第2-159攻撃大隊の「オペレーション・スカイフォール」――対無人航空機システム戦闘に向けたアパッチの射撃技術の開発

2027年3月、東欧。第12戦闘航空旅団の第2-159攻撃大隊は、北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization, NATO)の東翼での事態が大きく緊迫したことを受け、第5軍団とNATOの防衛を支援するため東方へ展開する。第5軍団の後方地域では、ジョーンズ上級准尉3とシュミット准尉1が、即応態勢3(Readiness Condition 3)でAH-64Eのかたわらに待機し、ドローン飛来の警報を待っている。
突然、大隊指揮所から無線が入る。AN/MPQ-64センチネル・レーダーが師団と軍団の後方地域へ向かうグループ3のゲラン2ドローンの一群を探知したため、両名の戦闘ヘリ・チーム(Air Weapons Team, AWT)にあらかじめ定められた空域への発進を命じるものであった。両名は発進し、センチネルからリンク16で送られてきた目標に向けて低空を飛行しながら、火器管制レーダー(fire control radar, FCR)で地平線のすぐ上を走査する。はじめは何も映らないが、やがて操縦士のヘルメット・マウント・ディスプレイ(helmet mounted display, HMD)にアイコンが現れる。火器管制レーダーがゲラン2を探知し、搭乗員の注意をその方向へ向けさせる。戦闘ヘリ・チームは、新たに定められた対無人航空機システム(counter-unmanned aircraft system, C-UAS)タスクと近接信管付き30ミリ弾を用い、115ポンド(約52キログラム)の弾頭を持つゲラン2が師団・軍団の目標に体当りする前にこれに接近し、そのうち4機を撃破する。
このシナリオは、対無人航空機システム作戦におけるAH-64Eの運用構想を描いたものである。こうした事態に備えるため、第2-159攻撃大隊は、2026年3月16日から20日にかけて「オペレーション・スカイフォール」を実施した。そのねらいは、アパッチ・プログラム管理事務局(PM Apache)と第1-151航空連隊が実施した「オペレーション・フライスワッター」を踏まえ、その実験を引き継いで戦術、技術および手順(tactics, techniques, and procedures, TTP)をさらに練り上げ、アパッチを運用する部隊全体で共有することである。
実験の目標
第2-159攻撃「ガンスリンガー」大隊は、「オペレーション・スカイフォール」において四つの目標を定めた。第一に、得られた教訓を実任務部隊にそのまま生かせるよう、実際の運用に近い環境で試すこと。第二に、飛行従事区分(flight activity category, FAC)Iの搭乗員を優先的に参加させ、一線の操縦士がこの任務を遂行できることを実証すること。第三に、多様な射撃要領を試して戦術的に意味のあるものに練り上げ、米陸軍航空教育研究センター(U.S. Army Aviation Center of Excellence, AVCOE)とアパッチを運用する部隊に速やかに伝達すること。第四に、第5-4防空砲兵連隊(機動近距離防空(Maneuver-Short-Range Air Defense, M-SHORAD)部隊)と連携し、対無人航空機システム戦闘を分担するための協同の戦術、技術および手順と、通信の枠組みを作り上げることである。
実施環境
「オペレーション・スカイフォール」は、グラーフェンヴェーア演習場(Grafenwöhr Training Area, GTA)の第301射場で実施された。同射場は、第2-159攻撃大隊が日頃から航空射撃訓練に使用している場所であるうえ、起伏に富んだ地形と樹木があり、欧州において同大隊が実際に運用される可能性の高い地域とよく似ている。射撃はいずれも、日中、良好な天候の下で行った。

「脅威」役には、グループ3の無人航空機システムであるグリフォン・エアロスペース社製MQM-170Cアウトローを用いた(Department of the Army, 2025, p. 3)。アウトローは、ゲラン2(シャヘド)と比べると全長が短く(8.75フィート(約2.7メートル)に対し11フィート(約3.4メートル))、翼幅は長い(10.8フィート(約3.3メートル)に対し8.2フィート(約2.5メートル))。ただし、ゲラン2はデルタ翼であるため、目標として狙える面積はゲラン2のほうが大きい(Wolf, 2024; Griffon Aerospace, 2024)。射場の制約からアウトローは手動操縦としたため、速度・姿勢・高度・飛行経路はいずれも絶えず変化した。射線方向およそ3キロメートルの経路を飛ぶアウトローを捕捉し、照準し、射撃姿勢を整え、射撃するために搭乗員に与えられた時間は、1分に満たなかった。
射撃を行う地形も、目標の飛び方も、その大半は実験側が選べるものではなく、射場の制約によって決まってしまった。しかしそれが、かえって実験を実戦に近いものにした。搭乗員は、射場に入る前からアウトローのおおよその位置を把握していたが、複雑な地形の中を不規則に飛ぶ目標に対して射撃態勢を整えるのに使える時間は、それでもきわめて短かった。
兵装と照準装置
ガンスリンガー大隊は、通常の30ミリ訓練弾とフレシェット・ロケット弾に加え、今回の実験のためにAPKWS(Advanced Precision Kill Weapon System)ロケット弾を要求し、これを受領した。射場の制約により、ヘルファイア・ミサイルと統合空対地ミサイル(Joint Air-to-Ground Missile, JAGM)は試験できなかった。空対空射撃の危険区域(weapons danger zone, WDZ)の承認については、大隊の射撃担当士官とグラーフェンヴェーア演習場の実弾射撃課の尽力により承認を得ることができた。期限までに承認を得るには、この射撃が前例のないものであることを早い段階から強く訴えておくことが重要である。
搭乗員は、AH-64Eが備える三つの照準装置、すなわち目標捕捉・指示照準装置(Target Acquisition and Designation Sight, TADS)、火器管制レーダー、パイロット・ヘルメット・サイト(Pilot Helmet Sight, PHS)のすべてを用いて、アウトローの捕捉を試みた。
搭乗員の選定

