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陸軍航空の情報センター

航空調査報告書 AIR-26-02ーポトマック川上空における空中衝突(抜粋)

PSAエアラインズ 5342便 三菱重工業(MHI)RJアビエーション CL-600-2C10(CRJ700)
米陸軍 プライオリティ・エア・トランスポート フライト25 シコルスキー UH-60L
ワシントンD.C. 2025年1月29日

【訳者注】原文の報告書から訳者が一部を抜粋して翻訳したものです。太字の装飾は、訳者によるものです。


概要

本報告書は、2025年1月29日に発生した空中衝突事故を論じるものである。事故は、米陸軍がコールサイン「PAT25(プライオリティ・エア・トランスポート・フライト25)」として運航したシコルスキーUH-60Lヘリコプターと、PSAエアラインズが5342便として運航した三菱重工業(MHI)RJアビエーション(旧ボンバルディア)CL-600-2C10(CRJ700)旅客機(機体番号N709PS)との間で発生した。衝突地点は、バージニア州アーリントンのロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港(DCA)の南東約0.5マイル(約0.8キロメートル)、ワシントンD.C.南西部のポトマック川上空であった。

旅客機に搭乗していた操縦士2名、客室乗務員2名、乗客60名、およびヘリコプターの搭乗員3名全員が死亡した。両機は事故の結果として全損した。

本報告書が論じる安全上の問題には以下が含まれる。

本調査の結果として、国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board, NTSB)は、FAAに対して33件、米陸軍に対して8件、連邦航空に関する戦争省(Department of War)政策委員会(Policy Board on Federal Aviation)に対して5件、運輸省(Department of Transportation, DOT)に対して2件、DOT監察総監室に対して1件、およびRTCA(旧航空無線技術委員会)に対して1件の勧告を行う。


略語および頭字語一覧

略語原語日本語訳
AAPSaviation accident prevention survey航空事故防止調査
AARairport arrival rate空港到着率
ACadvisory circularアドバイザリ・サーキュラー
ACASairborne collision avoidance system機上衝突回避システム
ACAS Xairborne collision avoidance system, X family機上衝突回避システム、Xファミリー
ACAS Xaairborne collision avoidance system Xa (airplane version)機上衝突回避システムXa(固定翼機版)
ACAS Xoairborne collision avoidance system Xo (optimized for specific operations)機上衝突回避システムXo(特定運航向け最適化版)
ACAS Xrairborne collision avoidance system Xr (rotorcraft version)機上衝突回避システムXr(回転翼機版)
ADS-BAutomatic Dependent Surveillance—Broadcast放送型自動従属監視
AGLabove ground level地表面上高度
ALCassistant local controlアシスタント・ローカル・コントロール
ANVISAviator’s Night Vision Imaging System航空用暗視眼鏡システム
ATCair traffic control航空交通管制
ATCTairport traffic control tower空港航空交通管制塔
ATASADS-B Traffic Advisory SystemADS-B交通情報アドバイザリ・システム
ATPairline transport pilot定期運送用操縦士
CAconflict alertコンフリクト・アラート
CDTIcockpit display of traffic informationコックピット交通情報表示装置
CFRCode of Federal Regulations連邦規則集
CRMcrew resource managementクルー・リソース・マネジメント
CTRDcontrol tower radar display管制塔レーダー表示装置
CVRcockpit voice recorderコックピット・ボイス・レコーダー
DAADavison Army Airfieldデービソン陸軍飛行場
DCARonald Reagan Washington National Airportロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港
DODDepartment of Defense国防総省
DOTDepartment of Transportation運輸省
ESSSexternal stores support system外部装備支持システム
ESTeastern standard time東部標準時
FAAFederal Aviation Administration連邦航空局
FDRflight data recorderフライト・データ・レコーダー
FRZflight restricted zone飛行制限区域
HChelicopter controlヘリコプター管制
HWGHelicopter Working Groupヘリコプター・ワーキング・グループ
IFRinstrument flight rules計器飛行方式
inHginches of mercury水銀柱インチ
IPinstructor pilot技量評価操縦士
LClocal controlローカル・コントロール
LOAletter of agreement協定書
MFDmultifunction display多機能表示装置
MITmiles in trail縦列マイル間隔
MPFRmultipurpose cockpit voice and flight data recorder多目的コックピット音声・飛行データ・レコーダー
mslmean sea level平均海面
NASNational Airspace System国家空域システム
NMACnear midair collision空中衝突ニア・ミス
NTSBNational Transportation Safety Board国家運輸安全委員会
NVGnight vision goggles暗視眼鏡
OSoperations supervisor運航監督者
PAPIprecision approach path indicator精密進入経路指示灯
PAT25Priority Air Transport Flight 25プライオリティ・エア・トランスポート・フライト25
PBFAPolicy Board on Federal Aviation, DOW戦争省連邦航空政策委員会
PFDprimary flight display主飛行表示装置
RAresolution advisory回避指示
RTCARTCA, formerly Radio Technical Commission for AeronauticsRTCA(旧称:航空無線技術委員会)
SFRAspecial flight rules area特別飛行方式区域
SMSsafety management system安全管理システム
SRMPsafety risk management panel安全リスク管理パネル
STARSStandard Terminal Automation Replacement System標準ターミナル自動化代替システム
TAtraffic advisory交通情報
TAABThe Army Aviation Brigade陸軍航空旅団
TBFMtime-based flow management時間基準流量管理
TCAStraffic alert and collision avoidance system空中衝突防止装置
TEMthreat and error management脅威およびエラー管理
TIS-BTraffic Information Service–Broadcast放送型航空管制情報サービス
TRACONterminal radar approach control進入管制
UH-60LSikorsky Utility Helicopter 60 Lima model (“Black Hawk”)シコルスキー多用途ヘリコプターUH-60L型(「ブラック・ホーク」)
VFRvisual flight rules有視界飛行方式
VMCvisual meteorological conditions有視界気象状態

エグゼクティブ・サマリー

何が起きたか

2025年1月29日、東部標準時(EST)2048頃、米陸軍がコールサイン「PAT25(プライオリティ・エア・トランスポート・フライト25)」で運航したシコルスキーUH-60Lと、PSAエアラインズがアメリカン・エアラインズ・5342便として運航した三菱重工業(MHI)RJアビエーション(旧ボンバルディア)CL-600-2C10(CRJ700)(機体番号N709PS)が、バージニア州アーリントンのロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港(DCA)南東約0.5マイル(約0.8キロメートル)の上空で空中衝突し、ワシントンD.C.南西部のポトマック川に墜落した。旅客機に搭乗していた操縦士2名、客室乗務員2名、乗客60名、およびヘリコプターの搭乗員3名全員が死亡した。両機は事故により全損した。

5342便は、連邦規則集(CFR)第14編第121部の規定に基づき、カンザス州ウィチタのウィチタ・ドワイト・D・アイゼンハワー国際空港からDCAへの定期国内旅客便として運航していた。PAT25は、操縦士の暗視眼鏡(Night Vision Goggles, NVG)を使用した年次技量評価飛行を目的として、バージニア州フォート・ベルボアのデービソン陸軍飛行場(DAA)を出発した。事故発生時、DCA周辺では夜間有視界気象状態(VMC)であった。

PAT25はDAAを離陸し、バージニア州およびメリーランド州の各地点に着陸した後、南方のワシントンD.C.へ向かい、DCA管制塔の管制官(ローカル・コントロール席とヘリコプター管制席を統合して担当していた)からヘリコプター・ルート1および4を経由してDCA空域を通過しDAAに帰投する許可を受けた。ヘリコプターはメリーランド州カビン・ジョン付近でルート1に合流し、低高度でポトマック川沿いに南下した。

同時刻、5342便は計器飛行方式(IFR)によりDCAへ進入中であった。旅客機が南からランウェイ01への目視進入で着陸しようとしたところ、DCA管制塔の管制官が乗員に対し、代わりにランウェイ33に着陸できるかと照会した。乗員は着陸性能を確認した後、ランウェイ33への旋回進入を承諾し、最終進入経路に機を合わせる操縦を行った。

PAT25がルート1からルート4へ移行し、5342便がランウェイ33への旋回進入中、管制官はヘリコプター搭乗員に対してウッドロー・ウィルソン橋の南方にいる旅客機に関する交通情報を発出した。PAT25に搭乗していた技量評価操縦士(IP)は当該機を目視確認したとしてビジュアル・セパレーションを要求し、管制官はこれを承認した。

約1分30秒後(衝突20秒前)、両機の飛行経路がランウェイ33進入経路付近で接近した際、管制官はヘリコプター搭乗員に旅客機を目視しているか確認し、PAT25に旅客機の後方を通過するよう指示した。しかし、管制官の送信中にヘリコプターの操縦士の一人が無線プッシュ・トゥ・トーク・スイッチを0.8秒間押したため、この短い送信が「後方を通過せよ」の部分を遮断した。

PAT25のIPは再び旅客機を目視していると答え、ビジュアル・セパレーションを要求した。管制官はこれを承認した。PAT25はルート4に沿って南下を続け、5342便がランウェイ33への最終進入で降下する中、両機は平均海面高度(msl)約278フィート(約85メートル)のポトマック川上空で衝突した。

何を解明したか

NTSBは、FAAがDCAのランウェイ33進入経路に近接した位置にヘリコプター・ルート4を設定するにあたり、ヘリコプターと固定翼機の交通を分離するための手続き上の軽減策を設けていなかったこと、およびFAAの航空交通機関(ATO)が規定どおりのルートの定期的な見直しと再評価を実施していなかったことを認定した。

空中衝突のリスクは複数のデータ・ソースから明らかであり、航空交通管制(ATC)要員から繰り返し懸念が示されていたにもかかわらず、FAAは識別されたリスクを軽減するための勧告や入手可能な情報への対処を怠った。

また、DCA進入管制区域における効率的な交通流を維持するため、航空交通システムがパイロットによるビジュアル・セパレーションに過度に依存しており、複雑で高負担な環境における目視回避の固有の限界を十分に考慮していなかったことを認定した。このビジュアル・セパレーションへの依存が、ヘリコプターと固定翼機の混合交通を管理する主要手段としてパイロットによるビジュアル・セパレーションを使用することを慣習化させ、空中衝突の可能性を高めた。

さらに、ワシントンD.C.のヘリコプター・ルートに関して公表された情報は、固定翼機・回転翼機の運航者や管制官が共通して完全にルートの制限を理解するには不十分であり、固定翼機用の航空図にはDCAの進入・出発経路と交差しうる近傍のヘリコプター・ルートが描かれていなかった。聴取を受けた米陸軍操縦士の大多数は、公表されたルート高度以下で飛行することがDCAへの到着・出発固定翼機から固有の分離を提供すると誤った前提を持っていた。

