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ドリーム・マシーンの編集・校正が完了しました

はじめに

鳥影社様と進めてきた「ドリーム・マシーン」の自費出版も最終校正の提出が終わり、出版されるのを待つばかりとなりました。原稿を入稿してから出版までの編集・校正について、その過程をご紹介します。

スケジュール

鳥影社様から標準的な基準として示された入稿から本の完成までのスケジュールは、次のとおりとなっていました。ドリーム・マシーンは、約760ページという長編でしたので、契約上の入稿から出版までの期間は、7~8ヵ月となっていました。実際には、8ヵ月かかりました。

項 目 期 間
出版社初稿作成・初稿出し 約20~40日
著者校正(1回目)・初稿戻し 約2週間
出版社社内校正・再校出し 約2か月
著者校正(2回目)・再校戻し 約2週間
出版社三校出し、カバー装幀案作成 約1か月
著者校正(3回目)・三校戻し 約1週間
出版社最終チェック、印刷・製本・納品 約1か月

 

また、ドリーム・マシーンには、索引をつけましたので、三校の後に索引の作成とそれに伴う戻しの作業が追加となりました。

価格の決定

本の価格については、編集・校正後に再調整があり、結果的には3200円(税別)という(自分としては)かなり高額なものとなってしまいました。

そもそも、本の価格については、類書の価格などから考えて2000円にしたいと思っていたのですが、ページ数が多いため、鳥影社様からこの価格を提案されました。最初は抵抗があったのですが、よく考えて見ると「少しでも安くしたい」という私の希望は、逆に「少しでもたくさん売りたい」という私の欲の表れではないか、とも思えてきました。そもそも、この本を出版するのは、著作権の問題から、出版する以外に自分の翻訳を他の人に読んでもらう方法がなかったからです。必成目標は「贈呈用の50冊を自分の読んでもらいたい人に配ること」であり、それ以上の欲を出しても良いことにはならない気がしたので、価格については鳥影社様にお任せすることにしました。(もちろん、望成目標としては、たくさん売れればいいなと思っています。)

編集・校正の要領

編集・校正のための出版社とのやり取りは、すべてペーパーで行われました。自分から出版社に提出した原稿は、ワードのデータで送りましたが、出版社からは編集・校正した原稿がペーパーで送られてきて、それにペンで修正を加えて送り返すという、極めてアナログな方法で行われました。てっきりメールでデータをやり取りしながら、ワードなどを使って、データ上で修正を行うものと考えていた自分は、びっくりしてしまいました。

これは、大変なことになったなと思いましたが、実際にやってみると、紙でできた作品である「本」を作り上げるための手法としては、やはりこれが一番なのかも知れないと思うようになりました。

校正記号の書き方も知らなかったのですが、「日本語表記ルールブック」の巻末に簡単な説明がありましたので、それを参考に記載しました。なお、筆記具には、日頃から愛用している「Lamy」の万年筆の赤色ボディを新たに購入して使用しました。やっぱり、万年筆はやめられません。

初稿作成および初稿戻し

自分は、小説などの本というものをほとんど読みません(そういう人は翻訳家になることを諦めるべきだ、と何かの本に書いてありました)。このため、「本というものはこうあるべきだ」みたいなポリシーは全くないのですが、なぜか「ドリーム・マシーン」は「縦書き」にしたいと思ってしまいました。しかし、この物語には、英数字がたくさん使われています。このため、それを縦書きでどう表記するかが問題になりましたが、「日本語表記ルールブック」に従い、アラビア数字を主に使用することにして、次のように記載しました。

ワードで慣れない縦書き表示をしながら、縦中横を設定したのですが、これが結構大変でした。ただし、今にして思うと、英数字の表記などは、初稿作成の際に出版社のほうで編集してくれる部分ですので、テキスト・ファイルで送るだけで良かったようです。

出来上がった初稿が届くと、著者校正(1回目)を行いました。本来、この確認の目的は、自分の原稿が正しく初稿になっているかを確認することだと思うのですが、本来は入稿までに終わらさなければならない推敲のようなこともやってしまい、ずいぶんと修正箇所が多くなってしまいました。編集者様には、大変ご迷惑をおかけしました。「日本語表記ルールブック」には、「Wordを用いた表記の点検・整理」の方法が載っています。これを参考にして入稿前の推敲をもっとしっかりとやっておくべきでした。

ちなみに、これに併せて、原稿を読んだ後輩が見つけてくれた、恥ずかしい誤訳も併せて修正できました。

カバー装幀案作成・確認

初稿の作成と並行的に、カバー装幀に関する調整を行いました。正直、カバーなんかどうでも良いと思っていたので、著作権フリーの写真をグーグルで適当に探して、「原作と同じようなイメージで」という、これまた適当な要望と一緒に鳥影社様に送りました。ところが、出来上がってきたカバー案を見てびっくり、想像をはるかに超える出来栄えの、素晴らしいカバー案が送られてきました。プロのデザイナーというのは、すごいものだと感心しました。

