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陸軍航空の情報センター

リンク16を搭載したAH-1Zが初飛行

ベル社およびノースロップ・グラマン社による報道発表

アメリカ海兵隊は、新型のリンク16のハードウエアおよびソフトウェアを使用し、AH-1Zバイパーと地上局の間の双方向接続を行う飛行試験に成功した。AH-1Zはテキストロン社の配下であるベル・テキストロン社により製造され、リンク16システムはノースロップ・グラマンにより開発された。リンク16は、H-1シリーズの技術的優位性および戦闘能力の耐用年数までの維持を目的とした改善プログラムの一部である。

Link-16を使用することで、AH-1Zは、他の兵器システムのセンサーからの情報を搭載デジタル機器を利用して迅速に取得・共有することが可能となる。写真:ベル社

「この機能をアメリカ海兵隊のH-1シリーズに提供できることを大変嬉しく思っています」と、ベル社のH-1担当副社長兼プログラム・ディレクターであるマイク・デスラットは述べた。「ネットワーク化された現代の戦場で必要な能力を備え、殺傷性が向上したこの機体は、これまで以上の支援を地上の海兵隊員たちに提供できます。」

AH-1Zは、世界中の他のヘリコプターと違い、AIM-9サイドワインダーなどの統合対空能力を有している。リンク16を利用することにより、他の兵器が装備するセンサーからの情報を搭載デジタル機器で迅速に取得・共有することが可能となる。この進化をもたらしたのは、ノースロップ・グラマン社のリンク16パッケージである。このパッケージは、新型のデジタル・ムービング・マップ、新型の警戒器材、ならびにリンク16およびANW2(改善型ネットワーク広帯域波形)データリンクで構成されている。

「リンク16システムは、調整、連携および相互運用性の向上に不可欠な技術を提供し、現在および将来のアメリカ海兵隊を支援します。H-1シリーズにリンク16のデータが取り込まれることにより、AH-1Zのパイロットたちの状況認識や生存性が向上できます」と、ノースロップ・グラマン社の航法、照準、生存性担当副社長であるジェームズ・コンロイは述べた。「今回の成功は、われわれが目指してきた『迅速な装備化(speed to fleet)』の成果でもあります。構想が発表されてから初飛行にいたるまで、これまで経験したことのないほどの短期間で行われました。目まぐるしく変化するニーズに対応するためには、次世代の短期開発手法を活用し、柔軟性と適応性を改善することが必要なのです。」

飛行試験実施間の地上ステーションの様子 写真:ベル社

アメリカ海兵隊のH-1小型/攻撃ヘリコプター・プログラム・マネジャー(PMA-276)、ベル社およびノースロップ・グラマン社という3者のコラボレーションにより、民生分野における短期開発(Agile Development)手法の軍用品への適用の最適化が実現した。可視化された状態を維持しつつ、構想要求から機体設計テストまでを12カ月間で行うことができたのである。ノースロップ・グラマン社の先端技術統合グループ(Lead Technology Integration group)は、H-1シリーズ用の最新デジタル・マッピング技術などのリンク16用任務装備品の迅速な設計および統合を行い、ベル社のH-1プログラム・チームは、この任務装備の搭載に必要なAH-1Zの既存の統合システム全体の完全な分析および改修を行った。この2社によるチームは、兵士たちの能力を向上させるため、すでに供給されている統合器材を既存の機体に迅速に適用することの重要性を再認識させてくれた。

「数十年にわたる実戦経験を有するH-1は、あらゆる環境で戦えるように進化してきました」と、PMA-276プログラム・マネジャーのヴァシリオス・パパス大佐は述べた。「リンク16の導入は、絶えず変化する脅威に適応し、現在および将来の兵士たちのニーズを満たそうとしているこの機体の特性と完全に合致しています。」

アメリカ海兵隊は、AH-1Zの飛行試験を秋まで継続し、その後は、UH-1Yヴェノムでの飛行試験を予定している。AH-1Zへのリンク16の装備化は、2022年になるものと見積もられる。

この報道発表は、ベル・テキストロン社とノースロップ・グラマン社が共同で作成および配布したものです。

                               

出典:Vertical, MHM Publishing Inc. 2021年06月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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