深すぎるのか、浅すぎるのか?――「縦深攻撃」が教義用語に復帰したことの功罪

はじめに
2025年3月に公刊された教範(Field Manual, FM)3-04『陸軍航空』を初めて目にしたときのことは、その場所まではっきり覚えている。私はすぐさま、当時フォート・ラッカーの訓練教義局にいた友人に手紙を書き、改訂に尽力してくれたことに礼を述べた。彼とその同僚たちは、古参の騎兵・攻撃ヘリ操縦士の多くが長年待ち望んでいたことを成し遂げたのである。冗長で扱いにくい「友軍と接触していない敵部隊に対する攻撃(attack on enemy forces out of friendly contact)」という用語を廃し、昔から使い慣れた「縦深攻撃(deep attack)」に戻したのだ。意味はまったく同じだが、後者には前者にはない力強さがある。「縦深攻撃」のほうが、口にしたときの据わりが良い。この言葉には一種の勇ましさがあり、数十年、数百年前の騎兵による大胆な襲撃を思い起こさせる。航空科の古参たちは、公式用語から消えた後もこの言葉を使い続けていた。それが何を指すのか、我々は皆わかっていた。私はこの用語の復活を当時歓迎したし、今もその考えは変わらない。
予想していなかったのは、「縦深(deep)」という語そのものが招く混乱である。師団や軍団が目標とする縦深地域(deep area)を指すこともあるが、必ずしもそこに限られるわけではない。ところが、この語はあたかもそこに限られるかのような印象を与えてしまう。機動部隊指揮官に任務の選択肢を余すところなく提示するには、これらの任務の定義と、それを用い得る状況を正しく理解していることが欠かせない。そして、大隊・旅団レベルの航空科士官には、その正しい理解を上級部隊の参謀に教え込む、いわば「上に向かって教える(teach up)」責任がある。
教義用語の変更
2025年版のFM 3-04は、縦深攻撃を「将来の作戦の条件を作為するため、友軍の直接照準火力の射程外にある敵部隊に対して実施する攻撃」と定義している(56ページ)。2020年4月付の旧FM 3-04は、従来の用語「友軍と接触していない敵部隊に対する攻撃」に対し、ほぼ同一の意味を与えていた。すなわち「陸軍航空の攻撃・偵察部隊は、友軍の地上機動部隊と近接して接触していない敵部隊に対して独立して機動し、敵の能力が友軍に向けられる前にこれを転向、妨害、遅滞または撃破するため、応急攻撃または周到攻撃を実施する」(3-8ページ)というものである。さらに遡れば、FM 3-04.126(2007年)は、ほぼ同じ意味で「阻止攻撃(interdiction attack)」という用語を使っていた(1-4ページ)。つまり、教義上の用語は何度か変わったが、変わったのは呼び方だけであって、中身は一貫して同じである。定義について特筆すべき変更といえば、簡潔に書き直されたことくらいだ。
ここで注目すべきは、いずれの定義にも「師団や軍団の縦深地域に向けて行う」という戦場の区画上の限定が書かれていないことである。私が調べ得た限り、どの時代の教範にもそのような意図はなかった。言い換えれば、縦深攻撃は、師団の近接地域、すなわち旅団戦闘団(Brigade Combat Team, BCT)の作戦地域(Area of Operations, AO)の中であっても、直接照準火器の射程のすぐ外側で行えば教義上まったく正当であり、状況が求めるなら、むしろそうすべき場合が多い。攻撃ヘリコプター部隊ほど、攻勢・防勢の転換の局面で機動部隊指揮官のテンポを保つことに寄与できる戦闘職種はない。
対反乱作戦から大規模戦闘作戦へ
用語の語感が判断を狂わせる例は、これが初めてではない。対反乱作戦(counterinsurgency, COIN)から大規模戦闘作戦(Large-Scale Combat Operations, LSCO)への転換は、私の勤務歴の半分にわたって進行してきた。その転換が極まったと感じたのは、ある上級指揮官が、攻撃ヘリコプター部隊の任務に「別命により(on order)」や「〜に備えよ(be prepared to)」という用語が使われたことに厳しく反応するのを耳にしたときだった。おそらく彼は、周到な計画立案の手順を徹底させたい一心で、そうした用語を対反乱作戦時代の安易な計画の名残と決めつけたのだろう。それは当時も誤った思い込みであったし、今も同じ思い込みに陥りかねない。時代遅れの対反乱作戦の戦術・技法・手順から距離を置こうと急ぐあまり、我々は時に大切なものまで一緒に捨ててきた。「別命により」という用語を使うのをためらうのは、その一例にすぎない。一定の条件(トリガー)で発動する作戦のために周到に計画を立てることも、周到な計画立案であることに変わりはない。あの指揮官の頭にあったであろう、座標・周波数・呼び名だけを伝えて飛ばす旧来のやり方とは、まったく別物であり、はるかに綿密なものである。
