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陸軍航空の情報センター

過去の記事から:樹木に当てたら一発アウト!

上級准尉5 ビル・ラムジー
第8軍G-3航空課

Flightfax 2026年8月号(第156号)— 過去の記事から:1999年6月号(第27巻第6号)より再掲

ジョイス・キルマーの詩『木』(Trees)は、樹木の美しさをうたっています。しかし、この穏やかな巨人たちの間を縫って飛ぶ陸軍ヘリコプターの操縦士は、違った見方をしているかもしれません。事故データによれば、樹木は陸軍ヘリコプターにとって最大の危険要因です。過去5年間に、OH-58D、AH-64およびUH-60の樹木接触により、搭乗員9名が死亡し、20名が重傷を負い、多数のヘリコプターが大破または損傷しています(表1)。

このデータは、ヘリコプターがどの国のどんな防空システムにも劣らないほどあっという間に、樹木によって撃ち落とされてしまうことを示しているのかもしれません。では、それはなぜでしょうか。なぜ陸軍のヘリコプターは樹木に接触するのでしょうか。私たち操縦士は、樹木の周囲で飛行するための適切な訓練を受けているのでしょうか。樹木に接触した各機種の間に、何か共通点はあるのでしょうか。疑問はいくらでもありますが、答えはあるのでしょうか。

私自身の経験から

1972年のこと(読者の中にも、そのころから勤務している方がいるでしょう!)、私の部隊はインディアナ州のキャンプ・アタベリーで野外演習を行いました。訓練の一部で、私たちはOH-58Aを思い切り低く、樹木すれすれに飛ばすよう指示されました。これは「ほふく飛行(nap-of-the-earth, NOE)」と呼ばれていました。1972年当時、これは私たち若いパイロットにとって、まったく新しいものでした。タスクや条件、基準を示した搭乗員訓練マニュアル(Aircrew Training Manual, ATM)もありませんでした。ほふく飛行の前に受けるべきクルー・コーディネーションの訓練課程もありませんでした。飛行前ブリーフィング用紙、危険見積、安全管理といった考え方も、まだ存在していませんでした。暗視装置(Night-Vision Device, NVD)はまだ開発段階でした。ほふく飛行の技法を練習できる視覚シミュレーターもありませんでした。当時頼りにできたのは、ベトナムから帰還した操縦士たちだけでした。生き延びて次の日も飛ぶために、自分たちが知る飛び方だけで豊富な経験を積んできた人たちです。

話がそれました。

私たちが受けた指示は、「ほふく飛行で、できるだけ植生に近づいて飛べ。それから言っておくが、ブレードを木に当てたら、基本的に自己責任だ」というものでした。

前半に異論はありませんでした。実のところ、どこまで低く、どこまで樹木に近づけるかを試すのは、とても楽しかったのです。そこまではよかったのです。私が引っかかったのは、「ブレードを木に当てたら自己責任だ」という部分です。

楽しい時間はわずか半日で終わりました。メイン・ローター・ブレードが樹木に当たり、ブレード1枚が損傷したのです。大きな損傷ではありませんでしたが、整備操縦士が機体をフォート・ノックスへ後送しなければなりませんでした。私たち(4等准尉と中尉)は、持てる技量と経験のすべてを使って機体を樹木から遠ざけていましたが、二人合わせて500時間の飛行経験では足りませんでした。私たちは失敗したのです。いや、はっきり言えば、失敗したのは私です。ほふく飛行中にメイン・ローター・ブレードを樹木に当ててしまったのは、私なのです。

振り返ってみると、私たち二人とも、ほふく飛行の技法についても、ほふく飛行に伴う危険についても、適切な訓練を受けていなかったのだと気づきました。

任務

今日のヘリコプターの世界では、生き残ることが最優先です。陸軍の操縦士にとってはなおさらです。ヘリコプターを撃ち落とすさまざまな手段が世界中で開発されており、戦闘状況下で飛行する可能性が排除できない以上、操縦士は機体をできるだけ植生に近づけて飛ぶ訓練を積む必要があります。今日の陸軍ヘリコプター操縦士はそのように訓練されており、その多くにとって、ほふく飛行は日常そのものです。その訓練は、昼夜を問わず行われています。