「オペレーション・スカイフォール」には、5組の搭乗員が参加した。まず大隊の技量評価操縦士(standardization pilot, SP)と射撃担当士官が射場の適否を確かめ、続いて、使用できる弾種を用い、射撃要領と射距離を変えながら試験を行った。残る搭乗員組は、いずれも機長(pilot-in-command, PC)2名(大隊で最も新しく機長となった2名を含む)の組み合わせであり、操縦経験時間は、1組あたりの合計で1,150時間から1,550時間の範囲であった。試験への参加は機長に限り、大隊の技量評価操縦士が選定した者ではあるものの、8名の搭乗員のうち6名は飛行従事区分Iの操縦士であり、第一線の搭乗員を代表しているといえる。一部の搭乗員組は、スカイフォールの実施に先立ち、ロングボウ・コレクティブ・トレーナー(AH-64の集合訓練用シミュレーター)による4時間の訓練と、空対空の射撃を模擬した実機による1回の飛行を修了した。
第5-4防空砲兵連隊との連携
第2-159攻撃大隊は、同じアンスバッハ米陸軍駐屯地に所在する第5-4防空砲兵連隊と調整することにより、「オペレーション・スカイフォール」に使うアウトロー無人機を確保することができた。また、第5-4防空砲兵連隊がリンク16を運用できると確認できたことから、デジタル通信と、航空・防空が協同で用いる戦術、技術および手順を実験の目標に加えた。実験に際しては、第5-4防空砲兵連隊A中隊が第301射場に展開した。
結果
「オペレーション・スカイフォール」は、ガンスリンガー大隊にとどまらず、他部隊にも広く有益な知見をもたらした。第一に、30ミリ弾とフレシェット・ロケット弾による射撃については、「オペレーション・フライスワッター」の結果をおおむね再現したうえで、その結果が、低空、時間の制約、複雑な地形、不規則な目標の飛行経路といった実戦に近い条件の下でも当てはまることを確かめた。第二に、この任務が、実際にこれを命じられる可能性の最も高い第一線の搭乗員によって達成できることを実証した。第三に、多様な射撃要領を試験し、その詳細な結果を、他部隊に伝達できる形にまとめた。特筆すべきは、「オペレーション・スカイフォール」の中で戦術、技術および手順に改良を重ねた結果、最終日の2組の搭乗員が、より高い成果を挙げたことである。この結果は、AH-64Eがこの役割に適しているかどうかについて結論を出す前に、より広範な試験と慣熟が必要であることを示している。最後に、「オペレーション・スカイフォール」では、航空部隊と防空部隊との間でリンク16による目標情報の受け渡しを実現できなかった。両部隊間でリンク16の接続を確立できなかったためである。このことは、こうした能力を求めるのであれば、両職種がより頻繁に協同する必要があることを示している。
照準装置
目標の捕捉については、搭乗員が三つの照準装置すべてを試した。最も効果的だったのは、操縦士が目視で目標を確認し、機内で副操縦士/射手に目標を引き継ぐ方法であった。目標捕捉・指示照準装置は視野が狭いため、目視による指向がないままアウトローを捕捉する用途では、有用性が限られた。火器管制レーダーは、上から見下ろす形で走査した場合、目標の識別と追随に苦労した。地面からの反射(グランド・クラッター)が原因と考えられる。これに対し、AH-64Eが対地高度25フィート(約8メートル)以下でホバリングし、上方に向けて走査した場合には、使用に堪えるレーダー反射とヘルメット・マウント・ディスプレイのアイコンが確実に得られ、目標の方向を知ることができた。ただし、この結果は夜間や地形の異なる場所では変わる可能性があることに、留意する必要がある。
兵装
ガンスリンガー大隊の搭乗員は、パイロット・ヘルメット・サイトと目標捕捉・指示照準装置のいずれを用いた場合も、30ミリ訓練弾を狙いをつけて10〜20発ずつ連射することにより、アウトローの撃破に成功した。一方、フレシェット・ロケット弾は効果がなかった。APKWSロケット弾による空対空射撃は、不規則に動く目標にレーザーを当て続けることが難しいため、試みなかった。大隊の技量評価操縦士であるウォルター上級准尉4は、個々の射撃要領ごとの結果をまとめた研究報告(white paper)を作成し、米陸軍航空教育研究センターに提供するとともに、陸軍全体の関心のある部隊と共有できるようにした(Walter et al., 2026)。
※この報告の詳細については、ダニエル・T・マーフィー少佐(daniel.t.murphy61.mil@army.mil)またはジャラッド・M・ウォルター上級准尉4(jarrad.m.walter.mil@army.mil)に問い合わせられたい。