「縦深攻撃」という語は、一見すると「どこで行うか」という場所を示しているように見えるが、本来は「友軍の火力射程外にあるか」という条件を示す語である。こうした語に戻したことで、我々は自ら混乱の種をまいたのかもしれない。旧FM 1-112『攻撃ヘリコプター作戦』(1997年)は、誰もがよく知る別の用語を使って縦深作戦を定義することで、この混乱を避けていた。同教範は縦深作戦を「襲撃(raid)」と同義に扱い、師団におけるその役割を「戦場の条件を作為する」こと、「敵をその縦深全体にわたって攻撃する」ことと定めていた(1-6〜1-7ページ)。さらに、その攻撃対象は「現在は交戦していないが、今後24〜72時間のうちに師団または軍団の近接作戦に影響を及ぼし得る敵部隊」とされていた(1-6ページ)。ここに明文で示されているとおり、縦深攻撃の要件は、少なくとも1997年の時点で、「部隊の境界線からどれだけ離れているか」ではなく、「早ければ今後24時間のうちに作戦に影響し得る位置にある敵部隊に対して、縦深にわたり条件を作為すること」にあった。
そもそも縦深攻撃と近接攻撃を区別する理由は、用語が暗示するような物理的な距離ではなく、機動部隊とどのように協同するかの違いにある。近接攻撃(かつての「友軍と近接して接触中の敵部隊に対する攻撃(attack on enemy forces in close friendly contact)」)は、彼我の機動部隊の間で直接照準火力が飛び交う、混沌とした極めて激しい空間で行われる。彼我の間隔は、遠くても5キロメートル程度、近ければ文字どおり入り乱れて境界線が判然としないほどである。近接攻撃は、友軍がほぼ常に通信と火力の優越を有し、敵の技術水準が限られていた対反乱作戦の環境では、たいてい成り立った。しかし、その前提はもはや成り立たない。友軍の機動部隊指揮官にとって、この空間では有効な状況把握を維持することすら十分に難しい。ましてファイター・チェックイン(fighter check-in、支援機が支援対象部隊に対して無線で行う申告手順)を済ませて飛び込んでくる攻撃ヘリ小隊にとっては、なおさらである。
師団が攻撃ヘリコプター部隊をしばしば縦深攻撃に充てるのは、それ自体はまったく正しい。しかし、この能力を最大限に活用するには、縦深攻撃は師団の近接地域、すなわち旅団戦闘団の作戦地域の中であっても、直接照準火器の射程の外側(いわば「旅団の縦深」)に向けてであれば行い得るという理解が必要である。友軍と接触していない敵を叩くものである限り(陸軍省、2025年、55ページ)、それは依然として教義に適った、しかも効率的な回転翼機の戦闘力の使い方である。
近接攻撃と縦深攻撃
大規模戦闘作戦では、近接攻撃も縦深攻撃も、戦場の区画における実際の距離にかかわらず、詳細な統合と周到な任務計画を必要とする。両者で異なるのは、統合の性質である。近接攻撃では、被支援地上部隊との詳細な統合が必要になる。速やかに状況を把握し、友軍誤射を防ぎながら、旅団の火力と機動をリアル・タイムで増強し直接支えるためである。しかし、有人回転翼機が直接照準火力戦闘の中で発揮できる効果は、大規模戦闘作戦におけるその規模と速度、とりわけ戦術レベルにまで小型UASと防空システムが広く行き渡った現状を考えれば、ほとんどの状況で大きく制約される。したがって、近接攻撃がこれらの装備の最良の使い方となることはめったにない。師団の計画立案者が縦深攻撃を推す背景には、まず間違いなく、この近接攻撃の不利を避けたいという判断がある。

一方、縦深攻撃では、向かう先が師団や軍団の縦深地域であれ旅団戦闘団の作戦地域であれ、複数の梯隊にまたがる詳細な統合が必要になる。各部隊の境界線を越える超越交代を同期させ、統合軍および上級部隊の支援要素(enabler)を調整するためである。これらの支援要素は、諸効果を収束させる機会(convergence window)を開くうえで欠かせない。任務の成否は、しばしばこの機会を確保できるかどうかにかかっている。縦深攻撃は、効果を最大化しにくい現在の戦闘で地上部隊指揮官を直接支援するのではなく、敵の指揮統制拠点、長距離火力、後方支援といった高利得目標(high-payoff target)を撃破する。それによって敵のテンポを崩し、近い将来(24〜72時間後)に旅団戦闘団が成功するための条件を整えるのである。縦深攻撃はまた、接触中の敵に新たなジレンマを突きつけることで、近接戦闘にも即座に影響を及ぼし得る。ここで肝心なのは、こうした縦深攻撃が、敵情、地形、目標の性質によっては、前方展開線(forward line of own troops, FLOT)からわずか10〜20キロメートルの範囲で行われ得るということである。参謀や指揮官は、10〜20キロメートルと聞いても直感的に「縦深」とは思わないかもしれない。しかし、教義上はそれで十分に「縦深」なのである。