今では、かつて危険度が高いと考えられていたほふく飛行のような任務が、日常的なものと考えられるようになっています。しかし、よく考えてみると、それらは本当に「日常的」なのでしょうか。私たち操縦士は、ほふく飛行に慣れすぎて、周囲の状況に対して気が緩んでしまってはいないでしょうか。

訓練

今日の陸軍の新人操縦士は、航空学校で、ほふく飛行、低高度水平飛行、地形に沿う飛行を含む超低空飛行の訓練を徹底して受けます。樹木をはじめとする、超低空飛行に伴う危険要因についても学びます。搭乗員訓練マニュアルにはタスク、条件、基準が定められており、操縦士はそれに照らして評価されます。航空学校を修了した後も、ヘリコプターの操縦士は、年次技量査定(Annual Proficiency and Readiness Test, APART)において、樹木の間で機体を操縦する能力を毎年評価されます。評価は昼間だけでなく、暗視装置を使用して夜間にも行われます。

今日の操縦士は、正規のクルー・コーディネーション訓練を受けることが義務付けられています。空間識失調、相対運動、奥行知覚、視覚錯覚についても教育を受けます。今や安全管理は任務の計画立案と訓練の柱となっており、どの部隊でも飛行前ブリーフィング用紙と危険見積用紙を使って綿密な計画を立てています。

それなのに、なぜこれほど多くの樹木接触が起きるのでしょうか。

心構え

陸軍航空に27年間身を置く中で、私はさまざまな言葉を耳にしてきました。

「樹木接触は、操縦士が仕事をする上での必要経費だ」

「次に樹木接触を起こした操縦士は、基本給2か月分の減給だ」

これらの言葉のいずれかが、陸軍における樹木接触の防止に役立つでしょうか。駆け出しのころに樹木接触を経験した操縦士として言えるのは、どちらの言葉を聞いても、少しも気持ちが楽にはならなかったということです。それでも、あの日傷ついたのが私のプライドだけで済んだのは幸運でした。誰もが私ほど運が良かったわけではありません。

ここ数年に私が話を聞いた部隊の操縦士の大半は、仕事に対してとても前向きで、飛ぶことを心から楽しんでいます。学ぶ意欲も高く、どんな任務でも進んで引き受けます。彼らと話していてほぼ必ず出てくるのは、ほふく飛行、特に暗視眼鏡(Night Vision Goggle, NVG)を使用したほふく飛行に、すっかり慣れてしまったということです。慣れすぎているのかもしれません。よく聞くのは、「この任務は100回飛んだが、一度も木に当てたことはない」という言葉です。この考え方は、技量ではなく思い込みで飛ぶことにつながり、事故を招きかねません。

練度

機種によっては、飛行時間のほとんどをほふく飛行に費やすこともあります。それだけ樹木に接近する機会が多く、樹木接触の可能性も高いということです。

本稿の執筆にあたって樹木接触事故を調べる中で、いくつかの共通点に気づきました。教官操縦士(Instructor Pilot, IP)が搭乗していた樹木接触事故が次々と見つかったのです。特にOH-58Dで顕著でした。実際、あるクラスA事故では、搭乗していた2名がともに教官操縦士で、二人の飛行時間は合わせて7,000時間を超えていました。操縦席にそれだけの経験があったということです。

予算の制約と飛行時間の削減により、操縦士がかつてほど飛行時間を確保できていないことは周知のとおりです。問題は、飛行時間が必ずしも操縦士の練度を反映しているとは限らないことです。操縦士に、どれだけ飛行時間を得ているか、そして個人の練度の質はどうか、尋ねてみてください。特に暗視眼鏡の分野では、練度を高めているのではなく、規定の飛行経験(currency)を維持しているだけだと感じている操縦士がいることが分かるでしょう。

練度は経験がものを言います。では、飛ぶ時間が減れば、どうなるでしょうか。低下すると考えるのが普通でしょう。一方で、樹木接触の件数を見ると、飛行時間も予算も潤沢だった時期にも、樹木接触は多発していました。では、何が問題なのでしょうか。

能力

テクノロジーの進歩によって、私たちは最新世代の非常に高性能なヘリコプターを手にしています。これらの機体は、(OH-58Dは例外ですが)より速く飛び、より遠くを見通し、より長射程で目標と交戦し、機内の航法システムで航法を行うことができます。ほとんど自力で飛んでくれると言ってもよいほどです。では、操縦士の役割はどこにあるのでしょうか。

