小型UASの事故を報告せよ-データが戦闘力を生む
陸軍は、従来の教義や政策サイクルでは追いつかないほどのペースで、小型無人航空機システム(Small Unmanned Aircraft Systems, sUAS)の装備化を進めています。指揮官たちは近い将来、次々と登場する小型UASの中から、より広い状況認識と作戦的到達距離を実現するシステムを選択して活用できるようになります。各部隊がより多くの小型UASを運用するにつれ、どんな情報が必要なのかが明確になります。どのプラットフォームが安定した性能を発揮し、どのプラットフォームが不必要なリスクをもたらすのか、という情報です。

小型UASに関する現場の経験は、事故報告を通じて、教義改善・装備調達・戦闘力向上のための貴重な情報に変わります。事故報告を通じて即応態勢が強化され、隊員が信頼できるシステムを最も重要な局面で活用できるようになります。報告されない事故はすべて、次の部隊に静かに受け渡されるリスクです。事故が報告されなければ、陸軍は潜在的な危険・システムの問題・訓練不足に気づくことができません。正確な報告がなければ、指揮官は何を直すべきか、何に対策が必要か、何が任務に使えなくなっているかを判断できません。明確なデータがなければ、問題は継続し、リスクは拡大し続けるのです。
消耗品扱いのシステムでは、調査を必要とする基準に関して、混乱が生じることも少なくありません。低価格の小型UASの中には、財産管理・責任追及の目的から、消耗品または投棄可能品に指定されているものがあります。ただし、その指定によって、クラスA〜Eの事故報告の必要性がなくなるわけではありません。また、ALARACT 062/2025(全陸軍活動通達第062/2025号)は、故意の怠慢または刑事的不正行為が疑われない場合に、一部の調査を免除する裁量を指揮官に認めています。しかし、事故を報告する必要性は変わりません。報告は依然として義務であり、隊員の安全を守るために不可欠なのです。

指揮官は、報告すべき損害額の基準を理解しておく必要があります。損害の見積額が5,000ドル以上となるsUASの事故は、報告が義務づけられています。その基準を下回る事故は指揮官の裁量に委ねられますが、潜在的な危険・システムの問題・訓練不足が原因と考えられる事案については、報告することが強く推奨されます。異常接近(near miss)は、常に報告されなければなりません。不安全事案は、より大きな問題の早期警告となることが多く、匿名での報告も可能です。
事故調査と行政処分調査は、それぞれ異なる目的を持っています。DODI 6055.07、AR 385-10及びDA Pam 385-40は、事故調査を事故防止のみを目的とした特権的手続きとして定めています。調査において収集された事実以外の情報は保護されており、懲戒処分やAR 15-6手続きに使用することはできません。この仕組みにより、透明性を保ちながら、継続的に学べるようになっています。
報告を怠ることは、1機の機体にとどまらない結果をもたらします。各部隊に共通する問題の傾向が、検知されないまま進展することになりかねません。組織的な問題は是正されないままになります。訓練上の不備も特定されません。陸軍は、要求された性能に達しないシステムへ投資を続ける傍ら、信頼性の高いシステムを見過ごしてしまう危険があります。正確な報告があれば、上級指揮官は資源と能力の配分について、適切な判断を下すことができます。信頼できるシステムは、戦闘力を生み出します。信頼性の低いシステムは、既に厳しい時間的制約と距離の制限がある状況で、さらに作戦を阻害します。信頼性の高いシステムは、陸軍がマルチドメイン作戦及び大規模戦闘作戦(LSCO)に備えるにあたって、競合環境下における兵站への負担を軽減し、戦闘力を維持することに貢献します。
事故の報告は簡単です。すべての報告は、safety.army.milにある陸軍安全管理情報システム(Army Safety Management Information System, ASMIS 2.0)を通じて提出できます。部隊は、事故報告、異常接近報告、及び「Should I Report?(報告すべきか?)」ツールを使用して報告の必要性と通知のタイムラインを確認することができます。まずは、第一報があれば状況が明確になり、必要に応じて安全担当者による支援が可能になります。
無人機技術の急速な発展は、規律ある報告文化を必要とします。部隊が生成するデータは、陸軍の各種刊行物、調達上の判断、及びリスク軽減の戦略の基礎となります。1件1件の報告が、何が有効で、何が有効でなく、どこに改善が必要かについての理解を深めます。事故報告は、書類手続きや装備費の管理が目的ではありません。その目的は、任務の成否が問われる局面において、部隊員を守り、装備したシステムが期待された性能を発揮できるようにすることです。今日の着実な報告こそが、明日、隊員が信頼できるシステムを作り上げるのです。各部隊の即応態勢を強化し、システムの信頼性を向上させ、部隊を守るために必要なのは、一貫性があり透明性の高い報告なのです。
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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