社内校正および再校戻し

社内校正は、契約の段階から、全700ページのうち、300ページだけを行うことになっていました。「どこら辺を直してくれるのかな」と楽しみにしていたのですが、校正が終わったものを見てびっくり、どこら辺もなにも、そこいらじゅうが修正提案だらけ、何も書かれていないページは、ほぼないという状態でした。表現や名前の統一に関するものが多かったのですが、一番ショックだったのは単位の換算の誤りでした。こんなに多くの問題を抱えた原稿を懇切丁寧に校正していただけた校正者様に感謝しています。

与えられた2週間の期間で、300ページ分の修正提案の確認と、それと類似の校正箇所がないか300ページ以降の確認と修正を行いました。300ページまでの社内校正を確認させていただいたおかげで、「どういう観点で校正を行ったらよいのか」がだいぶ分かりましたので、今まで気づかなかった問題点に気づくことができました。この際、最初に送った原稿のデータを校正のための検索に用いました。ページ区切りが、送られてきた校正後の原稿と同じになるように調整して使ったのですが、原稿と一緒にPDFのデータを送ってもらえばよかったと後で気づきました。

結果的には、ほとんど全ページに修正箇所がありました。真っ赤になった原稿を修正した編集者様は大変だったと思います。お手数をお掛けしました。

単位の換算に関しては、そもそもそれを行うかどうか、単位を換算した後の数字に約をつけるかどうか、についても考えさせられました。結論としては、次のようにしました。

統一した考え方に基づいた正確な作業を行うために、単位の換算は、翻訳の作業から切り離して個別に行うべきでした。

三校出しおよび三校戻し

三校については、校正の修正結果を簡単に確認するだけで終了と思っていたのですが、そうはなりませんでした。編集者様から、「一つ」を「1つ」に全て修正するという提案があったのです。ここにきて、頭の痛い数字問題が再燃してしまいました。

縦書きでもアラビア数字を使うことにしていましたが、訓読みする場合には漢数字を使用していました(新聞などもそうなっています)。もし、「一つ」を「1つ」に変えるのであれば、「一人」なども「1人」に変更すべきだと考えられました。

「1つ」を「一つ」に戻してもらおうかとも考えましたが、思い切って訓読みする場合にもアラビア数字を使用することに方針を変え、基本的にはすべての漢数字をアラビア数字に変更しました。結果的には、数字が多用されている「ドリーム・マシーン」には、ぴったりの表記になったのではないかと思います。編集者様の提案に感謝します。

索引の作成

原作には、非常に詳細な索引がついていました。ここまで詳細なものは難しいと思いましたが、簡単な索引はぜひ残したいと思いました。ワードには、索引の作成機能がついていますが、これは本文で索引を作る言葉を選んでから、一覧表を作成するものです。翻訳作業で必要な索引の一覧表を作ってから、それが該当する本文のページ番号を検索する機能はついていません。このため、原稿の作成に際しては、それができるエクセルのマクロ(VBA)を作成して、索引を自動作成していました。

出版社で作成してくれた索引は、そんないい加減なものではなく、索引の用語にある程度の揺らぎを持たせながら、ページ番号を確認して作成された、非常に丁寧なものでした。ただし、ここで新たな問題が発覚しました。「名前のブレ」です。

英語の人名には、短縮形が存在するので、翻訳上、これをどう処理するかがやっかいです。「ケンちゃん」→「賢治などのこと」ならば分かりますが、「ボブ」→「ロバートなどのこと」なんて分かりませんよね。ドリーム・マシーンの翻訳に際しては、次のような方針で臨んでいたつもりでした。

ところが、鳥影社様で索引を作成していただいたところ、多数の短縮形が本文にそのまま残っていることが判明しました。

本文の翻訳作業を開始する前に索引の翻訳を行って、使用する名前を確定しておけば、こんなことにはならなかったと思います。索引作成の過程でこの問題に気づいてくれた編集者様に感謝しています。

おわりに

翻訳作業は、自分との孤独な戦いです。これに対して、編集・校正作業は、編集者様や校正者様という見えない敵との戦いという感じでした。もちろんそれは、ドリーム・マシーンを育て上げるために必要不可欠な、有意義な戦いだったと思っています。自費出版ということで、「原稿を提出したら、あとはほどほどに編集・校正して、印刷されちゃうんだろうな」と思っていたのですが、そんなことは全くありませんでした。自分のような素人を相手に、真剣に編集や校正に取り組んでくれた鳥影社様に心から謝意を表したいと思います。ありがとうございました。

発行:Aviation Assets, 29 July 2018

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2件のコメント

  1. 民谷 仁史 より:

    大変、有意義なご苦労をされたと思います。自分のしたい事を追求する、こんな素晴らしいことはないと感じています。
    また、どんな分野でもプロの仕事はすごいものですね。大変に参考になりました。
    きっと、「ドリーム・マシーン」多くの方が読みたい思います。私は大変楽しみにしています。
    いつ頃、購入できますか?ご連絡下さい。