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陸軍航空の情報センター

2026会計年度のブロークン・ウィング章――緊急事態で卓越した技量を発揮した搭乗員

ブロークン・ウィング章は、飛行中の故障や不具合のために緊急着陸を要する事態に陥った航空機を、高度な専門的技量によって立て直した航空搭乗員を顕彰するものです。授与の要件は、陸軍規則(Army Regulation, AR)385-10「陸軍職務安全・健康管理プログラム」に定められています。

2026会計年度第1四半期に承認されたブロークン・ウィング章の概要

2024年4月2日、マイケル・ヘッジペス軍属と、カタール首長国空軍のアブドゥッラー・アル・クワーリ大尉は、戦闘機動飛行の訓練中、バード・ストライクによって機体のテール・ローターが完全に切断されるという、致命的な飛行中の緊急事態に見舞われました。激しい振動、右への急激なヨーイング、方向コントロールの喪失に直面する中、ヘッジペス軍属は直ちに操縦を交代し、飛行の継続は不可能だと判断しました。急速に降下する機体の激しいロールとヨーイングを抑えるため、アル・クワーリ大尉がパワー・レバーを操作し、ヘッジペス軍属がコレクティブを巧みに操作するという、卓越したエアマンシップとクルー・コーディネーションが発揮されました。生命の危険が迫る状況での迅速な状況判断、際立った冷静さ、そして的確な連携により、搭乗員は開かつ地への緊急着陸を成功させ、自らは負傷することなく、機体の損傷もそれ以上広げずに済みました。

2026会計年度第2四半期に承認されたブロークン・ウィング章の概要

2016年6月6日、アフガニスタンのマザーリシャリーフで警戒任務に就いていたAH-64Dの搭乗員は、トルクとローター回転数が激しく変動するという、前例のない重大なエンジンの緊急事態に見舞われました。教官操縦士のグレン・E・スチュワート上級准尉3は直ちに操縦を交代し、当時の標準的な訓練教範の記述と食い違う紛らわしい計器の指示にもかかわらず、複雑な改良型デジタル・エンジン・コントロール・ユニット(Enhanced Digital Electronic Control Unit, EDECU)の故障であることを正確に見抜きました。同上級准尉3は、卓越したエアマンシップと迅速かつ的確な判断力を発揮して機体の出力を安定させ、ヘリコプターを無事に滑走路まで帰投させて、搭乗員と機体の双方を救いました。

この故障に対する緊急操作が定められていなかったため、同上級准尉3は当初、この事案で生じた機体の損傷の責任を問われましたが、2018年に行われた航空部門の検証によって、落ち度がなかったことが完全に明らかになりました。同上級准尉3がとっさに考え出した対応が、同種の事案において唯一の正しい処置であったことが証明されたのです。遅ればせながら今回ブロークン・ウィング章に推薦されたことで、過去の記録は正式に訂正されました。人命を救った同上級准尉3の処置が、今日の陸軍パイロットを守る、陸軍全体の新たな緊急操作の確立に直結したことが認められたのです。

訳者コメント:
ブロークン・ウィング章の授与の要件は、本サイトの参考資料「AR 385-10 The Army Safety Program」(2023年版)の第5-11g項と第5-15g項に定められています。第5-15g項によれば、受章の対象は、国防総省の任務として陸軍のために搭乗員の職務に就いている者で、卓越したエアマンシップによって、緊急事態における機体の損傷や人員の負傷を最小限にとどめ、または防いだ者です。ただし、緊急事態を自ら招いた場合、模擬の緊急事態で着陸に特段の技量を要しなかった場合、規則・手順の不遵守によって緊急事態が生じた場合、実際には緊急事態が存在しなかった場合、規律や判断の欠如が緊急事態を招いた可能性があると委員会が判断した場合、安全な着陸を妨げる不利な状況のない飛行段階であった場合は、対象になりません。敵の行動による緊急事態は除外されません。審査は、陸軍安全部長が四半期ごとに招集する委員会が行います。委員会は、陸軍安全部長またはその代理者と5名以上の上級の操縦士で構成し、少なくとも1名は当該機種の資格を持つ者とされています。本文の見出しにある四半期は、この委員会の審査の区切りに当たり、2026会計年度の第1四半期は2025年10月から12月までです。
1件目について、陸軍の広報記事(2026年4月13日付)によれば、ヘッジペス軍属は退役した上級准尉4で、表彰式は2026年4月10日にフォート・ラッカーのハンチー陸軍飛行場で行われました。機体に衝突した鳥はクロコンドルで、第14航空連隊第1大隊でこの章が授与されたのは、1996年以来4度目とされています。なお、同じ記事はアル・クワーリ大尉を「サウジアラビアの」大尉と書いており、本文の「カタール首長国空軍」と食い違っています。本訳では原文どおりとしました。
2件目に出てくるEDECUを、原文は "Electronic Digital Engine Control Unit" と展開していますが、陸軍やメーカーの資料では "Enhanced Digital Electronic Control Unit" であり、AH-64とUH-60のT700系エンジンに用いられるデジタル電子制御装置の改良型です。本訳では正しい名称に改めました。
                               

出典:Aviators Earn Broken Wing Awards in FY26 for Exceptional Skill During Emergencies, FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2026年10月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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