また、陸軍がヘリコプター操縦士に対して気圧高度計の許容誤差の影響について十分な情報提供を確保していなかったことを認定した。その結果、事故機の搭乗員は公表されたルートの最大高度を超えて飛行していた。

ヘリコプター搭乗員がビジュアル・セパレーションを効果的に実施していなかったことを認定した。無線受信状態の悪化により、乗員は旅客機が別の滑走路へ旋回進入しているという情報を受信できず、これが旅客機は競合にならないという誤った思い込みを強化した。この思い込みが乗員の目視走査に影響を及ぼし、IPは旅客機を確実に視認できていないにもかかわらず「交通を目視」と報告してビジュアル・セパレーションを要求する結果となった。

DCA航空交通管制塔(ATCT)における高い業務負担が管制官のパフォーマンスと状況把握を低下させていたことを認定した。交通量の増大した時間帯におけるヘリコプター管制席とローカル・コントロール席の統合運用と、リアルタイムの運航上の意思決定を支援する体系的なリスク評価プロセスの欠如の組み合わせが、業務優先順位の誤り、不完全な交通情報の発出、および両乗員への安全アラートの欠如をもたらした。

両乗員は、夜間運航、複雑な市街地光景、および両機間の相対運動の少なさを含む、相手機の目視捕捉を困難にする状況下で運航していたことを認定した。加えて、両機の交通状況認識・衝突警報システムの限界が、迫りくる衝突の効果的な警報を妨げた。

ヘリコプターには、迫りくる衝突について乗員に警告できる統合された交通状況認識または衝突回避技術が何ら搭載されていなかった。ヘリコプター搭乗員は、放送型自動従属監視(ADS-B)交通情報を表示するアプリケーションを搭載したタブレット端末を利用できる状態にあり、このタブレットは衝突の48秒前に旅客機に関する視覚的・聴覚的警報を提供できた可能性がある。しかし、陸軍操縦士はワシントンD.C.のヘリコプター・ルートを低高度飛行する際にタブレットを監視するのが通例ではなく、操縦士のヘルメットはタブレットが発する聴覚的交通警報を受信する機能を持っていなかった。この機能がない状況では、これらの警報はヘリコプター内の周囲雑音に掻き消され、搭乗員には聞こえなかったであろう。

旅客機乗員は衝突約1秒前までヘリコプターを探知していなかったことを認定した。要求水準の高い夜間旋回進入、複雑な市街地光景を背景としたヘリコプターの低視認性と相対運動の少なさ、および管制官からの必要な交通情報の欠如がすべて相まって、旅客機乗員がヘリコプターを適時に認識できない状況をもたらした。

旅客機のTCASは設計どおりに動作したが、乗員に回避操縦を指示するRA(回避指示)は低高度域では抑制される仕様であったため、本事故ではRAが発令されず、乗員は差し迫った衝突の危険を認識していなかった。

旅客機が機上衝突回避システム(ACAS)Xa——強化された脅威モデリングとADS-B情報を使用して改善された交通警報を提供する次世代衝突回避技術——を搭載していた場合、5342便の乗員は受信した交通情報より約8秒早くヘリコプターに関する警報を受けていたであろうことを認定した。

事故の状況を用いたシミュレーションにより、警報高度を低下させれば旅客機乗員がヘリコプターを回避する操縦指示を受け、空中衝突リスクが90%超低下することを確認した。これらのシミュレーションはまた、現在開発中でヘリコプター専用に設計されたACAS Xの派生型であるACAS Xrをヘリコプターが搭載していた場合にも空中衝突リスクが大幅に低下することを示した。

ヘリコプターにはADS-B情報を送信する能力を持つトランスポンダーが搭載されていた。機密性の高い任務に対する国防総省の手続きとFAAの免除規定によりヘリコプターはADS-Bを送信する義務はなかったが、トランスポンダーの設定はON位置で発見された。トランスポンダーの調査により、搭載時の不適切な設定がヘリコプターのADS-B送信を妨げていたことが判明した。しかし、旅客機がADS-B In機能を搭載していなかったため、ADS-B Outがあっても旅客機乗員や管制官が受ける情報は改善されなかったであろう。

DCAにおける交通量の増大、持続不能な空港到着率、変化する機種構成、および航空会社のスケジューリング慣行が管制塔業務を恒常的に圧迫して複雑性を増大させ、長年にわたって安全上の余裕を徐々に低下させていたことを認定した。

また、公表されたヘリコプター・ルート高度の恒常的な超過を含む、DCA地域における空中衝突リスクを示す証拠が陸軍に入手可能であったにもかかわらず、陸軍の安全管理システム(SMS)は航空運用に完全に実施・統合されていなかったため、これらのリスク要因を把握する能力を欠いていたことを認定した。

最後に、FAA、陸軍、および産業界関係者間の効果的なデータ共有・統合・分析の欠如が、DCA進入管制区域における繰り返す危険要因の識別と軽減を妨げていたことを認定した。安全データの分断、SMSプロセスの不完全な実施、および過去のNTSBの勧告への不対処が、ヘリコプターと旅客機の間で繰り返していた接近事案のような組織的リスクが事故前に識別・対処される可能性を低下させた。

本事故の推定原因は次のとおり認定した。FAAが滑走路進入経路近傍にヘリコプター・ルートを設定したこと、ヘリコプター・ルートおよび入手可能なデータを定期的に見直し・評価することを怠り、DCA近傍における空中衝突リスクを軽減する勧告への対処を怠ったこと、ならびに目視回避概念の限界を考慮することなく効率的な交通流を推進するために航空交通システムがビジュアル・セパレーションに過度に依存したことである。

また、ヘリコプター搭乗員による効果的なパイロット主導のビジュアル・セパレーションの欠如が空中衝突を招いたことも原因として認定した。さらに、ヘリコプター管制席とローカル・コントロール席の統合による高い業務負担、およびリアルタイムの運航上のリスク要因を識別・軽減するリスク評価プロセスの欠如による管制塔チームの状況把握の喪失とパフォーマンスの低下もまた原因であり、これが業務優先順位の誤り、不十分な交通情報の発出、および両乗員への安全アラートの欠如をもたらした。

また、陸軍がヘリコプターの気圧高度計における誤差許容範囲の影響について操縦士が認識していることを確保することを怠り、搭乗員が公表されたヘリコプター・ルートの最大高度を超えて飛行した結果となったことも原因として認定した。

寄与要因には以下が含まれる。

何を勧告したか

調査開始から約5週間後の2025年3月11日、NTSBはFAAに対し、DCAでルート4を運航するヘリコプターとランウェイ33に着陸またはランウェイ15から出発する旅客機との空中衝突の可能性に対処する緊急安全勧告を2件発行した。これらの緊急勧告は、ランウェイ15が出発に、ランウェイ33が到着にそれぞれ使用されている場合にヘインズ・ポイントとウィルソン橋の間のルート4の運航を禁止すること(安全勧告A-25-1)、および代替ヘリコプター・ルートを指定すること(安全勧告A-25-2)をFAAに求めるものであった。

これらの緊急措置を超えて、本調査はより広範な安全改善の組み合わせを必要とする追加的な組織的脆弱性を識別した。その結果、FAAに33件、米陸軍に8件、DOW PBFAに5件、DOTに2件、DOT監察総監室に1件、およびRTCAプログラム管理委員会に1件の新規勧告を行った。


1. 事実情報

1.1 飛行経過

2025年1月29日、EST 2048頃、米陸軍がコールサイン「PAT25」で運航したシコルスキーUH-60Lと、PSAエアラインズがアメリカン・エアラインズ・5342便として運航したCL-600-2C10(CRJ700)(機体番号N709PS)が、DCA南東約0.5マイル(約0.8キロメートル)の上空で空中衝突し、ポトマック川に墜落した。旅客機の操縦士2名、客室乗務員2名、乗客60名、およびヘリコプターの搭乗員3名全員が死亡した。両機は全損した。

5342便は、CFR第14編第121部の規定に基づき、カンザス州ウィチタのウィチタ・ドワイト・D・アイゼンハワー国際空港(ICT)からDCAへの定期国内旅客便として運航していた。PAT25は、操縦士のNVGを使用した年次技量評価飛行を目的として、バージニア州フォート・ベルボアのデービソン陸軍飛行場(DAA)を出発した。事故発生時、DCA周辺では夜間VMCであった。

5342便の乗員は、事故となった飛行のため1733にICTで出頭した。5342便はIFR飛行計画により1838にICTを出発した。コックピット・ボイス・レコーダー(CVR)およびフライト・データ・レコーダー(FDR)データの解析により、ICTからの出発、巡航、およびDCAへの初期降下は異常のない飛行であったことが判明した。

2030直後(衝突17分59秒前)、旅客機はDCAの西方約20マイル(約37キロメートル)のワシントン・ダレス国際空港(IAD)の南方を通過し、北向き進入に備えて南へ旋回し始めた。

PAT25の搭乗員はDAA基地運用に有視界飛行方式(VFR)飛行計画を提出し、1845に事故となる飛行に出発した。技量評価操縦士(IP)は右席に、操縦士は左席に着席した。クルー・チーフは左側クルー・チーフ席に着席した。

ヘリコプターはDAAから西に飛行し、バージニア州カルペパーの民間草地飛行場に着陸した後、北に飛行してから2002頃にメリーランド州へ向けて東進した。乗員は2025にメリーランド州レイトンズビルのヘリポートに着陸し、2028に出発してワシントンD.C.へ向けて南下を開始した。

事故発生時、DCA ATCTのローカル・コントロール(LC)管制官が当該地域の固定翼機とヘリコプターの両方の交通を担当していたが、固定翼機とヘリコプターはそれぞれ別の無線周波数を使って管制官と通信していた。全操縦士は管制官の全航空機への送信を聴取できた一方、固定翼機とヘリコプターの搭乗員はそれぞれ相手方の管制官への送信を聴取できなかった。

2032(衝突15分59秒前)、PAT25のパイロットはDCA管制塔管制官に交信してヘリコプター・ルート1および4を経由してDCA空域を通過しDAAへ帰投することを要求した。管制官は高度計規正値29.89 inHgを通知し、乗員はこれを正しく復唱した。このころ、操縦を担当していたIPがパイロットに操縦を移譲した。残りの飛行において、パイロットがパイロット・フライング、IPがパイロット・モニタリングかつ管制官との通信担当であった。

2名乗員運航において、一方がパイロット・フライング、他方がパイロット・モニタリングに指定される。パイロット・フライングは常に航空機の操縦に専念し、その任務から注意をそらす行為を避ける。パイロット・モニタリングの役割は、航空機の飛行経路とシステムを監視し、多くの場合は無線通信も担当することでパイロット・フライングを支援することである。クルー・チーフの飛行中の職務には、計器と燃料量の監視によりパイロットを補佐し、交通機や障害物を目視識別して追加的な空域監視を提供することが含まれる。

