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陸軍航空の情報センター

つなげて読む周辺国軍の動き(2026年4月)

Aviation Assets 管理人

防衛省の統合幕僚監部(統幕)は、日本の周辺で中国やロシアなどの艦艇・航空機を確認するたびに、その動向を発表しています。発表は確認の場面ごとに出るため、1件だけでは一連の動きが分かりません。この記事では、Jディフェンスニュース(JDN)が掲載した統幕の発表を、発表中の「〜と同一である」という記述でつなぎ、2026年4月に確認された動きを、最初に確認された日の順に示します(3月以前に始まった動きや、5月まで続いた動きを含みます)。

各節の地図は、統幕の発表に添えられた地図をもとに、一連の動きを1枚に描き直したものです。実線と矢印は確認された区間、灰色の線は3月以前に公表された区間、点線は経路が公表されていない部分を便宜的に結んだものです。確認された位置は、発表の「与那国島の南約50km」といった記述から求めた概略です。

2026年4月に確認された動きの全体図
図0 2026年4月に確認された動きの全体図。丸数字は節番号、日付は最初に確認された月日(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成。各節の地図を縮小して重ねた概略)

4月の動きの一覧

No.期間国艦艇・航空機主な経路
12月14日〜4月24日ロシアフリゲート2隻、補給艦2月に対馬海峡から東シナ海を経て太平洋へ。4月に与那国島と西表島の間から東シナ海を経て日本海へ
23月5日〜5月3日ロシアフリゲート、潜水艦、えい船3月に対馬海峡から東シナ海を経て太平洋へ。4月に与那国島と西表島の間から東シナ海へ。5月に日本海へ
33月29日〜4月11日中国情報収集艦対馬海峡から日本海へ。11日後に対馬海峡を戻り、大隅海峡から太平洋へ
43月30日〜5月2日中国駆逐艦3隻、補給艦対馬海峡から日本海へ。約1か月後に、3回に分かれて対馬海峡を行き来
54月7日ロシア情報収集機大陸方面から日本海上空を新潟県沖まで飛行
64月19日〜22日中国駆逐艦、フリゲート奄美大島と横当島の間から太平洋へ。3日後に与那国島と西表島の間から東シナ海へ

6件のうち4件は、2月または3月に始まった動きの続きです。

1 ロシア海軍のフリゲート2隻と補給艦 約2か月後に北上し日本海へ(2月14日〜4月24日)

2月14日、海上自衛隊は対馬の北東約90kmの海域で、南西進するロシア海軍のステレグシチー級フリゲート2隻(艦番号「333」「343」)とドゥブナ級補給艦の計3隻を確認しました。3隻は対馬海峡を南西進して東シナ海に入り、16日に与那国島と西表島の間を南西進して、太平洋へ向かいました。

約2か月後の4月22日午前0時頃、与那国島の南約70kmの海域で、北東進する3隻が確認されました。3隻は与那国島と西表島の間を北東進して東シナ海に入り、23日午後3時頃に五島列島の南西約130kmで確認された後、23日から24日にかけて対馬海峡を北東進して、日本海へ向かいました。統幕は、4月の3隻が2月に南西進した3隻と同一であると発表しています。2月16日から4月22日までの約2か月間、3隻がどこにいたかは公表されていません。

出典:JDN(2月16日、4月22日、4月24日の統幕発表を掲載した記事)

ロシア海軍のフリゲート2隻と補給艦の動き
図1 ロシア海軍のフリゲート2隻と補給艦の動き(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

2 ロシア海軍のフリゲート・潜水艦・えい船 43日後に北上、12日後に日本海へ(3月5日〜5月3日)

3月5日午後10時頃、対馬の北東約60kmの海域で、南西進するロシア海軍のステレグシチー級フリゲート(艦番号「335」)、キロ改級潜水艦、バルク級航洋えい船の計3隻が確認されました。3隻は5日から6日にかけて対馬海峡を南西進し、9日に与那国島と西表島の間を南西進して、太平洋へ向かいました。

43日後の4月21日正午頃、3隻は与那国島の南約50kmの海域で北東進しているところを確認され、与那国島と西表島の間を北東進して東シナ海に入りました。次に確認されたのは、12日後の5月3日午前0時頃で、場所は五島列島の西約70kmでした。この間の動きは公表されていません。3隻はその後、対馬海峡を北東進して日本海へ向かいました。統幕は、これらがいずれも同一の3隻であると発表しています。

出典:JDN(3月6日、3月10日、4月22日、5月7日の統幕発表を掲載した記事)

ロシア海軍のフリゲート・潜水艦・えい船の動き
図2 ロシア海軍のフリゲート・潜水艦・えい船の動き(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

3 中国海軍の情報収集艦 11日後に南下し、大隅海峡から太平洋へ(3月29日〜4月11日)

3月29日午前7時頃、対馬の南西約80kmの海域で、北東進する中国海軍のドンディアオ級情報収集艦(艦番号「799」)が確認されました。ドンディアオ級は、上部構造物に複数の大型レドームを備え、各種の電子情報等の収集にあたる艦です(JDN用語集)。799は対馬海峡を北東進し、日本海へ向かいました。

11日後の4月9日午後11時頃、799は対馬の北東約60kmの海域で南西進しているところを確認され、9日から10日にかけて対馬海峡を南西進して東シナ海に入りました。11日午前3時頃には草垣群島の西約90kmで南東進しているところを確認され、その後、九州の南の大隅海峡を東進して、太平洋へ向かいました。

