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陸軍航空の情報センター

航空医官に聞く:色覚異常

大尉 ジェシー・ブリット 第1航空旅団

質問:眼科医から、色覚異常があると言われました。それでも、身体基準の免除や規定の例外措置(Exception to Policy, ETP)を受けることはできるでしょうか?

航空医官:パイロットにとって色覚が重要なのは、表示装置や警告灯、潜在的な危険要因を正確に見分け、読み取るために欠かせないからです。免除の可否は、一般に、色覚異常の型と程度、航空身体検査の区分によって判断されます。色覚異常が任務遂行能力に及ぼしうる影響は、多くの場合、機内評価(In-Cockpit Evaluation, ICE)で判定します。

杆体と錐体

まず、杆体(かんたい)と錐体(すいたい)について説明しましょう。杆体と錐体は、目の奥にある網膜の2種類の受容細胞で、さまざまな色を見て区別する働きを担っています。杆体は「夜間視」の受容体、錐体は「色と細部」の受容体と考えればよいでしょう。杆体のおかげで暗い場所や薄暗い場所でも物が見えますが、その像は黒・白・灰色にしか見えません。

一方、錐体は明るい場所で最もよく働き、色や細部を見分ける役割を担っています。錐体には、L錐体、M錐体、S錐体の3種類があります。錐体は種類ごとに、それぞれ異なる色の光を検出します。L錐体は赤、M錐体は緑、S錐体は青に感度を持っています。

色覚異常の種類

色覚異常の型と程度は、どの受容細胞に異常があるかによって決まります。

検査

色覚の検査方法にはさまざまなものがあります。最も一般的なのは、仮性同色表(Pseudoisochromatic Plate, PIP)による検査です。仮性同色表検査では、色の付いた点の集まりの中に数字や図形を埋め込んだ表を用います。色覚が正常な人はその図形を見分けられますが、色覚異常のある人は見分けられません。仮性同色表検査はスクリーニング(ふるい分け)に用いられ、その結果はコンピューター式色覚検査(Computerized Color Vision Testing, CCVT)で確認されます。コンピューター式色覚検査では、較正した画面に、色の差を段階的に設定した画像を表示することで、色覚異常の型と程度を判定できます。さらに陸軍では、機内評価による検査も行っています。これは、受検者が航空業務に必要な課目を実施できるかどうかを、航空機内で判定する実技検査です。

免除の要件

新たに航空要員を志願する人は、仮性同色表検査で色覚のスクリーニングを受けます。合格点に達すれば、免除は必要ありません。合格点に達しなかった場合は、コンピューター式色覚検査で評価を受けます。コンピューター式色覚検査で合格点に達すれば、免除が推薦されることが多いのですが、境界域の点数の場合は、機内評価で改めて確かめます。機内評価は、課目を完遂できるかどうかに基づき、「GO(合格)」「NO-GO(不合格)」の2段階で判定されます。免除を受けている人は、変化がないかを確認するため、毎年、航空医官と眼科医の診察およびコンピューター式色覚検査を受けることが求められます。

飛行安全!

航空医官への質問はありませんか?

取り上げてほしい質問がある方は、AskFS@quad-a.org まで電子メールでお寄せください。今後の記事で取り上げるよう努めます。個人の健康上の問題については、所属部隊の航空医官にご相談ください。本稿の見解および意見は筆者のものであり、別段の記載がない限り、陸軍省の公式見解と解釈されるべきものではありません。


ジェシー・ブリット大尉(オステオパシー医学博士)は、フォート・ラッカー(アラバマ州)の第1航空旅団の航空医官です。

訳者コメント:
本文で「機内評価」と紹介されている実技検査について補足します。米陸軍の航空医学方針書(Aeromedical Policy Letters、2021年版)は、色覚異常で免除を申請する者について、眼科医または検眼医の診察に加え、「その職種で欠かせない業務と緊急操作手順をやり遂げられること」を部隊の適任の教官または監督者が確認し、記録(MFR)として添えるよう求めています。確認するのは航空医官ではなく、本人の機種と職務を知る部隊の教官です。この記録はほかの検査結果とともに陸軍航空医学活動(AAMA)に送られ、免除の可否を判断する材料になります。
同方針書は、色覚が必要な場面として、警告灯、障害物、操縦席(無人機では地上管制装置)の表示装置、飛行場の灯火、編隊灯、発煙や灯火による信号を挙げています。また、1型・2型の2色覚では進入角指示灯(VASI)の赤と白が、1型2色覚では高速離脱誘導路や滑走路末端の赤い灯火が見分けにくく、夜間には2色覚の人が航法灯と衝突防止灯を見分けることがさらに難しくなると説明しています。機内評価は、こうした場面に実際の操縦席で対処できるかを確かめるものと言えます。ただし、具体的な課目や採点の方法を定めた資料は公開されていません。
コンピューター式色覚検査として、同方針書はラビン錐体コントラスト検査(55点以上)、ワゴナー検査(「正常」または「軽度」)、CAD検査(6 CAD単位以下)の3種類を認めています。かつて用いられたファーンズワース・ランタン検査は、2019年から認められていません。また、免除を受けた後のコンピューター式色覚検査は、毎年ではなく「定期の包括的な航空身体検査のたび、およびクラスA・Bの事故(「AR 385-10 The Army Safety Program」を参照)の後」とされています。本文の記述とは異なりますが、方針書がその後改訂された可能性もあります。
なお、本文は夜盲を色覚異常の種類の一つとして挙げていますが、一般には夜盲を色覚異常に含めず、暗い所で物を見る働き(光覚、暗順応)の障害として扱います。
自衛隊では、「航空身体検査に関する訓令」が色覚の基準を「正常であること」と定めています。そのうえで同訓令第3条第3項は、すでに操縦士等である者が受ける検査(検査乙)に限り、基準の一部に適合しない者でも、経験と能力から航空業務に支障がないと防衛大臣が認めたときは、航空身体検査審査会への諮問を経て「合格基準に適合するものとみなす」としています。本文の「免除」は、この措置に当たるものです。新たに操縦士等を選ぶ検査(検査甲)には、この措置はありません。
                               

出典:Color Vision Deficits, ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2026年9月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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