約1分後の2033:16(衝突14分43秒前)、管制官は乗員に「IDENT(アイデント)」を要求した。管制官はその後、ヘリコプターをレーダーで捕捉したことを乗員に通知し、要求された飛行経路を再度承認した。

ヘリコプターのCVRには、このころ管制塔の無線送信の受信状態が悪く、多くが不完全または途切れたものであることについて話し合うPAT25搭乗員の会話が記録されていた。さらに、事故当夜の記録されたATC通信の解析から、PAT25による送信には雑音が伴っており、聴取を困難にしていたことが明らかになった。

約2038:30(衝突9分29秒前)、高度1,400フィートMSLから降下中、ヘリコプターはヘリコプター・ルート1の起点であるメリーランド州カビン・ジョンに到達した。パイロットは最初に西へ旋回したが、IPが方向が誤りであることを告げた。ヘリコプターはその後、降下を続けながら東方向に旋回してルート1に合流し、高度800フィートMSLでポトマック川沿いに南下を続けた(図1参照)。

図1:5342便とPAT25の位置と飛行経路(2038:30〜2046:34)

2039:10(衝突8分49秒前)、5342便の乗員はポトマック統合進入管制(Potomac TRACON)から、DCAのランウェイ01へのマウント・バーノン目視進入の許可を受けた。機長がパイロット・フライング、副操縦士(FO)がパイロット・モニタリングであった。

2043:06(衝突4分53秒前)、副操縦士はDCA管制塔管制官に交信した。管制官は現在の風状況を通知し、乗員が着陸にランウェイ33へ変更できるかどうかを照会した。CVRの記録から、管制官のこの照会に続いて、機長が副操縦士にランウェイ33への着陸性能データを持っているかどうかを確認したことが判明した。副操縦士はそれを持っていることを確認した。機長はその後、「やりたくはないが…まあ伝えてくれ…いや、大丈夫だ、性能データはある、33でやる、問題ないと伝えてくれ」と発声した。副操縦士はその後、管制官にランウェイ33を承諾できる旨を通知した。

2043:39(衝突4分20秒前)、管制官は乗員にウィルソン橋で旋回してランウェイ33へ向かうよう指示し、着陸を許可した。CVRは、その直後、機長がPSAの手順で定められたランウェイ33の目視進入に沿った特定の目標地点における目標高度を示す「33…ハイウェイで1000フィート。教会で500」と発言したことを記録していた。

FDRの情報から、2045:27(衝突2分32秒前)にオートパイロットが解除され、旅客機がランウェイ01への進入コースを外れてランウェイ33に向け右旋回したことが判明した。旅客機の高度はMSL約1,700フィート(約518メートル)で、DCAの南方約5マイル(約9キロメートル)の地点にいた。乗員は残りの飛行中、オートパイロットを使用しなかった。

ヘリコプターのCVRは、5342便がランウェイ33への旋回を許可されたころ、PAT25のパイロットが「地面近くでチョッピー(乱気流による細かい揺れ)になってきてる」と述べたことを記録していた。

2043:48(衝突4分11秒前)にジョージタウン貯水池を通過した際、パイロットが「高度300にいる」と述べ、IPは「了解、(計器では)400、[聴取不能]を探している」と答えた。2044:27(衝突3分32秒前)にキー橋に接近した際、IPは「よし、200への300だ」と述べた。2044:55にルーズベルト島北東角を通過した際、パイロットは「200」と述べた。

2045:14(衝突2分45秒前)、PAT25のIPはメモリアル橋上空のヘリコプターの位置を報告した。IPはその後、パイロットに「右ペダル多めで」と述べ、パイロットはこれを復唱した。続いてIPはパイロットにタイダル・ベイスンに向けて左旋回を開始するよう指示した。その直後、クルー・チーフがヘリコプターの左側にクレーンがあることを発唱した。パイロットは「左クリア。クレーン。問題なし」と答えた。

2045:32(衝突2分27秒前)、IPはパイロットに「300フィートにいる。下げてくれ」と述べた。パイロットは「200へ降下」と応答した。

2045:51(衝突2分8秒前)、IPはヘリコプターの右側にクレーンがあることを発唱した。

2046:02(衝突1分57秒前)、DCA ATCT管制塔の音声記録は、管制官がPAT25に「PAT25、ウィルソン橋のすぐ南のトラフィックはCRJ、高度1,200フィートでランウェイ33に旋回中」と交信したことを示した。しかし、ヘリコプターのCVRにはこの送信が「PAT25、ウィルソン橋のすぐ南のトラフィックはCRJ、高度1,200フィートでランウェイ33向け」として記録されており、「旋回中」という語が含まれていなかった。

IPは「PAT25、トラフィックを目視、ビジュアル・セパレーションを要求」と答え、管制官はこれを承認した。このとき、ヘリコプターはタイダル・ベイスンを横断中であり、5342便はヘリコプターの位置から南方6.5マイル(約12キロメートル)、暗夜の中を南からDCAへ進入する5機の旅客機の1機であった。

2046:34(衝突1分25秒前)、ワシントン・チャネル上空を南東に飛行中、IPはパイロットに「今夜は積み重ねてるね」と述べ、パイロットは「(うん/ちょっと)忙しい」と答えた。続く20秒間、IPとパイロットは風の状況についてコメントを交わした。ヘインズ・ポイントを回ると、ヘリコプターはDCAの東のポトマック川を南西に下った。

2047:29(衝突30秒前)、5342便はランウェイ33への最終進入のため左旋回中であった。乗員は旅客機が500フィートであることを示す自動コールアウトを受け、副操縦士は精密進入経路指示灯(PAPI)の灯火について「ツー・ホワイト、ツー・レッド」と告げてグライドパス上にいることを確認した。

図2:5342便とPAT25の位置(2045:27〜2047:59)

レーダー・データによると、管制官は2047:33(衝突26秒前)からコンフリクト・アラートを受信した。2047:39(図2参照)、管制官はヘリコプターに交信し「PAT25、CRJを目視できますか?」と述べた。コンフリクト・アラートはこの送信の背後で聴取可能であった。

旅客機のFDRおよびCVRのデータはまた、このころ電波高度計高度448フィート(約137メートル)において、乗員が「トラフィック、トラフィック」の音声告知を含む空中衝突防止装置(TCAS)の交通情報(TA)を受けたことを示した。FDRに記録された情報は、TCASディスプレイ上のTAが乗員に接近交通の方位または位置に関する情報を提供したかどうかを示していなかった。CVRは、乗員がTAを口頭で確認せず、交通機の捜索について議論もしなかったことを示した。両機は約1マイル(約1.9キロメートル)の間隔にあり、約200ノット(時速370キロメートル)の接近速度であった。

図3は、両機の飛行経路の最終部分が収束する様子を示している。

図3:ADS-Bによる5342便の飛行経路(黄線)とPAT25の合成飛行経路(青線)がDCA付近で収束する斜め空撮図

2047:42(衝突17秒前)、管制官が「PAT25、そのCRJの後方を通過せよ」と述べたが、ヘリコプターのCVRは、ヘリコプターの操縦士の一人が無線プッシュ・トゥ・トーク・スイッチを0.8秒間押し、管制官の送信中の「25、そのCRJの後方を通過せよ」という言葉を遮断したことを記録していた。

2047:44(衝突15秒前)、IPは「PAT25、航空機を目視、ビジュアル・セパレーションを要求」と答え、管制官は「ビジュアル・セパレーション」と応答した。この時点で、両機は約0.84マイル(約1.6キロメートル)の間隔にあった。ヘリコプターの記録された電波高度計高度は281フィート(約86メートル)であった。

2047:53(衝突6秒前)、PAT25のIPは「よし、少し左に来てくれ、彼が確認している理由はそれだと思う…われわれは少し…真ん中に出ている」と述べ、パイロットはこれを了承した。この時点で、ヘリコプターの記録された電波高度計高度は266フィート(約81メートル)、表示対気速度は74ノット(時速137キロメートル)であった。同時刻、旅客機は電波高度計高度341フィート(約104メートル)でランウェイ33への最終進入に水平飛行に入った。

約2047:55(衝突4秒前)から、ヘリコプターのロール角は左約5度まで増加し、その後左約3度まで減少した。ピッチ姿勢に急激な変化はなかった。

2047:59における最後に記録されたヘリコプターの電波高度計高度は278フィート(約85メートル)であった。

2047:58.0、旅客機の操縦桿が機首上げ3度から11度に移動し、エレベーターは1秒未満で、ほぼ中立位置(1度)から機首上げ方向最大24度まで動いた。この時点で、旅客機の記録された電波高度計高度は313フィート(約95メートル)であった。

2047:58.6、CVRは機長の叫び声を記録し、続いて副操縦士の声も記録した。2047:59.3に、衝突と一致する大きな縦方向の減速が記録された。この時点での旅客機の姿勢は機首上げ7度、左ロール11度であった。記録は2048:04に終了した。


1.2 人員情報

1.2.1 5342便乗員

(省略)

1.2.2 PAT25搭乗員

1.2.2.1 パイロット

パイロット(左席・被評価者)は28歳で、回転翼機(ヘリコプター)および計器ヘリコプターの技能証明、ならびにS-70ヘリコプター(UH-60ブラックホークの民間呼称)の型式証明を含むFAA事業用操縦士資格を有していた。米陸軍の記録によると、パイロットは2021年7月に飛行学校を修了した。

事故発生時、パイロットの総飛行時間は454時間で、そのうち326時間が事故機の型式における飛行時間であり、直近1年間で56時間、直近60日間で4.4時間であった。パイロットのNVG飛行時間は136時間で、そのうち2.9時間が直近60日間のものであった。

(省略)

1.2.2.3 技量評価操縦士

IPは39歳で、回転翼機(ヘリコプター)および計器ヘリコプターの技能証明、ならびにS-70型式証明を含むFAA事業用操縦士資格を有していた。米陸軍の記録によると、IPは2019年5月に飛行学校を修了し、2023年8月に技量評価操縦士課程を修了した。

事故発生時、IPの総飛行時間は968.2時間で、そのうち301時間が事故機の型式における飛行時間であった。IPは前年269時間を飛行し、直近60日間には12時間のNVG飛行時間を含む25.5時間の飛行時間があった。

(省略)

1.2.2.5 クルー・チーフ

クルー・チーフは28歳で、一等軍曹の階級を有していた。2014年7月に陸軍に入隊し、2017年に第12航空大隊に配属された。陸軍の記録によると、クルー・チーフの総飛行時間は1,149時間で、そのうち約186時間がUH-60Lにおける飛行時間であり、残りは他のUH-60型式における飛行時間であった。クルー・チーフはFAAの機体および発動機整備士証明も保有していた。