OH-58Dの操縦士として、私はテクノロジーに追われて常に忙しいと感じています。つまり、機体のすべての装置を操作していると、手一杯になるのです。機体の装置の操作に没頭するあまり、機体を操縦することを忘れてしまったこともあります。これを「状況把握の喪失」と言います。また、もう一人の操縦士の操作に気を取られたり、何かを教えることに集中しすぎたりして、自分がどこにいるのかを忘れてしまったこともあります。ふと顔を上げると、暗視眼鏡を使用して、地上わずか6インチ(約15センチメートル)の高さを30ノット(時速約56キロメートル)で横滑りしていたこともありました。

本稿のために事故を調べたところ、装置の操作に没頭して状況把握を失ったことがあるのは、私だけではないことが分かりました。問題は、そうした操縦士の中には、私ほど幸運ではなく、事故に至った者もいたということです。

要するに、私たち操縦士は、機体の装置に振り回されて自分の能力の限界を超えることのないよう、肝に銘じなければならないということです。

事故の分析

OH-58D、AH-64、UH-60の事故データを調べたところ、いくつか興味深い傾向が見えてきました。

結びに

ほふく飛行は、タスク飽和に陥りやすい、負荷の高い仕事です。新人操縦士は航空学校で良質な訓練を受け、確かな基礎を築いています。私たちベテラン操縦士は、部隊に着任した彼らに良い習慣を教え込み、その良質な訓練を継続していかなければなりません。

私たちは、ほふく飛行に対する考え方を変えなければなりません。ほふく飛行任務を、改めて真剣に受け止めなければなりません。ほふく飛行は、状況、搭乗員、機種によっては、危険度の高い任務になり得ます。AH-64だけでも、過去10年間、樹木接触によるクラスA事故が平均して毎年1件近く発生しています。その分だけ即応性が失われているのです。

では、練度についてはどうでしょうか。今日の飛行時間の削減で最も打撃を受けているのは、個人の練度だと私は考えています。操縦士は、一人ひとりが機体の操縦に習熟しなければなりません。これは誰にとっても難しいことですが、特にUH-60の操縦士にとってはそうです。その任務の大半が編隊飛行だからです。暗視眼鏡を使用し、気象条件が悪い中で行う10機編隊の空中機動中に、個人の練度向上に取り組むのは困難です。私たちは、任務上のタスクだけでなく、個人としてのタスクにも習熟できるようにするための時間をパイロットに与えなければなりません。

そして最後に、能力について考えてみましょう。先進的なテクノロジーは良いものですが、時として、それを扱う操縦士の能力を超えてしまうことがあると私は考えています。OH-58Dの事故事例を調べる中で、そうした例を数多く目にしました。操縦士が装置の操作に没頭するあまり(タスク過多)、状況把握を失い、機体を樹木の中へとドリフトさせてしまった例が多く見られます。つまり、機体の装置に没頭するあまり、機体を操縦することを忘れてしまったのです。

皆さんに一つだけ伝えておきたいのは、ほふく飛行をするたびに、私たちは――一人残らず――事故まであと数インチ、あと数秒のところにいるということです。このことを決して忘れてはなりません。

表1 樹木接触事故(1994~98会計年度)

機種クラスAクラスBクラスCクラスDクラスE死亡者重傷者
OH-58D4176115
AH-6451141604
UH-6012213315811
合計104424022920

樹木接触事故の事例(抜粋)

AH-64

クラスA事故

3番機として尾根を越える際、メイン・ローター・ブレードが機体の右側、山側斜面の樹木に接触した。機体は樹木の中を降下し、墜落した。

クラスB事故

地面効果外ホバリング中、メイン・ローター・ブレードが樹木に接触した。機長(Pilot in Command, PC)は機体を前進させ、植生のまばらな草地に着陸した。

クラスC事故

狭隘地への進入中、機体に突然激しい振動が発生した。進入を中止し、1.5キロメートル離れた草地まで飛行した。飛行後点検で、メイン・ローター・ブレード4枚とテール・ローター・ブレード1枚に損傷が見つかった。

OH-58

クラスA事故

OH-58D(I)が、対抗部隊(Opposing Force, OPFOR)の地上目標に対する応急攻撃を実施中、地面効果外での定点ホバリングから後方へドリフトした。テール・ローターが松の木に接触し、さらに複数の樹木に接触した後、地面に墜落した。