出典:JDN(3月30日、4月10日、4月13日の統幕発表を掲載した記事)

中国海軍の情報収集艦の動き
図3 中国海軍の情報収集艦の動き(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

4 中国海軍の駆逐艦3隻と補給艦 約1か月後に対馬海峡を行き来(3月30日〜5月2日)

3月30日午後3時頃、五島列島の北西約80kmの海域で、北東進する中国海軍のルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(艦番号「119」)、レンハイ級ミサイル駆逐艦(艦番号「102」)、フチ級補給艦(艦番号「903」)の計3隻が確認されました。同じ日の午後4時頃には、五島列島の西約160kmの海域で、東進するルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(艦番号「120」)も確認されています。4隻は30日から31日にかけて対馬海峡を北東進し、日本海へ向かいました。

4隻が対馬海峡を戻り始めたのは、約4週間後です。4月27日午前7時頃、対馬の北東約80kmの海域で、駆逐艦120と補給艦903が南西進しているところを確認され、2隻は対馬海峡を南西進して東シナ海へ向かいました。ところが翌28日午後8時頃、120は対馬の南西約70kmの海域で北東進しているところを確認され、28日から29日にかけて対馬海峡を北東進して、再び日本海へ向かいました。

5月1日午後11時頃、対馬の北東約60kmの海域で、駆逐艦119、120、102の3隻が南西進しているところを確認され、3隻は2日に対馬海峡を南西進して、東シナ海へ向かいました。119と102は、3月30日から31日にかけて日本海へ向かってから約1か月後に、対馬海峡を南西進したことになります。120は、3月30日から5月2日までの間に対馬海峡を4回通過しました。補給艦903については、4月27日に南西進した後の確認は公表されていません。

出典:JDN(3月31日、4月27日、4月30日、5月7日の統幕発表を掲載した記事)

中国海軍の駆逐艦3隻と補給艦の対馬海峡通過
図4 中国海軍の駆逐艦3隻と補給艦の対馬海峡通過。丸数字は通過の順(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成。重なりを避けるため、通過ごとの線を並べて描いた)

5 ロシア軍の情報収集機 日本海上空を新潟県沖まで(4月7日)

4月7日の午前から午後にかけて、ロシア軍のIL-20情報収集機1機が大陸方面から飛来し、日本海上空を新潟県沖まで飛行した後、変針して大陸方面へ飛行しました。航空自衛隊は、北部航空方面隊等の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させて対応しました。緊急発進は、日本の周辺を飛行する国籍不明の航空機に領空侵犯のおそれがある場合に、戦闘機などを発進させることです(JDN用語集)。統幕の地図によると、IL-20は北海道の北西の日本海上空から南南西に進み、新潟県沖で西北西に向きを変えています。

出典:JDN(4月7日の統幕発表を掲載した記事)

ロシア軍の情報収集機の飛行経路
図5 ロシア軍の情報収集機の飛行経路(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

6 中国海軍の駆逐艦とフリゲート 太平洋に出て3日後、与那国島沖から東シナ海へ(4月19日〜22日)

4月19日午前11時頃、横当島の南西約60kmの海域で、東進する中国海軍のルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(艦番号「133」)とジャンカイⅡ級フリゲート(艦番号「577」)が確認されました。2隻は奄美大島と横当島の間を北東進し、太平洋へ向かいました。

3日後の22日午前3時頃、2隻は波照間島の南約80kmの海域で北西進しているところを確認され、与那国島と西表島の間を北東進して、東シナ海へ向かいました。統幕は、22日の2隻が19日の2隻と同一であると発表しています。19日から22日までの経路は公表されていません。

出典:JDN(4月20日、4月22日の統幕発表を掲載した記事)

中国海軍の駆逐艦とフリゲートの動き
図6 中国海軍の駆逐艦とフリゲートの動き(統合幕僚監部の公表資料をもとに作成)

記事に登場した艦艇

艦種国説明(JDN用語集による)
ステレグシチー級フリゲートロシアステルス性を考慮した次世代型の沿海域用汎用艦として計画されたフリゲート(用語集の「ステレグシチーⅡ級フリゲート」の項による)
ドンディアオ級情報収集艦中国上部構造物に複数のレーダーの大型レドームが林立し、各種の電子情報等の収集にあたる。中国海軍でのタイプ名は815A型
ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦中国ルーヤンⅡ級(052C型)の発展型。中国海軍でのタイプ名は052D型
レンハイ級ミサイル駆逐艦中国ステルス形状の船体とVLS(垂直発射装置)を持つミサイル駆逐艦。中国海軍での名称は055型駆逐艦
ジャンカイⅡ級フリゲート中国中国海軍のワークホース(主力)として大量に建造されているフリゲート。中国海軍でのタイプ名は054A型
フチ級補給艦中国2005年から就役を開始した中国海軍の補給艦。中国海軍でのタイプ名は903型と、その発展型の903A型

※この記事は、2026年10月2日時点でJDNに掲載されていた統合幕僚監部の発表に基づいて執筆したものです。

関連リンク
Jディフェンスニュース|周辺国の動向
統合幕僚監部|報道発表資料
Jディフェンスニュース|用語集

           

発行:Aviation Assets 2026年10月2日

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