(省略)


1.3 航空機情報

1.3.1 CRJ700一般情報

三菱重工業(MHI)RJアビエーション CL-600-2C10(CRJ700)は、Tテールおよび引き込み式三輪式降着装置を備え、ゼネラル・エレクトリック(GE)エアロスペース CF34-8C5B1エンジン2基により推進される狭胴型輸送航空機である。事故機は2005年1月に新造機としてPSAエアラインズに引き渡された。

1.3.1.1 CRJ700の空中衝突防止装置

事故機にはTCAS IIバージョン7.0が搭載されていた。本システムは、コリンズ・エアロスペース製のトランシーバー、胴体上部に設置された指向性アンテナ、および胴体下部に設置された全方向性アンテナで構成される。トランシーバーは、航空機のトランスポンダー、電波高度計、無線調整器、主飛行表示装置(PFD)、多機能表示装置(MFD)、およびエンジン表示・乗員警告システムと接続されている。

旅客機のFDRは、機長のMFDのTCAS表示範囲が半径10マイル(約19キロメートル)以内の交通を表示するよう設定されていたことを示した。副操縦士のMFDの表示範囲は、副操縦士がランウェイ01への進入で着陸しようとしてDCA管制塔管制官に交信する約2分前の2041頃に、10マイルから5マイル(約9キロメートル)に変更された。

1.3.2 UH-60L一般情報

シコルスキーUH-60Lは、揚力と推力を提供する4枚羽根の完全関節式メイン・ローター・システムと、方向制御を提供する4枚羽根の完全関節式テール・ローターを備えた軍用ヘリコプターである。ヘリコプターはGEエアロスペース T700-GE-701Dターボシャフト・エンジン2基で推進される。UH-60Lは逆三輪構成の固定式車輪降着装置を有する。

事故機(製造番号702614、米陸軍テール番号00-26860)は2001年3月に製造され、米陸軍に引き渡された。事故機には外部装備支持システム(ESSS)が装備されており、これはヘリコプターの上部キャビン・フレームに設置され下部キャビン・フレームに取り付けた2本の支柱で支えられた2つの翼状の構造物である(図4参照)。各ESSSウイングには内側と外側にそれぞれ1箇所、計2箇所の搭載ポイントがある。事故発生時、事故機のESSSは各外側搭載ポイントに耐衝撃燃料タンク(外部搭載)を装着した形態であった。

図4:ESSSおよび外部燃料タンクを装備した第12航空大隊UH-60L(参考機)

事故当日の朝の時点で、事故機の機体総飛行時間は4,803.6時間に達していた。ヘリコプターの直近の定期整備点検(PMI)は、機体総飛行時間4,769.9時間において2024年10月8日に完了し、その後整備確認飛行が実施された。陸軍が提供した文書によると、PMIは480時間ごとに要求されており、ピトー静圧システム、通信機器、電波高度計、および外部灯火の作動確認を含むことが義務付けられていた(ただしこれらに限定されない)。整備確認飛行では、エンジン始動前に、気圧高度計が地点気圧設定時に飛行場標高との差が±70フィート(約21メートル)を超えないことを確認することが含まれていた。

1.3.2.1 UH-60Lのトランスポンダー

航空機トランスポンダーは、航空機とATC二次監視レーダーまたは他の近傍の航空機との自動通信を支援する機上電子機器である。このトランスポンダーの応答信号により、管制官および他の航空機は当該航空機を識別し、位置を確認し、高度を判定することができる。

トランスポンダーは異なるモードで利用可能である。モードAトランスポンダーはレーダー問い合わせに対し、0000から7777の間の4桁のコードである一時的な識別符号を送信することで応答する。コードはATCにより割り当てられるか、またはATCサービスなしで運航する場合に操縦士がデフォルト・コードを選択する(例:米国でのVFRにおける1200)。モードAは軍用トランスポンダーのモード3と同じ機能である。

モードCトランスポンダーはモードAコードと気圧高度を同時に送信する。モードCはほとんどの管制空域で要求されており、ATCとTCASが垂直間隔設定と交通情報を提供することを可能にする。

モードSトランスポンダーは、固有の24ビット国際民間航空機関(ICAO)アドレス、対気速度、および磁方位などの追加データを送信する。モードSトランスポンダーは、接近する2機の航空機間で回避操縦の調整を可能にするため、現代のTCASシステムの基盤となっている。一部のモードSトランスポンダーはADS-B Out機能を支援するが、これについては第1.4節で詳述する。

事故ヘリコプターにはBAEシステムズ社製M424マルチモード・トランスポンダーが搭載されていた。M424はモードA、CおよびSを支援する。M424トランスポンダーにはADS-B Outスキッターも搭載されており、これはADS-B情報をモードS拡張スキッター(1090ES)形式で送信できるモジュールである。ADS-B Outスキッターはトランスポンダーとは独立したコンポーネントである。

図5:ADS-BスキッターがOFF位置にあるUH-60LのトランスポンダーRCU(出典:BAEシステムズ)

M424においては、トランスポンダーのRCUスイッチにより、操縦士はトランスポンダーとは独立してADS-Bスキッターのオン・オフを切り替えることができる。図5では、ADS-Bスキッター・スイッチはオフ位置にある。

事故機のトランスポンダーはオン位置で発見されており、送信に設定されていたことを意味する。しかし、トランスポンダーとそのADS-Bスキッターの調査から、ADS-Bスキッターが不適切に設定されており、ADS-B Outを送信していなかったことが判明した。具体的には、モードSとADS-B通信に使用される24ビット識別子であるトランスポンダーの航空機アドレスが誤って設定されており、トランスポンダーが正しいアドレスと誤ったアドレスの2つの間を交互に切り替わっていた。このアドレス・エラーにより、ヘリコプターは有効なADS-B Outデータを送信できなかった。

1.3.2.2 UH-60Lの対気データ・システム

UH-60Lは、ピトー管と静圧孔で構成されるピトー静圧システムを使用して対気速度と高度を測定する(図6参照)。ピトー管は全圧(静圧と航空機の飛行による動圧の合計)を測定し、静圧孔は周囲の大気圧を測定する。

図6:UH-60Lのピトー静圧システム配管図(出典:米陸軍、NTSBが一部修正)

UH-60Lのピトー静圧システムは、ヘリコプターの機首に取り付けられたピトー静圧プローブと、胴体の両側に取り付けられた個別の静圧孔で構成される。ピトー静圧プローブはIP(右席)の対気速度計に接続されており、独立した静圧孔は操縦士(左席)の対気速度計と両方の気圧高度計に接続されている。

事故発生時、事故機のESSSには外側搭載位置に外部燃料タンクが装着されていた。本調査のために実施された研究により、ESSS形態——特に外側搭載位置の外部燃料タンク——が、ピトー静圧プローブ周囲の気流に乱れを生じさせ、操縦士の対気速度計に誤った高い対気速度の読み取り、ひいては誤った低い高度の読み取りをもたらすことが判明した。このESSSが誘発する対気速度誤差により、IP(右席)の表示対気速度が誤って高くなり、操縦士(左席)とIPの表示対気速度の間に差異が生じていたであろう。

1.3.2.3 UH-60Lの高度計

UH-60Lには両席の乗員用に計器板の左右それぞれに取り付けられた気圧高度計が2基搭載されている(図7参照)。

図7:NVG越しに見たUH-60Lコックピット計器板(左席側)

気圧高度計は周囲の気圧を測定し、その気圧を高度と関連付けることで動作する。大気圧は高度が上がるにつれて低下するため、高度計は測定された気圧を対応する高度に変換することができる。

気圧高度計は完全に正確な計器ではなく、正常に機能している場合でも、連邦規則で規定された誤差許容範囲を持っている。CFR第14編第91.411条により、高度計システムと高度報告装置は24暦月ごとに検査・試験を受けることが義務付けられており、附属書Eの試験要件の「目盛誤差試験」では、任意の高度における高度計誤差が±75フィート(約23メートル)を超えてはならないとされている。つまり、完全に較正された高度計でも実際の気圧高度より最大75フィート(約23メートル)高いか低い高度を表示する可能性がある。

事故機の最新の高度計試験記録(2024年4月11日付)によると、操縦士(左席)の高度計は1,000フィート試験点で最大+50フィート(約15メートル)の誤差を示し、IP(右席)の高度計は1,000フィート試験点で最大−70フィート(約21メートル)の誤差を示した。

操縦士(左席)の高度計の最大誤差(+50フィート)をESSSに関連する対気速度誤差と組み合わせて計算に組み込んだところ、本調査はヘリコプターが搭乗員が認識していた高度より約50〜100フィート(約15〜30メートル)高い高度を飛行していた可能性が高いと判断した。


1.4 ADS-Bと衝突回避技術

1.4.1 ADS-Bの概要

ADS-Bは、航空機が地上局や近傍の航空機に自機の正確な位置およびその他の飛行情報を放送することを可能にする監視技術である。従来のレーダーが積極的に信号を送信して航空機からの反射を待つのとは異なり、ADS-Bは問い合わせを必要としない。ADS-B Out機能を持つ航空機は、正確なGPSに基づく位置、高度、速度およびその他の飛行情報を1秒ごとに自動的に送信する。

FAAは2020年1月1日以降、ほとんどの管制空域でADS-B Outの搭載を義務化した。ADS-B Outが要求される空域には、クラスA、B、およびCの空域、MSL10,000フィート以上のクラスE空域(AGL2,500フィート以下の空域を除く)、およびクラスB空港から30マイル(約56キロメートル)以内の地表からMSL10,000フィートまでの空域が含まれる(図8参照)。

図8:NASにおけるADS-B Out搭載義務空域(空域種別)(出典:FAA)

ADS-B Outの送信はADS-B地上局により受信され、放送型航空管制情報サービス(TIS-B)を経由して他の航空機や航空交通管制官に放送される場合がある。ADS-B Inとは、他の航空機の送信およびFAA地上局により放送されるTIS-Bデータを含むADS-B送信を受信して表示する航空機の能力を指す。ADS-B Inは近傍の航空交通に関する操縦士の状況把握を向上させるために使用でき、コックピット交通情報表示装置(CDTI)と組み合わせることで、周辺交通の強化された描写を操縦士に提供する。

