AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

即応態勢の柱としての装備

計画管理室-航空(Program Executive Office-Aviation)
准将 ロバート・L・マリオン

「航空」は、「職種統合作戦をあらゆる領域に渡って効果的に遂行する偉大な功労者」であると評価されている。同じように、陸軍即応態勢の4つの柱のうちのひとつである「装備」は、「陸軍の最優先事項を具現する偉大な功労者」であると評価されている。現在の厳しい予算環境の元では、「近代化と即応性とは、相反するものである」と考えられがちであるが、「近代化と即応性をいかに協調させるか」を追求することの方がより重要なのである。兵士たちに最高の装備を保有させ、あらゆる環境において敵を撃破し、その脅威を排除しうる能力を付与するためには、近代化事業の継続が不可欠である。我々陸軍の航空機は、元々、各種要求に即応するため、高い信頼性と持続性を有するように設計されている。このため、将来的な事業だけではなく、現行の航空機及び航空支援機器を改善するための事業も継続的に実施されるべきである。

オクラホマ州フォート・シル所在のオクラホマ陸軍州兵1-230航空騎兵大隊C飛行隊所属のOH-58Dカイオワ・ウォーリア(2015年11月10日) / 撮影:上級准尉2カレブ・J・ビュサイ

我々は、生存性、航続距離、ペイロード、耐久性、信頼性及び殺傷力を重視し、既に成熟している科学技術(Science and Technology, S&T)を活用して、システムの性能向上を図ってきた。さらに、ブラウンアウト回転翼機強化システム(Brownout Rotorcraft Enhancement System , BORES)、改善型タービン・エンジン(Improved Turbine Engine, ITE)等のプログラムにより、現行機種の能力を大幅に向上させつつ、次世代航空機の性能向上にもその新技術を活用しようとしている。今後は、より安全で、高い能力を有し、かつ効率的な航空機の装備化が実現されるであろう。こういった物的投資なくして、即応性の向上を実現することはできない。

大統領府の近代化予算は、2017年度になって大幅に減少したが、航空に関する予算については、その優先度が高く維持されている。全装備品の近代化予算の中で、最大のポートフェリオ(資産目録)を与えられているのは、航空なのである。それでも、調達関連予算が減少する中、アパッチ、ブラック・ホーク及びチヌークの製造契約を完全に維持することが難しくなってきている。このため、調達予算の効率的運用に最大限の努力を傾注するとともに、企業及び他の関係諸国と協力したFMS(Foreign Military Sales, 有償援助)を推進して、製造機数の維持に努めている。

計画管理室-航空(Program Executive Office-Aviation, PEO-Aviation)の業務の焦点は、既に計画されている事業を引き続き遂行することである。このために欠かせないのは、航空およびミサイル・コマンド(Aviation and Missile Commandm, AMCOM)、航空・ミサイル研究開発技術センター(Aviation and Missile Research, Development, and Engineering Center, AMRDEC)、 陸軍試験評価コマンド(Army Test and Evaluation Command, ATEC)、陸軍契約コマンド-レッドストーン工廠(Army Contracting Command – Redstone Arsenal, ACC-R)及び訓練教義コマンド(Training and Doctrine Command, TRADOC)で構成される航空エンタープライズ及び航空以外のPEOとのチームワークである。このような状況の中、CH-47ブロックⅡ及び改良タービン・エンジン(Improved Turbine Engine, ITE)プログラムに関するマイルストーン決定権限(Milestone Decision Authority, MDA)が国防調達官(Defense Acquisition Executive, DAE)から陸軍へと委譲されたことは、上級指揮官たちが航空エンタープライズの任務遂行及び予算執行能力の高さを認めている証である。

ポートフォリオ全体の近代化

今年は、全体として、各近代化事業プログラムに顕著な進展が見られた年であった。主要なマイルストーンを達成したシステムや、支援対象部隊に新装備を納入したシステムも多かった。

アパッチ

2016年1月27日、アライド・スピリットⅣに参加するため、ドイツのホーエンフェルスに派遣された第12戦闘航空旅団第3航空連隊第1大隊(攻撃/偵察)所属のAH-64Eガーディアン/撮影:第3機甲小銃大隊第1中隊

