航空事故発生状況 – MC-12Vの滑走路外への墜落

発生状況
MC-12Vが有視界気象状態(VMC)で進入中、指定された着陸地点に到達する前に地面に墜落し、機体が完全に損壊した。この事故は、夜間の急角度進入を実施中に、水平線が視認できない状況で発生したものであった。その主因は、状況認識の喪失と航空機の積極的な制御の欠如であった。
事故機は対地高度1500フィートで、毎分約3000フィートの降下を開始した。事故機の搭乗員は、降下中に所望のバーチカル・ナビゲーション・モードに切り替えようとして、バーチカル・ナビゲーション・モード・ボタンのオフ・オンを複数回繰り返した。その直後、風防の中に浮かび上がる滑走路の灯火に気づいた副操縦士が機長から操縦を引き継ぎ、出力とピッチを増加させたが地面に墜落してしまった。
搭乗員の練度
機長はC-12型機での飛行時間が309時間、総飛行時間が391時間であった。副操縦士はC-12型機での飛行時間が539時間、総飛行時間が620時間であった。
コメント
この事故は、状況認識と航空搭乗員間の連携の重要性を示唆している。搭乗員間の効果的なコミュニケーションおよび連携は安全な飛行に不可欠であり、任務の前中後を通じて自然に実施できなければならない。
また、リスクを軽減するためには運用環境の理解も重要である。完全な暗闇の中で夜間の急角度進入を行ったこと、および水平線が視認不能であったことが状況をさらに悪化させてしまった。
同種事故の再発を防止するため、パイロットは次のことに着意しなければならない。
- 自分の機体のシステムおよびその限界を十分に理解すること。
- 効果的なクルー・コーディネーションおよびとコミュニケーション戦略を構築すること。
- 自動操縦を行っている場合でも、周囲の状況と航空機の状態を常に把握すること。
- 特に厳しい環境条件においては、自動操縦システムへの過度の依存がもたらす潜在的リスクを認識すること。
同種事故のリスクを低減し、任務の成功を確実にするためには、これらの要因に適切に対処することが必要である。
出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2025年01月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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