1.4.2 空中衝突防止システムおよび交通状況認識システム

表5. 機上衝突回避システム(ACAS)とADS-B In応用機能の特徴比較。

TCAS II 7.0TCAS II 7.1ACAS Xa(固定翼機用)ACAS Xr(回転翼機専用)ADS-B In応用機能
機能リアルタイムの衝突回避アドバイザリ(TAおよびRA)同左同左同左ATCとACAS監視およびコックピットの状況把握強化
監視方式近傍航空機のトランスポンダー(モードC/S)への積極的な問い合わせによる距離、方位および高度の判定同左ACAS Xa/XrはさらにADS-B In監視も活用同左航空機が毎秒自動的に放送するGPS由来の位置データ
警報種別TA(交通情報)、RA(回避指示)改良ロジック衝突回避警報なし。一部のシステムは状況認識のための音声警報を発出(ATAS)
RA反転ありあり衝突回避警報なし
速度・水平RAコマンドなしなし衝突回避警報なし
警報抑制(±100フィート)降下RA<AGL1,450フィート未満、降下RA<AGL1,100フィート未満、全RA<AGL1,000フィート未満、TAを含む全TCAS音声<AGL500フィート未満抑制高度100または200フィート引き下げ低高度での不要警報を低減衝突回避警報なし
衝突回避ロジックルールベースのロジック同左確率的脅威モデリングと機械学習ベースのアルゴリズム同左衝突回避警報なし
目標方向性なしADS-B In対応機器のみ可能(必須ではない)可能あり

※ACAS Xr規格は開発中であり、最終的な警報抑制高度はまだ評価中。

1.4.2.1 TCAS

1967年から1987年にかけて、NTSBはFAAに対し、空中衝突事故の可能性を低減するための措置の必要性に関する116件の安全勧告を発行した。そのうち11件は、操縦士に衝突警告と回避操縦指示を提供する機上衝突回避システムの必要性を特に求めるものであった。

1986年、カリフォルニア州セリトス近郊でマクドネル・ダグラスDC-9と単発のパイパー・チェロキーの空中衝突が発生し、計82名が犠牲となった。1989年1月、FAAは大型輸送機カテゴリの旅客機および一部の小型タービン・エンジン搭載旅客機へのTCASの搭載と使用を義務付ける最終規則を発行した。

TCAS Iは、衝突の潜在的脅威として探知した航空機を操縦士が目視で捕捉する支援のためにTA(交通情報)を提供する。TAは、航空機の航法電子装備の構成に応じて専用ディスプレイ、共用ディスプレイ、またはポップアップ・ディスプレイにより操縦士に示される視覚的警告と、「トラフィック、トラフィック」の音声告知から成る。

TCAS IIはさらにRA(回避指示)として知られる垂直経路指示を乗員に提供することができる。RAは衝突の危険を回避するために、上昇、降下または水平飛行等の垂直操縦を実施する指示を操縦士に提供する。TCASのRAは間隔を拡大するために航空機間で電子的に調整される。

旅客機が降下中で電波高度計がAGL900フィート(約274メートル)未満を示す場合、TCASは「TAのみ(TA ONLY)」モードに切り替わり、降下中はAGL900フィート未満でRAを抑制する。上昇中は、AGL1,100フィート(約335メートル)未満でRAが抑制される。これらの抑制高度は不要警報を防止するために設計されている。

降下中にAGL900フィート未満になると、TCASは侵入機が最接近点まで約20秒以内、または0.3マイル(約0.6キロメートル)の距離のいずれか先に生じる状況になった時点でTAを発出する。航空機がAGL400フィート(約122メートル)未満に降下、または上昇中にAGL600フィート(約183メートル)未満になると、TAに関連する音声告知は抑制されるが、黄色の「TRAFFIC」警告はPFD上に引き続き表示される。

図9:TAが有効なPFD(左)とRAが有効なPFD(右)の表示例
図10:TAが有効なCRJ700のMFD表示例

※左のPFDはTAが有効な状態を示す。右のPFDはRAが有効な状態を示し、右下象限に赤と緑のアークが表示されて、緑の垂直速度範囲に入るよう上昇して脅威機から離れることを指示している。「TRAFFIC」の赤文字表示も確認できる。TAのみモードでは、AGL1,000フィート(±100フィート)未満でRAが自動的に抑制され、乗員が手動でTAのみモードを選択することもできる。

TCAS IIは6.04a、7.0および7.1を含む様々なソフトウェア・バージョンで利用可能である。最も注目すべきは、バージョン7.1でRAのロジックと警報の表現が改良されたことである。TCAS IIの最低運航性能規格(MOPS)は、目標の移動方向を示す方向性のある交通シンボルを要求していない。

ACASは目視衝突回避、航行優先権規則の適用、およびATC間隔設定サービスのバックアップとして機能する。FAA AC 90-120は、TAは一般的に乗員の即座の認識とその後の乗員対応を要する場合があり、RAは一般的に乗員の即座の認識とタイムリーにRAに従うことによる即座の乗員対応を要すると規定している。

1.4.2.2 ACAS X

ACAS Xは衝突回避技術の次世代として開発された。目標は、不要警報の数を低減しながら既存の衝突回避警報を改善するシステムを構築することであった。ACAS XはトランスポンダーへのADS-B In情報を利用してトランスポンダーへの問い合わせと応答を補完する。

ADS-B Outの送信には位置と速度ベクトルが含まれており、これによりCDTI上に目標を表示でき、目標の移動方向を示すことができる。この情報があれば、操縦士はディスプレイ上の目標を一瞥するだけでそれがどこへ向かっているかを即座に把握でき、目標が衝突の脅威をもたらすかどうかを迅速に評価することができる。

ACAS Xには、固定翼機向けのACAS XaおよびXo、無人機向けのACAS Xu、および回転翼機専用に設計され現在開発中のACAS Xrを含む複数の派生型がある。

FAAの一般的な安全研究は、ACAS Xaが安全性を20%改善し、総合的な警報発生率を65%低減することを示した。ACAS XaのMOPSは2018年に完成したが、運用中のACAS Xaシステムはいまだ配備されていない。現在のところTCASからACAS Xaへの移行を義務付ける規制要件は存在しない。

1.4.3 ADS-B InとACASの比較

ATAS規格に準拠したADS-B In CDTIシステムはACASと同じ交通情報要素を表示するが、さらにTCASおよびACAS Xa製品には現在要求されていない方向性のある交通シンボルも表示する(図11参照)。TCASとADS-Bの重要な違いは、ADS-B Out搭載機が航空機位置以外に水平速度ベクトルや垂直速度(上昇率)を含む追加データも送信できることである。

図11:非方向性(左)と方向性(右)の基本的な交通シンボルの比較(出典:RTCA DO-317C)

しかしTCASは、目標の移動方向を判定するのに十分な精度で目標機の方位(相対角度)を測定できないという制約がある。TCASの目標は方向性情報を含まない対称的なシンボルとして表示される。これらの目標の移動方向を判断するために、操縦士はTCASディスプレイを監視して目標の表示位置が時間とともにどのように変化するかを観察する必要がある。

ATASはADS-B情報を活用して近傍交通のクロック方向、相対高度、距離および垂直傾向を示す口頭警報を生成する。これにより操縦士は交通機を目視するために即座に適切な方向へ機外に注意を向けることができる。

現在のTCASのTAは「トラフィック、トラフィック」の告知のみを提供し、目標の位置に関する追加情報は提供しない。このため操縦士は、機外の特定の場所に目視捜索を集中させる前に、まずコックピット内のTCASディスプレイを参照して目標の相対位置を確認する必要がある。

1.4.4 事故機の搭載装備

事故機の旅客機にはADS-B Inを活用する航法電子装備が搭載されておらず、事故発生時にCRJ700への搭載が承認された認定ADS-B In製品も存在しなかった。

両機はADS-B Out対応のトランスポンダーを搭載していたが、事故発生時にADS-B Outを送信していたのは旅客機のみであり、ヘリコプターはトランスポンダーのモードSで運航していた。旅客機がTCASを搭載し、ヘリコプターがモードSで運航していたため、5342便の乗員はヘリコプターの識別符号と気圧高度を含む交通情報を旅客機のTCASを通じて受信した。

ヘリコプターにはTCASや統合されたADS-B In対応CDTIは搭載されておらず、搭載義務もなかった。ヘリコプターの主要残骸とは別に2台のiPad Miniタブレットが回収された。陸軍によると、タブレットにはForeFlight Mobileアプリケーションがインストールされており、アパレオ・ストラータス・ポータブルADS-B受信機に接続すると、移動地図表示上にADS-B交通情報を描写することができた。タブレットは通常、飛行中にパイロット・モニタリングが参照した。

1.4.4.1 事故ヘリコプターのADS-B経緯

事故発生時、第12航空大隊のすべてのUH-60Lヘリコプターには、ADS-B Outの送信能力を持つトランスポンダーが搭載されていた。陸軍航空旅団(TAAB)の標準作戦手順(SOP)は、機密性の高いまたは秘密の作戦を実施する航空搭乗員はADS-B Outの代わりにトランスポンダーのモード3/AまたはCを送信し、飛行中はトランスポンダーのモードを切り替えてはならないことを規定していた。事故飛行は操縦士の技量を確認するための技量評価飛行の目的で実施されたが、TAAB SOPの下では任務目標地への訓練飛行と見なされていた。

事故ヘリコプターの過去データの調査から、事故前730日間(2年間)の過去のADS-Bデータが存在しないことが判明した。しかし、2022年12月以降の断続的なMLAT(多点測位法)データが発見された。少なくとも2023年10月以降、事故ヘリコプターのトランスポンダーは割り当てられた航空機アドレスと別の誤った航空機アドレスを断続的に入れ替えていた。


1.5 気象情報

1.5.1 DCAにおける観測

2052、DCAは300度方向からの平均風速14ノット(時速26キロメートル)、最大瞬間風速23ノット(時速43キロメートル)、風向270度から330度の変動、視程10法定マイル(約16キロメートル)以上、快晴、気温10℃(華氏50度)、露点温度−7℃(華氏19度)、および高度計規正値29.90 inHgを報告した。備考欄には2008に300度方向から33ノット(時速61キロメートル)の最大瞬間風が発生したことが記録された。

1.5.2 風および乱気流に関する乗員間の会話

PAT25のCVRには、事故飛行を通じて存在していた風の強い乱気流状態への言及が多数含まれていた。このような状態では、所望の高度と飛行経路を維持するために頻繁な針路と高度の修正が必要となる場合がある。

表7. PAT25搭乗員のCVR記録のうち、風および乱気流に関する発言(抜粋)。

時刻発言内容DCAからの距離
1939パイロット「少し乱気流」IP「少しバンプ」35マイル
1956パイロット「これは乱気流か、それとも[介助が]必要か?」IP「いや乱気流だ。風にかなり押し出されてて…トリムが取れてない」35マイル
2002IP「操縦権を持て、左からの風が確実に…トリムを維持しろ」30マイル
2012IP「この風は…」パイロット「かなりの向かい風」20マイル
2018IP「右に旋回すると強い追い風が来る…」20マイル
2020IP「左から風にかなりやられてる感じ、右?」パイロット「はい」20マイル
2024IP「この風は確かに難しい」20マイル
2043パイロット「地面近くでチョッピーになってきてる」IP「そう、低高度では確実にチョッピーになる」5マイル
2046パイロット「クラブ角を入れて…風と戦わない方がいい…右ペダル」2マイル