この記事が公開される頃には、アパッチ・プロジェクト・オフィスが企業のアパッチ再製造生産ラインからテキサス州フォート・フッドの第17騎兵大隊第7中隊へのAH-64Eのバージョン4(V4)初号機の納入を完了しているであろう。Eモデルのプログラムには、陸軍から要求された性能を実現するため、2段階の計画的な技術改善が組み込まれている。

第1の技術改善であるV4は、アパッチ・ガーディアン(AH-64Eの愛称)の生産ラインで行われる初めての技術改善である。この改善により、第2のイーサネット・ルーティング・デバイス(Ethernet Routing Device, ERD)、改良ソリッド・ステート・レコーディング・デバイス(Enhanced Solid State Recording Device, eSSRDE)、空対空対地ビデオ・リレー(Air-to-Air-to-Ground Video Relay, AAG)、ブルー・フォース・トラッカー2(Blue Force Tracker 2, BFT2)、リンク16スモール・タクティカル・ターミナル(Link 16 Small Tactical Terminal)、小型化クラッシュワーシー・エクスターナル・フュエル・システム(Reduced size Crashworthy External Fuel System, RCEFS)、及び改良ファイヤー・デティクションの追加が行われる。また、ソフトウェアのアップグレードにより、STT (Small Tactical Terminal, 小型戦術ターミナル)無線機の第1チャネルが統合され、リンク16が利用できるようになる。リンク16は、軍用戦術データ交換方式のひとつで、米国の全軍隊だけではなく、30ヵ国以上のNATO諸国及びその他の同盟国でも使用されている通信リンクであり、デジタル情報の伝送を可能にするものである。

V4機は、生産ラインから納入されるだけではなく、アパッチ製造及び現地改修チームによるAH-64Eを装備した大隊やフォート・ラッカー訓練施設におけるV4仕様機への現地改修も併せて実施されている。航空機の可動率への影響を少なくするため、この改修は、一度に2機ずつ行われる。この改修の開始時期は、現在のところ、2017年を予定している。

第2の技術改善であるバージョン6(V6)は、STT無線機の第2チャンネルを用いたソルジャー・ラジオ・ウェーブフォーム(Soldier Radio Waveform, SRW)を実現するものである。SRWとは、インターネット・プロトコール(internet protocol, IP)を用いた無線波形であり、小部隊内でのローカル・エリア接続や、乗車兵士と徒歩兵士間のネットワーク・サポートが可能となる。また、移動式のアドホック・ネットワーキング(コンピューターなどが無線LANなどを使用せず、その場で互いにデータをやり取りすること)用無線波形を用いることにより、ネットワークの自動生成、マージング(融合)及びリールーティング(迂回)機能をユーザーに提供する。これらの機能により、遠く離れた地点及び錯綜した地形における情報伝送が容易になる。

V6機への換装が開始されるまでは、アパッチ再製造生産ラインによるV4機の供給が継続される。また、V6においては、レーダー・フレキエンシー・インターフェロメーター(Radar Frequency Interferometer, RFI, レーダー波到来方向の探知機)の探知距離の改善、火器管制レーダー(Fire Control Radar, FCR)の改善、SRW、及び統合メンテナンス・サポートシステムの導入も併せて行われる。V6の部隊装備は、2019年度に開始される予定である。

ブラック・ホーク

2015年度には、UH-60Vプログラムもいくつかのマイルストーンを達成した。このプログラムは、760機のUH-60Lのデジタル化と機体の補強をコーパスクリスティ陸軍補給処において実施するものであり、陸軍の予算環境が厳しい中でも必要な機能向上を実現している優れたプログラムであると評価されている。2月には統合ベースライン・レビュー(Integrated Baseline Review , IBR)が、4月には予備設計審査(Preliminary Design Review, PDR)が終了している。10月には、詳細設計審査(Critical Design Review, CDR)が滞りなく終了し、Aキット及びBキットの開発が開始された。現在、設計確認に使用する3機の試作機が製造されている。設計確認が完了したならば、4機目及び5機目の検証機が製造され、プログラムの更なる進展・継続が図られることとなっている。UH-60Vの初飛行は、2017年1月に予定されている。このプログラムは、2018年に予定されるマイルストーンCへの到達まで継続される。