提言
陸軍航空が統合軍の一員として対無人航空機システム戦闘に加わろうとするのであれば、いくつかの取り組みを進めるべきである。第一に、今後の試験では、アパッチ単独の射撃にとどまらず、対無人航空機システム戦闘においてアパッチが一つの結び目として組み込まれる、探知から射撃までの連携の全体(sensor-to-shooter kill web)を対象とすべきである。そのためには、防空部隊とAH-64Eとの間のリンク16の接続に、より重点を置く必要がある。双方向で目標を引き継ぐ能力のためであり、友軍誤射を防ぐためでもある。第二に、AH-64Eの「使いどころ」を具体的に作り上げ、これを周知すべきである。現在のAH-64Eの装備は、グループ1および2の無人航空機システムに対しては効果が乏しいかもしれないが、本稿の冒頭に掲げた想定は、グループ3の無人航空機システムとの戦いにAH-64を用いる場合の、戦術的に現実味のある一例を示している。この戦いは、ウクライナでも、現に続くイランとの紛争でも、実際に問題となっているものである。すでにAH-64を対無人航空機システムの用途に運用している同盟国・友好国(イスラエルやアラブ首長国連邦など)は、その教訓事項と運用構想を共有してくれる可能性がある。第三に、安価な空対空兵器(近接信管付き30ミリ弾など)は、実射訓練とシミュレーター訓練のいずれにおいても、機会があるかぎり取り入れるべきである。最後に、準備に長い期間を要することを考慮し、アパッチの射撃訓練にアウトローその他の標的用無人機を使えるようにするための契約手続を、防空砲兵の射撃訓練の契約を手本として、今から始めるべきである。

結言
対無人航空機システム任務におけるAH-64Eの役割を教義上に位置づけることが、技術的または経済的に成り立つかどうかを見極めるには、より広い視野からの分析が必要である。その分析では、脅威側の能力、アパッチが現在および将来に備える弾薬の能力、そして陸軍が現に保有しまたは整備を計画している他の対無人航空機システム能力と比べた費用を、あわせて検討しなければならない。その分析の結果がどうであれ、「オペレーション・スカイフォール」は、現在の一線のAH-64E搭乗員が、現有の兵器で、複雑な地形の中にあるグループ3の無人航空機システムを捕捉し撃破できることを示した。この能力は、対無人航空機システム任務に合わせて兵装・照準装置・訓練を改善すれば、さらに高まっていく一方である。
参考文献
Department of the Army. (2025, May 23). Counter-unmanned aircraft system (C-UAS) operations (Army Techniques Publication 3-01.81, Table 1-1). https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/ARN43877-ATP_3-01.81-000-WEB-1.pdf
Griffon Aerospace. (2024). Outlaw G2: The workhorse. https://www.griffonaerospace.com/products/outlaw-g2/
Walter, J., Schoonover, C., & Barrett, K. (2026). Increasing accuracy and confidence with AH-64E in counter unmanned aircraft system (C-UAS) employment.
Wolf, F. (2024, July 15). GERAN-2, from low-cost missile to lurking ammunition. MetaDefense. https://meta-defense.fr/en/2024/07/15/geran-2-drone-russe-low-cost-cerbair/
ダニエル・マーフィー少佐は、現在、ドイツ・カッターバッハに所在する第12戦闘航空旅団第2-159攻撃大隊の副隊長。過去には、第4戦闘航空旅団で空中騎兵中隊長および航空整備中隊長を、第25戦闘航空旅団で小隊長を務めた。指揮幕僚大学の「アート・オブ・ウォー・スカラーズ」課程で軍事学修士号を、マサチューセッツ工科大学で理学修士号および経営学修士号を取得している。
ジャラッド・ウォルター上級准尉4は、第2-159攻撃大隊の航空技量評価官。AH-64アパッチの操縦士で、過去には第4-6空中騎兵大隊および第1-3攻撃大隊の航空技量評価官を務めた。アメリカン・ミリタリー大学で准学士号を取得している。
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
アクセス回数:121