1.5.3 環境気圧の調査

事故当日の午後にワシントンD.C.地域を寒冷前線が通過し、その後気圧はその日の残りの時間と翌日にかけて上昇した。国立気象局の専門家が事故発生直前の状況について調査した結果、ヘリコプターの気圧高度計の読み取りに悪影響を与えた可能性のある超局所的な気圧異常はDCA近辺に存在しなかったことが判明した。


1.6 ヘリコプター・ルート

FAA命令JO 7210.3DDによると、ヘリコプター・ルート図は、高密度交通地域へのヘリコプターのアクセス、離脱および運航を容易にするための個別および共用のヘリコプター・ルートまたは運航区域を図式的に描写したものである。これらの図はヘリコプター・ルート、ヘリポート、航法援助施設および障害物を描写する。ヘリコプター・ルート図は56日ごとに更新される。

NTSBの調査審問会においてFAA航空情報サービス局の要員が提供した証言によると、ヘリコプター・ルート図に描写されたルートには、図のルート説明に明示されていない限り横方向の制限はない。これらのルートは「非規制的」で「推奨経路」と説明されており、予想される飛行経路、通報点、および地域進入・離脱地点に関する操縦士と管制官の間のコミュニケーションを効率化し容易にするものとされた。また同証言は、ヘリコプター・ルートは地域の交通流と密度に基づいて設定されたが、ヘリコプターと固定翼機の交通の間の分離を提供するために特別に設計されたものではなかったことを示した。

1.6.1 ボルチモア・ワシントン地区ヘリコプター・ルート図

DCAのクラスB空域には、地域および州の法執行機関、軍、政府、および医療輸送を含む多数の運航者による大量のヘリコプター活動が含まれている。ワシントンD.C.地域のヘリコプター・ルートはボルチモア・ワシントン・ヘリコプター・ルート図に収録されている。図12は、事故発生時に有効であった図からDCA周辺地域を描写した抜粋を示している。

図12:事故発生時点で有効なFAAボルチモア・ワシントン・ヘリコプター・ルート図(DCA周辺の抜粋)(出典:FAA)

事故当夜のPAT25のルートは、メリーランド州カビン・ジョンに始まりポトマック川の西岸に沿って南東方向のワシントンD.C.へ向かうルート1を含んでいた。南下しながらキー橋を渡った後、ルートは東にケネディ・センターとリンカーン記念館、西にルーズベルト島を置きながらポトマック川の東岸に沿い、強制通報点であるメモリアル橋を渡った。メモリアル橋通過後、ルート1の推奨最大高度はMSL200フィート(約61メートル)であった。ルート1はその後ワシントン記念碑の南を継続し、ウエスト・ポトマック・パークとタイダル・ベイスンを横断してからイースト・ポトマック・パーク沿いのワシントン・チャネルに沿って進んだ。

イースト・ポトマック・パークの最南端でポトマック川とアナコスティア川の合流点に位置するヘインズ・ポイントは、任意通報点およびルート4が始まりルート1と合流する地域として識別された。ルート4は西にDCAを置きながらポトマック川の東岸に沿ってウッドロー・ウィルソン橋に向けて南へ続いた。固定翼機交通のDCAへの進入・出発経路は図上に示されていなかった。

図の凡例には、図上に描写された図式記号に関する追加情報が含まれていた。ルート高度に関して提供された情報は「推奨高度(Recommended Altitudes)」と標識され、記載高度の下の棒線は最低推奨高度、上の棒線は最高推奨高度、上下両方の棒線は特定の推奨高度を示すものとして描写されていた(図13参照)。

図13:高度情報の読み方を示したヘリコプター・ルート図凡例の抜粋(出典:FAA)

ルートの文章による説明を記載した図の部分には、図14に示すとおり「ルート高度は最大値(Route Altitudes are Maximum)」と記載されていた。

図14:ヘリコプター・ルート図に記載されたルートおよび高度の説明文(出典:FAA)

図はルートごとの横方向の境界を記述していなかったが、ルート4の説明(南から北への方向で記述)には「フォート・ワシントンからポトマック川上空を経由してウィルソン橋へ、次いでポトマック川の東岸を経由してアナコスティア川へ。アナコスティア川でルート1に合流」と記載されていた。

1.6.2 ヘリコプター・ルートの設定および変更

ボルチモア・ワシントン・ヘリコプター・ルート図の初版は1986年2月に公表され、ウィルソン橋に強制通報点が追加された1991年まで変更されなかった。1991年から事故発生時まで、ルート高度と各機関の管轄区域の境界に変更はあったが、ルート構造に重大な変更はなかった。

FAAは本調査に対し、ボルチモア・ワシントン・ヘリコプター・ルート図の義務付けられた年次審査が実施されたことを示す文書を提供することができなかった。

1.6.3.1 DCA管制塔ヘリコプター・ワーキング・グループ

現役および元メンバーへの聴取と情報提供によると、2013年、DCA ATCTの管制官たちは、DCAクラスB空域内の固定翼機とヘリコプター交通の高密度混合運航に固有の課題に対処するためのヘリコプター・ワーキング・グループ(HWG)を結成した。

2013年に軍用ヘリコプターと地域航空機のニア・ミス(NMAC)が発生した後、HWGはヘインズ・ポイントとウィルソン橋の間のルート4をランウェイ33の進入経路から離れた州間高速道路295号線の東方に移設する正式な提案を行った。参加者の一人は、この勧告は当時のATMに行われたが、ATMにより取られたその後の措置やグループの要求への正式な回答については認識していないと述べた。参加者の一人は、HWGがルートは「政府運営の継続性または安全保障上の理由から」撤去できないと告げられたことを思い出した。

2021年、HWGは騒音問題に対処するための安全リスク管理パネル(SRMP)を召集した。提案にはHWGが空中衝突リスクの増大をもたらすと識別した区域である3つの「ホットスポット」をヘリコプター・ルート図に追加することが含まれていた。提案されたホットスポットには、ルート4とランウェイ33の最終進入経路の区域(2013年のNMACと今回の事故の両方が発生した場所)、サウス・キャピトル・ストリート付近のルート1、およびメモリアル橋近くのルート1が含まれていた(図15参照)。

図15:提案されたホットスポット(丸印)を示したヘリコプター・ルート図の抜粋

FAA航空情報サービス局長は、HWGが提案した区域境界への変更は実施されたものの、「ホットスポットは地上または地表の移動に関連するものであり、VFR航空図の仕様の範囲内にない」という理由でホットスポットはヘリコプター・ルート図に追加されなかったと証言した。

1.6.4 ヘリコプター・ルートの使用実態と認識

軍、政府、法執行機関および医療輸送を含む当該地域の多くのヘリコプター運航者は、DCAクラスB空域内での運航中に遵守することが求められる具体的な手順を概説したDCA管制塔との協定書(LOA)を締結していた。第12航空大隊に適用されるLOAには、「ATCにより別途承認されない限り、ボルチモア・ワシントン・ヘリコプター・ルート図に記載されたルートと高度を適用しなければならない」と記載されていた。

TAAB SOPは、航空搭乗員が「飛行するルートまたは区域の最大高度より少なくとも100フィート(約30メートル)低く飛行する」ことを規定していた。

医療輸送および法執行機関のヘリコプター運航者グループの代表者は、自グループの運航者はルート4がランウェイ15/33からの手続上の分離を提供するとは考えておらず、グループ全体として運航者の手順はヘリコプターが最終進入中の旅客機の下を飛行することを禁止していると述べた。

聴取を受けた第12航空大隊の操縦士は一般的に、ヘリコプターがルート4の公表された最大高度以下にとどまれば、ランウェイ33に着陸する旅客機からの十分なクリアランスが確保されると信じていた。ある操縦士は「着陸する交通がいて管制塔がそれを管制しており、われわれがルート4にいるなら、私の理解ではわれわれは問題ないはずだ。問題になるはずがない」と述べた。別の操縦士は「ええ、だからルートが公表されているんです、200フィート以下で。つまり、他の交通から分離してくれると想定するわけです」と答えた。

DCAを基地とするPSAエアラインズの操縦士への聴取では、機長のうち1名のみがヘリコプター・ルートの位置と高度について具体的な知識を持っており、その機長は以前当該地域の軍操縦士であった。ある機長は、DCAでヘリコプターを「常時」見ているものの特定のヘリコプター・ルートが存在することを知らなかったと述べ、ルートに関する追加情報があればDCA地域の運航に関する操縦士の認識が高まったであろうと報告した。


1.7 空港情報

1.7.1 概要

DCAはワシントンD.C.中心街の南方約3マイル(約5.6キロメートル)、標高MSL14フィート(約4メートル)に位置する。DCAを取り囲むクラスB空域は複雑で、3つのクラスB主要空港、多数の一般航空飛行場、軍用飛行場、制限区域、特別飛行方式区域(SFRA)、飛行制限区域(FRZ)および広範な図示されたヘリコプター運航区域とルートを含む多くのレイヤーと制限が含まれている(図16参照)。

図16:DCA周辺空域の注釈付き空域図。青い線はクラスB空域の各層を示す。

DCAには1/19、15/33および4/22と指定された3本の滑走路が整備されている。ランウェイ01/19の長さは7,169フィート(約2,185メートル)、ランウェイ15/33の長さは5,204フィート(約1,586メートル)であった。ランウェイ33には3.0度の目視進入経路を提供する4灯式PAPIが設置されている。

DCAの空港形態はポトマック川上の立地により、3方を水に囲まれており著しく制約されている。1991年(データが入手できる最古の年)以降、年間航空会社の管制塔運航回数は175,224回から2024年のピーク294,312回まで増加した。大型の重い旅客機はDCAの短い滑走路での性能余裕がより制限的であるため、空港最長のランウェイ01/19への需要が増加し、物理的に制約された混雑した空港における管制官への追加的な業務負担と調整需要をもたらした。

1.7.2 航空交通管制塔の人員配置

事故発生時、5名の認定専門管制官(CPC)、1名の航空管制管理調整官(TMC)、1名の訓練中CPC、1名の運航監督者(OS)および1名の訓練中OSが勤務していた。LC席とHC席は統合され1名のCPCが担当しており、これはDCA ATCT SOPにより認められていた。

1.7.3 ローカル・コントロール管制官

事故発生時にLC管制官を担当していた36歳のCPCは、2016年6月にFAAに採用され、2022年10月にDCAに異動した。2023年8月にGC席の認定を取得し、2024年5月にALC、LCおよびHC席の認定を取得した。