航空固有の用語を正確に理解していない作戦参謀(S3/G3)は、AH-64を最も効果的に使えない前提で計画を立てかねない。その結果、任務の幅は不必要に狭められ、師団長に提示される選択肢は不完全なものになる。仮に「旅団の縦深」という戦場の区画があるとすれば、攻撃大隊が真価を発揮するのはまさにそこだと私は考える。兵站の面では自力で支えられるほど近く、それでいて軟目標に最大の損害を与えられるほど深い。直接照準火力の戦闘からは離れているため競合せず、敵のターゲティング・サイクル(目標捕捉から射撃に至る手順)が日々巧妙になる中でも、捕捉され攻撃される機会が減って生存性が高まる。
結論
文字どおり敵の奥深くまで踏み込む縦深攻撃は、伝説として語り継がれる類のものである。J・E・B・スチュアート准将によるマクレラン軍の周回(Hartwig, 2021)から、ベンジャミン・グリアソン大佐によるミシシッピ奥深くへの襲撃(Holloway, 2022)まで、そうした攻撃には確かに出番があり、今日でも成功し得る。しかし、現代の戦場でこれを成り立たせるために必要な資源と、失敗したときの代償を考えれば、それはあまりにも高リスクであり、得られる利益がそれに見合う場合にのみ用いるべきである。したがって、航空科の隊員は、教義用語を正確に使いこなし、選択肢の実際の幅とリスク、そして期待できる成果を明確に説明できなければならない。それができてはじめて、師団長・軍団長に対し、即応可能で現実的かつ達成可能な各種任務を提示し続け、大規模戦闘作戦の戦場における諸兵科連合の機動を強化できる。教義用語に関する誤解のせいで、攻撃ヘリコプター部隊が提供できるものを狭めてはならない。さらに悪いのは、自分だけがこの教義用語を正しく使いこなせないという事態だ。それだけは避けなければならない。攻撃!
参考文献
Department of the Army. (1997). Attack helicopter operations (Field Manual 1-112). https://share.google/mUU8KtvbaFoe00KL1
Department of the Army. (2007, February 16). Attack reconnaissance helicopter operations (Field Manual 3-04.126). https://share.google/JrN0v9JEPYT1WDk5V
Department of the Army. (2020, April 6). Army Aviation (Field Manual 3-04). https://share.google/oTivLLxzllqoba6iG
Department of the Army. (2025, March 27). Army Aviation (Field Manual 3-04). https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/ARN43343-FM_3-04-000-WEB-1.pdf
Hartwig, S. (2021, August 12). J.E.B. Stuart goes another round with McClellan. HISTORYNET. https://historynet.com/j-e-b-stuart-goes-another-round-with-mcclellan/
Holloway, R. H. (2022, June 1). Deep cut into Dixie: Inside the Union raid that tore the heart out of Mississippi. https://historynet.com/deep-cut-into-dixie-inside-the-union-raid-that-tore-the-heart-out-of-mississippi/
ジェフ・ヘイズ中佐は、アラスカ州フォート・ウェインライトの第25航空連隊第1大隊(攻撃)の大隊長である。これまでにOH-58D騎兵中隊長、攻撃大隊の作戦参謀(S3)および副隊長、空中騎兵リーダー課程(Air Cavalry Leaders Course)の課程長などを歴任した。
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
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