ユーティリティ・ヘリコプター・プロジェクト・オフィスは、UH-60Vプログラムと並行して、UH-60Mの通信、航法及び監視/航空管制管理(Communication, Navigation, and Surveillance/Air Traffic Management, CNS/ATM)システムの改善を実施し、現在及び将来の要求事項への適合を図っている。CNS/ATMシステムのアップグレードにより、放送型自動従属監視(送信機能を除く)(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast Out, ADS-B OUT)機能及び広域航法(Area Navigation, RNAV)機能が追加される。また、統合機体健全性管理システム(Integrated Vehicle Health Management System, IVHMS)及び地上局のアップグレードも行われ、データの検索・保存・診断機能が改善・強化される。さらに、データ転送システム(Data Transfer System, DTS)のアップグレードにより、記憶容量の大幅な増加が図られる。CNS/ATMシステムのアップグレードが完了したUH-60Mは、2018年度から部隊に装備され始め、世界中のあらゆるナビゲーションに対応できるようになる。

2016年2月20日、ニューヨーク州ヤングスタウンにおいて、米陸軍のCH-47チヌークから着陸点への降着訓練を実施中のバッファロー所在2-101騎兵隊C部隊の兵士たち/撮影:米国州兵空軍空軍3等軍曹ライアン・キャンプベル

チヌーク

陸軍唯一の重貨物ヘリコプターであるCH-47チヌークは、2060年代まで運用が継続される。これを可能とするため、輸送ヘリコプター・プロジェクト・オフィスが打ち出したのが、ブロック化戦略である。この戦略は、チヌークに対する運用上の要求がなくなるまでの間、妥当かつ適正な費用で機体を維持しつつ、技術的な改善を推進するものである。2016年1月、陸軍は、CH-47ブロックⅡに関する戦略提案要求書(Request for Proposal, RFP)を承認し、最初の予算を投入することになった。マイルストーンBと呼ばれるブロックⅡの承認が完了すれば、2017年の半ばにはじ後の設計、製造及び開発(Engineering, Manufacturing, and Development, EMD)に必要な契約が締結されることになろう。ブロックⅡ事業の狙いは、2007年のCH-47Fの装備化開始以降に行われた任務器材の追加による性能低下を回復することにある。この事業では、各システム(ローター・ブレード、ローター・ハブ、動力伝達系統、燃料システム)の性能向上、サブ・システム(燃料システム)の軽量化、総重量(機体)の50,000ポンドから54,000ポンドへの増加等の技術変更が行われる。さらに、信頼性、部品枯渇対策、安全性向上及び整備性向上を目的とした技術変更も併せて行われる。

無人航空機システム

MQ-1Cインプルーブド・グレイ・イーグル(IGE)は、MQ-1Cグレイ・イーグルの発展させた機体である。IGEは、戦闘部隊指揮官の要求を満足するため、航続距離の増加、耐久性の改善、ペイロードの増加等が行われている。また、師団が保有するUASの能力ではカバーできない長距離における支援が可能となっている。このシステムは、米陸軍情報保全コマンドの軍事情報旅団、米陸軍特殊作戦コマンドの第160特殊作戦航空連隊等の陸軍直轄部隊(Echelon Above Division units, EAD units)でも使用される。IGEは、2015年7月14日の陸軍調達管理官(Army Acquisition Executive, AAE)による仕様調整委員会( Configuration Steering Board, CSB)の承認を受け、今年から製造が開始された。IGEの技術変更提案は、2015年9月22日に承認され、36機のIGEの製造、試験及び調達が行われることになっている。IGEの部隊装備は、2018年度に開始される予定である。

ゼネラル・アトミックス社の試験飛行施設に駐機中のMQ-1Cグレイ・イーグル/撮影:ゼネラル・アトミックス社

固定翼機

固定翼機プロジェクト・オフィスに関しては、昨年、2つの情報、監視及び偵察(intelligence, surveillance, and reconnaissance, ISR)プログラムにおいて、顕著な進展が得られた。1つ目は、強化型中高度偵察及び監視システム(Enhanced Medium Altitude Reconnaissance and Surveillance System, EMARSS)であり、2つ目は、低高度偵察機(Airborne Reconnaissance Low, ARL)である。また、輸送固定翼機の更新プログラムである多用途固定翼機(Fixed Wing Utility Aircraft, FUA)プログラムも順調に進んでいる。