LC管制官は、事故当夜の2000頃に夕方の「ラッシュ」があったと述べたが、事故発生時ごろの業務負担は軽減していると思っていたと述べた。事故発生時の業務量と複雑性を、1が最低・5が最高として評価するよう求められ、交通量を4と想起し、複雑性を3または4と説明した。

LC管制官は、PAT25に交通情報を発出した後、PAT25は交通を目視しビジュアル・セパレーションを要求した旨を報告し、管制官はこれを承認したと述べた。その後、ランウェイ01から出発する旅客機への離陸許可の発出を含む滑走路での「他の優先業務」に注意を向けた。管制官は、航空機の速度を考慮すると、ヘリコプターが旅客機の進入経路に達する前に旅客機はすでに着陸しており衝突の危険は生じないと信じていたと述べた。

記録されたレーダー情報と無線通信の解析から、衝突約20分前にLC管制官は3機のヘリコプターを含む計8機の航空機を自周波数上で管理していたことが判明した。衝突約13分前にその数は10機に増加し、そのうち5機がヘリコプターであった。衝突約90秒前にはLC管制官の周波数上に5機のヘリコプターを含む12機が存在していた。

さらに、LC管制官の無線送信頻度は衝突前に増加した。それ以前の6〜7分間では管制官は1分当たり平均約4.5回の送信を行っていたが、事故前の3分間にはこれが1分当たり約7.7回まで増加した。

コンフリクト・アラートは2047:37.8の管制官による2回の短いマイクキーの間に聴取可能であり、管制官のCTRD上でも表示されていたはずである。その2秒未満後、衝突約20秒前に、LC管制官はPAT25にCRJを引き続き目視しているか確認し、PAT25にCRJの後方を通過するよう指示したが、PAT25の搭乗員は不意のマイクキーにより指示の「後方を通過せよ」の部分を遮断していた。

PAT25は航空機を目視していることを確認し、ビジュアル・セパレーションを要求した。LC管制官はその後「ビジュアル・セパレーション」と述べた。

2047:54(衝突5秒前)、AAL472が3回目の管制塔への交信を行い、LC管制官は衝突が発生した際にその旅客機と通信中であった。

1.7.6.1 管制席の統合運用

事故当日、LC/HC席は1540から統合されていた。事故発生時の現行DCA ATCT SOPは、HC席が月曜から金曜は1000〜2130、土曜から日曜は1000〜1700に「通常は分離運用されるべき」と規定していた。OSまたは管制責任者(CIC)は、気象状態、ヘリコプター交通量および航空会社交通量を考慮した上で、裁量によりHC席とLC席を統合する権限を持っていた。

記録は、事故当日を通じてHC席とLC席が個別に担当されたのは約1時間20分に過ぎなかったことを示した。第3の管制官は、席の統合は管制官が到着・出発とヘリコプター交通の間に絶えず注意を分割することを要求するため、状況把握の低下をもたらす可能性があると述べた。

1.7.6.2 ヘリコプターと固定翼機の間のビジュアル・セパレーション

FAAのパイロット・管制官用語集によると、ビジュアル・セパレーションはATCがNASのターミナル区域および航路空域で航空機を分離するために用いる手段であり、管制塔主導または操縦士主導のいずれかである。ビジュアル・セパレーションが使用される場合、最低間隔標準は定義されていないが、その適用の前後には標準最低間隔標準が存在しなければならない。

DCAでは、標準クラスBレーダー間隔は、いずれかが19,000ポンド(約8,618キログラム)超または噴射推進機である場合、IFR機とVFR機の間に最低1.5マイル(約2.8キロメートル)の横方向または500フィート(約152メートル)の垂直間隔を要求する。

事故後の聴取において、DCAの現役および元管制官は、管制塔がVFR状態においてヘリコプターと固定翼機の交通を効率的に分離する手段として、管制塔主導と操縦士主導の両方のビジュアル・セパレーションを日常的に使用していたと述べた。元OMは、管制塔がヘリコプター・ルートの構造上「99%の時間」操縦士主導のビジュアル・セパレーションに依存していたと述べた。

航空安全報告システム(ASRS)データベースにおけるDCA近傍での旅客機とヘリコプターの「ニア・ミス」空中接近に関する報告書の調査から、1988年から2024年の間に33件のニア・ミス報告(年間0.9件)が得られた。

1.7.6.3 空港到着率および縦列間隔

2025年2月21日、FAAはDCAのAARに一時的な運用調整を実施した。

表10. 滑走路および気象条件別の現行および要求空港到着率(AAR)の比較。

滑走路条件現行AAR(機/時)要求AAR(機/時)
19VMC3228
19LVMC3026
19IMC2824
19LIMC2624
1VMC3632
1LVMC3430
1IMC3228
1LIMC3028

表11. 2025年2月21日時点のDCA AAR。

滑走路条件現行AAR(機/時)
19VMC30
19LVMC28
19IMC26
1VMC30
1LVMC28
1IMC26

ポトマックTRACONとDCA ATCTの間のLOAはDCA ATCTが到着機間に必要な最終間隔についてポトマックTRACONと調整することを規定していたが、両施設の要員は合意された縦列間隔(MIT)を受けることが長年の問題かつ不満の原因であったと報告した。

2015から事故発生時まで、DCAへの到着機は16機あり、そのうち9回において滑走路端での間隔が4MIT未満であった。2025年1月30日、FAAはポトマックTRACONがDCA ATCTに提供していたMITを評価するための組織的問題審査(SYSIR)を実施した。SYSIR審査チームは、90%の到着機に対してポトマックTRACONが管制移管点において4MITを提供していたが、航空機が滑走路端に到達した時点では60%の到着機のみが依然として4MITの間隔を保っていたことを発見した。SYSIRは、滑走路端で4MITの間隔を実現するためには管制移管点での5MITの間隔が必要であると結論付けた。

1.7.6.5 ランウェイ33への振り分け

事故発生直前の数分間、複数の旅客機がランウェイ01への出発のために地上走行・待機しており、さらに複数の旅客機がランウェイ01への進入中であった。LC管制官は5342便の直前に最終進入中の旅客機にランウェイ33を受け入れられるか照会したが、その乗員は断った。5342便の乗員に照会したところ、熟慮の末に承諾し、管制官は乗員にランウェイ33へ旋回するよう指示して着陸を許可した。

DCA ATCT要員への聴取から、航空機間の間隔を確保するために到着機を別の滑走路に「振り分ける(offloading)」ことはDCAでの一般的な慣行であることが判明した。DCA ATCT OMは調査審問会において、「とにかく対処する(just make it work)」という考え方が事故前のDCA ATCTで常態化していたと述べた。

1.7.6.6 時間基準流量管理

時間基準流量管理(TBFM)は、航路およびターミナル(空港)環境における時間基準の交通管理のための意思決定支援ツールである。ポトマックTRACONのATMへの事故後聴取によると、TBFMシステムはポトマックTRACONに10〜12年前から設置されていたが、「予算上の制約および他のプログラムの優先事項のため」一度も起動されていなかった。FAAによると、TBFMシステムは2025年10月以降ポトマックTRACONで部分的に運用開始されており、完全実施は2026年3月までに予定されている。

1.7.7 外部適合性確認

2022年6月のDCAでの外部適合性確認(ECV)において、ECV審査チームが到着し、火曜日の午後までに33項目を「不適合」と識別した時点で、ECVを中断して内部適合性確認(ICV)に切り替えることを決定したと述べた。

2024年11月のECVでは、LC管制官が最終進入中の航空機に対し最終進入経路付近で運航するヘリコプターが当該機を目視してビジュアル・セパレーションを維持していると伝えた「数件の事例」を記録した。しかし、これらの送信が行われた時点において、ヘリコプターは交通を目視したことを報告しておらず、ビジュアル・セパレーションを維持するよう指示されてもいなかった。

1.7.8 航空交通管制手順

FAA命令JO 7110.65AAは、ATCシステムの主要な目的はシステム内で運航する航空機が関与する衝突を防止することであり、管制官は航空機の間隔設定と規定どおりの安全アラートの発出を最優先しなければならないと規定している。

同命令は、間隔が適用される最低間隔未満に低下する可能性があると判断した場合、管制官は周波数上のすべての航空機に対し、交通の方向、距離、高度、種別および動態を提供して交通情報を発出することを義務付けている。

操縦士主導のビジュアル・セパレーションについては、管制官が操縦士から相手機を目視していることの確認を得た後、操縦士にその航空機とのビジュアル・セパレーションを維持するよう指示することが要件として規定されている。事故発生時、PAT25と5342便の間には操縦士主導のビジュアル・セパレーションが有効であった。FAA指導は、ビジュアル・セパレーションで運航する場合に航空機が保たなければならない最低距離を規定していない。

DCA ATCTには複数のCTRDが整備されており、コンフリクト・アラート(CA)を通じて管制官に視覚的・聴覚的警報を提供する安全ロジックが統合されている。DCA ATCT要員への聴取から、DCAではCAが「頻繁に」聴取され「かなり一般的」であることが判明した。事故発生前の30分間に、CA音声トーンが管制官の18回の無線送信中に聴取可能であった。

FAA命令7110.65AAは、管制官が航空機が地形、障害物または他の航空機への危険な近接状態に置かれているとことを認識した場合、その航空機に安全アラートを発出しなければならないと規定し、安全アラートの発出は管制官が認識した時点での最優先事項であると規定している。

1.7.9 施設レベル区分

FAAは航空交通管制施設を4から12のレベルで区分しており、レベル4施設は最少の交通量または複雑性を、レベル12施設は最大を担当する。2018年、DCA ATCTはレベル10施設からレベル9施設に格下げされ、事故発生時もレベル9施設であった。

DCA ATCT OMは調査審問会と事故後聴取において、管制塔は格下げ以来人員確保の困難を経験しており、管制塔は「継続的な訓練施設に近いもの」となり、長期間勤務することを選ぶ施設ではなくなったと述べた。

1.7.10 空港の対応

2048頃、DCA ATCTはPAT25と5342便の空中衝突に関わるアラート3事案を航空機救難消火(ARFF)に通報した。MWAA消防救難隊はその後、統合指揮所が設置されたランウェイ33に移動式指揮所を展開した。


1.8 フライト・レコーダー

1.8.1 CRJ700

旅客機にはL3ハリス/フェアチャイルド製の固体CVRおよびFDRが搭載されており、それぞれデジタル・コックピット音声2時間分および最低25時間分の飛行データを記録するよう設計されていた。両レコーダーは無傷で回収され、各機器のメモリ・モジュールからデータが正常にダウンロードされた。

1.8.2 UH-60L

ヘリコプターにはグッドリッチ製の機体健全性・使用状況監視システム(IVHMS)が搭載されており、IVHMUレコーダーおよび健全性・使用状況監視システム(HUMS)が含まれていた。IVHMUには多目的コックピット音声・飛行データ・レコーダー(MPFR)が含まれており、MPFRがダウンロードされ、約13時間15分分のFDRデータと2時間分のデジタル音声が含まれていた。ヘリコプターの位置(緯度・経度)と時刻は記録されておらず、記録されるよう設計されてもいなかった。