クラスB事故

OH-58D(I)が、対地高度(Above Ground Level, AGL)250フィート(約76メートル)で地面効果外ホバリングを行いながら、機上目標引き継ぎシステム(Airborne Target Handover System, ATHS)の訓練を実施していた。操作を完了させるため、両操縦士が10~15秒間、注意を機内に向けた。機体は後方へ約200メートルドリフトし、テール・ローターが樹木の上部に接触した。

クラスC事故

操縦士が模擬ミサイル射撃の準備をする間、教官操縦士が暗視眼鏡を使用して地面効果外での定点ホバリングを維持していた。教官操縦士は機体を後方へ約25フィート(約8メートル)ドリフトさせてしまい、テール・ローターが樹木に接触した。

UH-60

クラスA事故

暗視眼鏡を使用して未舗装の着陸場へ進入中、操縦士がブラウンアウトに遭遇した。機体は樹木の中へドリフトし、大きな損傷を受けた。

クラスB事故

暗視眼鏡を使用し、極めて砂塵の多い降着地域(Landing Zone, LZ)へ編隊で進入中、メイン・ローター・ブレードのチップ・キャップが樹木に接触した。結果としてハード・ランディングに至った。

クラスC事故

降着地域へのショート・ファイナルで、メイン・ローター・ブレードが2本の小さな木に接触した。メイン・ローター・ブレードのチップ・キャップが損傷した。

訳者コメント:
本記事の数値は1994~98会計年度の事故データに基づくもので、主に取り上げられているOH-58Dは、現在の米陸軍にはもうありません。陸軍は2014年初めに航空再編構想の一環としてカイオワの退役を決め、2017年9月19日、バージニア州のフェルカー陸軍飛行場で最後の飛行を終えました。事故事例に出てくるOH-58D(I)の「I」はImproved(改良型)の略で、偵察機として開発されたOH-58Dに、武装パイロンやデジタル化したアビオニクス、自己防護装置などを加えた「カイオワ・ウォーリア」を指します。偵察型として生産された初期の機体もこの仕様に改修されており、本文の「OH-58D」と事例の「OH-58D(I)」は同じ系列の機体です。
本文に出てくる「ほふく飛行」「地形に沿う飛行」「低高度水平飛行」は、飛行経路上の最も高い障害物から200フィート(約61メートル)以下を飛ぶ超低空飛行の3つの方式です。低高度水平飛行は速度と高度をほぼ一定に保ち、地形に沿う飛行は速度を保ったまま地形の起伏に合わせて高度を変えます。ほふく飛行は、速度を変えながら地表や植生に可能な限り近づいて飛ぶ方式で、暗視眼鏡を使用した訓練では、車輪やスキッドが地表または植生から0~25フィート(約8メートル)の範囲とされています。一方、筆者が分析したOH-58Dの樹木接触の多くは、飛行中ではなく地面効果外ホバリング中に、気付かないうちに機体が後方へ流されて起きています。
筆者は、飛行時間を確保していても「規定の飛行経験(currency)を維持しているだけ」の操縦士がいると指摘しています。currencyは、定められた期間内に所定の飛行を行ったことで資格が保たれている状態を指し、実際の技量の高さを表す練度(proficiency)とは区別されます。規定を満たしていることと、樹木の間を安全に飛べることは別だというのが筆者の論点です。本文にある年次技量査定(APART)は、操縦士の技量と即応性を毎年確認するもので、本文のとおり暗視装置を使用した夜間の評価も含まれます。
訳出にあたり、原文の誤記を2か所正しました。冒頭で引用されている詩の題を原文は「The Tree」としていますが、ジョイス・キルマーが1913年に発表した詩の題は「Trees」です。また、筆者が野外演習を行った「Camp Attaberry」は、インディアナ州にあるキャンプ・アタベリー(Camp Atterbury)の誤記です。一方、表1ではUH-60の樹木接触がクラスA~Eの合計72件であるのに対し、本文の分析では「調査したUH-60のクラスA~E事故60件」とされており、件数が一致しません。筆者が一部の事例だけを調べた可能性もありますが、原文からは判断できないため、数値は原文のまま訳しています。なお、筆者の署名に添えられていた当時の電子メールアドレスは省略しました。

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