート。中国海軍でのタイプ名は054A型
Y-9情報収集機中国Y-9(運-9)輸送機の派生型で、レーダー情報、通信情報などの収集を行うとみられる

※この記事は、2026年10月2日時点でJDNに掲載されていた統合幕僚監部の発表と記者会見の内容に基づいて執筆したものです。

関連リンク
Jディフェンスニュース|周辺国の動向
統合幕僚監部|報道発表資料
Jディフェンスニュース|用語集

           

出典:Aviation Assets

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