戦場における戦闘指揮官のニーズに応えるため、民間機として実績のあるキング・エア350の派生機である4型式24機のEMARSSの開発が即戦力(quick reaction capability, QRC)プログラムを活用して行われた。EMRSS仕様に改修されたQRC機は、任務装備、訓練及び補給系統に関し、従来の装備機との共通性を維持している。このことは、本プログラムの効率性、持続可能性、および費用対効果の向上をもたらした。既に装備化されているQRCの初期型機についても、機体改修に関する予備設計審査及び詳細設計審査が終了し、2015年度第2四半期に契約が締結され、改修が行われている。信号情報を対象とした強化型中高度偵察及び監視システム(EMRSS-S)については、ジョージア州サバンナにある第224航空開発大隊(Aerial Exploitation Battalion)における新装備慣熟訓練(New Equipment Training)に引き続き、アリゾナ州のフォート・フワチューカにある米国情報教育研究センター(the U.S. Intelligence Center of Excellence)における初期基幹要員訓練(Initial Key Personnel Training)及び限定的使用部隊試験(Limited User Test)が完了した。EMARSS-Sの導入は、2016年3月に開始が予定されている。

ARLプログラムについては、現行機であるデ・ハビランド・カナダ(DeHavilland Canada, DHC)-7型機を性能向上型機であるDHC-8-315型機に更新するととともに、既存機を改修及び改善するための近代化戦略が順調に進められている。この戦略は、既存のQRCプログラムを活用するものであり、任務器材の統合化、コックピット及び自己防護装置の改良及び長距離レーダーの搭載に関する契約が2015年に締結された。改修が完了したならば、合計9機のARL機を保有することになる。

2015年に多用途固定翼機(Fixed Wing Utility Aircraft, FUA)調達戦略が承認されると、契約要件提案書(Contracts Requirement Package)に関する幕僚作業が開始され、提案要求書(Request for Proposal, RFP)が企業に公開された。FUAの最終RFPは、マイルストーンCとして2016年度第3四半期に公開される予定であり、調達契約の締結は2017年度になると見積もられる。これらのマイルストーンを達成できれば、機体納入の実現は、さらに現実的なものとなる。この調達が実施された場合には、C-12及びC-26輸送機がすべてFUAに更新される。

将来型回転翼機(Future Vertical Lift )及び悪視程環境

2015年5月、改善型タービン・エンジン及び将来型回転翼機(Improved Turbine Engine/Future Vertical Lift, ITE/FVL)プロジェクト・オフィスが設立された。ITE及びFVLプログラムは、最先端エンジンと垂直離着陸システムに革新的なライフ・サイクル・マネジメントを導入することにより、陸軍航空の戦闘能力に改革をもたらすことを目標としている。これらのプログラムは、まだ初期段階ではあるものの、ITE及びFVLチームは、今後のチャンスを逃さないように準備を整えている。ITEは、2015年6月23日に取得区分(Acquisition Category, ACAT)「ⅠC」プログラムに指定され、主要な国防調達プログラムとして4億8千万ドル以上の研究開発費の投入が見込まれるともにマイルストーン決定権限が国防調達官に与えられた(先に述べたとおり、この決定権限については、その後、陸軍に委譲された)。このプログラムにとっては、2016年度第3四半期に予想されるマイルストーンAが最初のチャンスとなる。このマイルストーンを達成できれば、2016年度第4四半期に2つの企業と基本設計契約を締結することになろう。一方、FVLの最初のチャンスは、2017年度第1四半期に所要の手続きを完了した後の装備品開発決定(Materiel Development Decision)において訪れる。その後は、FVL初号機納入のための代替案分析(Analysis of Alternatives)が開始されることになろう。

統合多機能技術実証機(JMR-TD)

統合多機能技術実証機(Joint Multi-Role Technology Demonstrator, JMR-TD)は、将来の回転翼機事業を支える重要な科学技術プログラムである。2機の全く新しい実証機の開発を通じて、多くの技術や改良型任務システムに関する基本設計が行われる。これらの実証機の製造により、速度、航続距離、ペイロード、生存性及び全環境運用能力を向上させた次世代の航空機が現実のものとなるであろう。JMR-TDの目的は、重要な技術を成熟させ、その実績をFVLプログラムに反映させることにより、リスクの軽減を図ることにある。実証機の初飛行は、2017年度に行われると予想されている。

悪視程環境(Degraded Visual Environment, DVE)及び回転翼機ブラウンアウト対応システム(Brownout Rotorcraft Enhancement Systems, BORES)

陸軍航空は、長きに渡り、暗視装置を用いて「夜を支配」してきた。陸軍が現在、焦点を当てているのは、パイロットが「環境を支配」できるようにする技術である。航空システム・プロジェクト・オフィスが管理するDVE及び回転翼機ブラウンアウト対応システム(Brownout Rotorcraft Enhancement Systems, BORES)プログラムは、企業の技術的即応レベル(Technology Readiness Levels, TRLs)を評価し、コスト効率の高い解決策の方向性を明確にしようとしている。具体的には、マルチ・センサーからの信号とシンボルが表示された地図データを統合し、ブラウンアウト環境でのアプローチ、着陸及び離陸を可能にすることが考えられている。DVE及びBORESは、回転翼機全体への装備に先立って、一部の多用途及び輸送航空機に試験的に装備される予定である。今後のプログラムの進展によっては、ホワイト・アウト、雨、霧等のその他のDVE状況にも対応させることが考えられている。

戦略的パートナーの支援

UH-60Mのコックピット/撮影:ジョセフ・P・クリーモア・ジュニア

規格外回転翼機(Non-Standard Rotary Wing Aircraft, NSRWA)プロジェクト管理オフィスは、戦闘部隊指揮官及び同盟国に対する直接支援プログラムを継続的に行っている。NSRWAは、アフガニスタンからの緊急要求に対応するため、ロケット及びマシンガンで武装した28機のMD-530F近接航空支援機の調達及び評価を完了し、現在も部隊装備を推進中である。もうひとつのNSRWAプログラムは、AH-6i偵察軽攻撃ヘリコプタープログラムであり、24機の偵察軽攻撃ヘリコプター及び予備部品の調達並びにパイロット及び整備員に対する機種変換訓練が行われている。これらの機体は、戦闘部隊指揮官の要求事項を直接的に支援し、戦域における任務遂行のための緊要な鍵となっている。

ひとつの時代の終わり

武装偵察ヘリコプター(Armed Scout Helicopter, ASH)プロジェクト部局は、陸軍に残存しているシングル・エンジン回転翼機を処分するという部局としての最後の業務に取り掛かっている。この際、全ての偵察及び教育用航空機の処分が完了するまでは、安全維持のために必要な事業を継続する必要がある。2013年の航空再編構想(Aviation Restructure Initiative, ARI)によれば、2017年度までに約340機のOH-58カイオワ・ウォーリア(Kiowa Warriors, KW)、2019年度までに約215機のOH-58A/C及び約180機のTH-67教育用ヘリコプターの処分が予定されており、この任務を遂行しているのがASHプロジェクト部局である。多くの部隊においては、45歳のKWの引退を記念し、隊旗格納式(casing the colors ceremonies)の一部として、隊旗を掲げた部隊の前で最終フライトが行われた。

地平線上に

陸軍航空の機種全体を見渡すと、かつてない技術的進歩を遂げた高性能のシステム体系が保持されており、かつ、将来の更なる性能向上が約束されているように思える。しかしながら、極めて厳しい予算上の制約に対応するためには、今後も優先的に取り組むべき事業を的確に選別するとともに、それに対してレーザーのように正確に焦点を当ててゆく必要がある。また、「技術革新に価値を見出し、継続的に改善を目指す」という陸軍航空の文化を、今後も育んでゆかなければならない。現在、実施準備中のプログラムは、すべてこの文化によって生み出されたものばかりなのである。これまで、我々エンタープライズがやり遂げたことを誇りとするとともに、エンタープライズの構成員たちと企業のパートナーたちによる素晴らしい貢献に感謝の意を表する。「装備」という「柱」をしっかりと打ち立てることによって、即応態勢維持の一翼を担っているのは、我々なのだ。

陸軍准将ロバート・L・マリオンは、アラバマ州レッドストーン工廠に所在する米陸軍航空プログラム・エクゼクティブ・オフィサーです。

           

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2016年04月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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2件のコメント

  1. 管理人 より:

    UH-60Vは、L型にM型と同じアビオニクスを搭載して、その延命を図るプログラムのようですね。

  2. 管理人 より:

    FMS(Foreign Military Sales)の訳語を防衛省が使用している「有償援助」に修正しました。