1.9 残骸および衝突情報

1.9.1 概要

両機の残骸はポトマック川に沈んでいたが、場所と潮汐状態によって水深は1〜8フィート(約0.3〜2.4メートル)であった。ヘリコプターの残骸はランウェイ33の進入端の南東約3,730フィート(約1,137メートル)にあり、主要構造のほとんどが含まれていた。旅客機はランウェイ33の進入端の南東約2,345フィート(約715メートル)を中心として複数の破片に分解されていた。

図17:ポトマック川における主要残骸位置図

1.9.2 旅客機の検査

旅客機の構造のほとんどが広範な水面衝突損傷を受けており、全ての主要構造部品を含む90%以上の残骸が回収された。ヘリコプターのテール・ローター・ブレードの1枚の約2フィート(約61センチメートル)の部分が後部胴体右下面の切り込みに食い込んでいた(図18参照)。

図18:ヘリコプターのテール・ローター・ブレードが食い込んだ旅客機後部胴体の損傷部位

内側左翼は著しく破断していた。左翼中央前縁スラットの内側端には、約52インチ(約132センチメートル)の線状の切り込み跡が見られた(図19参照)。左翼と左主脚から採取されたサンプルはUH-60Lのメイン・ローター・ブレードの材料と一致した。

図19:旅客機の左翼中央前縁スラットに表れた切り込み跡
図20:旅客機の左翼内側前縁スラットの衝撃跡(広角)
図21:旅客機の左翼内側前縁スラットの衝撃跡(接写)

1.9.3 ヘリコプターの検査

ヘリコプターは転倒状態で、尾部移行部付近でテール構造が胴体から部分的に分離していた。4枚のメイン・ローター・ブレードはすべてハブ付近で折損していた。4枚のテール・ローター・ブレードのうち、ほぼ無傷で残ったのは1枚のみであった。

図22:ポトマック川に着水した状態のヘリコプター主要残骸

操縦士の気圧高度計のコルスマン窓は29.88〜29.89 inHgを示しており、高度計指針は約650フィート(約198メートル)付近で発見された(図24参照)。右(IP席)気圧高度計のコルスマン窓は29.87 inHgを示しており、高度計指針は約150フィート(約46メートル)付近で発見された(図25参照)。

図23:回収されたヘリコプターのテール・ローター(テール・ローター・ギアボックスに接続した状態)。4枚のテール・ローター・ブレードのうち、ほぼ無傷で残ったのは1枚のみ。

ヘリコプターのトランスポンダーの調査から、送信されるトランスポンダー・アドレスの決定に関わるRCUコネクタのピン24の配線がコネクタ・カップから外れていたことが判明した。

1.9.3.1 ヘリコプターの高度計

ヘリコプターの左右気圧高度計の調査から、水没と一致する腐食と泥砂汚染、および衝突損傷が認められた。損傷により両高度計の機能試験は不可能であったが、分解しても正常動作を妨げるような異常な損傷は発見されなかった。

図24:左席(操縦士)の気圧高度計
図25:右席(IP)の気圧高度計

1.11 試験および研究

1.11.1 暗視眼鏡

暗視眼鏡(NVG)は低照度の周囲光を増幅するイメージ増幅装置であり、極めて低照度の状態での行動を可能にする。事故ヘリコプターの搭乗員は、電池パックとともにヘルメットに取り付けられた航空用暗視眼鏡システム(ANVIS)AN/AVS-6 NVGを装着していた。

図26:AN/AVS-6ヘルメット装着型暗視眼鏡(NVG)を装着したパイロット。左の写真はNVGを上げた(非装着)状態、中央と右の写真はNVGを下げた(装着)状態。

陸軍訓練教材によるとANVIS AN/AVS-6 NVGチューブは40度の視野を提供する。グリーン蛍光体モデルはおよそ20/40の視力に相当するモノクロ・グリーン画像を提供し、ホワイト蛍光体モデルは改善された光増幅能力と解像度を持ち、20/25の視力を可能にした。

DCA地域での飛行においてNVGの使用は高まったリスクをもたらすと証言した陸軍の技量評価教官は、文化的照明が操縦士が他の航空機を見る能力に悪影響を与えうるためであり、「それら(航空機)は単なる点灯として見える。非常に見分けにくい」と述べた。


1.11.3 航空機性能の調査

1.11.3.1 高度の測定

各機の事故飛行中に記録された高度パラメーターを調査するための航空機性能調査が実施された。各高度の定義は以下のとおり。

真高度は航空機の平均海面からの垂直距離である。気圧高度は国際標準大気(ISA)モデルが航空機の測定気圧に割り当てる高度であり、海面での標準気圧を29.92 inHgとして使用し、高度が上がるにつれて気圧は低下する。**気圧計器高度(示度高度)**は、地域の気圧規正値で修正した値である。電波(レーダー)高度は電波(レーダー)高度計によって決定される地表からの航空機の高さである。

1.11.3.2 旅客機の高度パラメーター

旅客機のFDRは気圧高度と電波高度を記録しており、ADS-B Outデータは幾何学的高度と気圧高度を送信していた。真高度の3つの独立した推定は、一般的に互いに20フィート(約6メートル)以内の良好な一致を示した。

1.11.3.3 ヘリコプターの高度パラメーター

ヘリコプターのFDRは電波高度と「気圧高度」と標識されたパラメーターを記録していたが、後者は実際には地域気圧による補正を行っていない気圧高度(非補正値)であった。衝突はMSL278フィート(約85メートル)の高度で発生した。

航空機性能調査は、高度計誤差許容範囲とESSSに関連する対気速度への影響に基づき、ヘリコプターは搭乗員が認識していた高度より約50〜100フィート(約15〜30メートル)高い高度を飛行していた可能性が高いと判断した。これはIPがヘリコプターが200フィートにいると示した際に、実際にはMSL250〜300フィート(約76〜91メートル)の間を飛行していた可能性が高いことを意味する


1.11.6 ADS-B InコックピットTI表示およびACAS Xのシミュレーション

1.11.6.1 ADS-B InコックピットTI表示シミュレーション

事故シナリオにおいてADS-Bベース(DO-317B準拠)システムがどのように動作したかのNTSBシミュレーションから、5342便の乗員が受信したTCAS TAよりも前にPAT25に関する2件の警報を受けていたことが示された。

最初の音声・視覚警報は衝突59秒前に「トラフィック、12時方向、低高度、3マイル、降下中」と告知し、2回目の音声警報は衝突35秒前に「トラフィック、12時方向、低高度、2マイル」と告知したであろう。これら2件の警報は、乗員が衝突前に受けたTCAS TAの40秒前と16秒前にそれぞれ発生していたことになる。

ヘリコプターに搭載されたForeFlight CDTIディスプレイは、2047:11(衝突48秒前)に「トラフィック、12時方向、2マイル(約3.7キロメートル)、500フィート(約152メートル)上方」と告知する旅客機に関する視覚的・聴覚的警報を生成できた可能性がある。しかし、陸軍操縦士はワシントンD.C.のヘリコプター・ルートを低高度飛行中にタブレットを通常監視せず、操縦士のヘルメットにはタブレットが生成する聴覚的交通警報を受信する機能がなかった。

1.11.6.2 ACAS Xシミュレーション

マサチューセッツ工科大学リンカーン研究所(MIT-LL)は、様々なTCASおよびACAS Xの構成で乗員に提供されたであろう警報を描写するシミュレーションを実施した。

シミュレーションは、TCASをRA抑制高度をAGL300フィート(約91メートル)まで引き下げるよう改修した場合、NMACのリスクが65%超低下することを示した。ACAS XaをRA抑制高度を300フィートまで引き下げるよう改修した場合、リスクは現在の抑制高度を持つTCAS IIと比較して90%超低下した。ヘリコプターにACAS Xrが搭載された場合、TCAS/ACAS XaのRA抑制高度を変更しなくても、NMACのリスクは50%超低下した。

1.11.6.3 シミュレーション結果の概要

本事故において、5342便の乗員は衝突19秒前にヘリコプターに関するTAを受信した。TAは単に「トラフィック、トラフィック」の告知のみで構成されており、旅客機に対する交通脅威の位置に関する情報は含まれていなかった。これに対し、ADS-Bベースのシステムはより早期に、脅威の位置と移動方向を含むより有益な警報を提供していたであろう。


1.16 事故後の安全措置

1.16.1 FAA

2025年4月、FAAはヘリコプター・ルートが図示された国内空港のATOの安全分析を総括したNASヘリコプター運航ヘリコプター・ルート分析を公表したが、この分析にはDCAが含まれていなかった。FAA ATOの最高執行責任者からの2026年1月18日付の調査覚書は、2025年11月に完了した全国のヘリコプター・チャートの内部監査および2026年10月29日までに全ての必要な更新を完了する目標を持つヘリコプター・チャート更新の国家優先順位付けの策定を含むFAAの事故後の安全措置を総括した。

1.16.2 米陸軍

事故後、米陸軍戦闘準備センターはニア・ミス報告に運用上の危険報告(OHR)を添付できるよう陸軍安全管理情報システム(ASMIS)データベースに機能を追加した。

2025年4月25日、米陸軍航空ミサイル司令部は、ADS-B Out機能(搭載している場合)の確認と割り当てられた航空機アドレスの検証を含むトランスポンダーの機能確認を要求する固定翼機・回転翼機の両方に対する航空安全行動通報を発行した。

1.16.3 PSAエアラインズ

事故後、PSAエアラインズはDCAのヘリコプター一時飛行制限に関する追加指針と、DCA近傍のヘリコプター・ルートへの認識を提供するためのフライト・オプス・アラート25-01を発行した。

1.16.4 シコルスキー・エアクラフト

2025年11月12日、シコルスキーはESSSを装着して運航する際に表示高度に差が生じる可能性について全UH-60A/L運航者に通知する全運航者向け書簡を発行した。書簡は対気速度およびESSS装着・非装着の両状態に基づいて表示高度に適用する必要がある修正量を示す高度修正図を示した。


2. 分析

2.1 概要

事故は、ヘリコプター・ルート4を南下していたPAT25が、DCAのランウェイ33への最終進入に旋回したばかりの5342便に衝突したことにより発生した。

本分析は事故の経緯を論じ、次の安全上の問題を評価する。操縦士主導のビジュアル・セパレーションの多用と目視回避の限界、管制官の業務負担・席統合・通信、ヘリコプター・ルート設計、交通状況認識システムの限界、ならびにFAAおよび陸軍の安全保証・リスク管理の欠陥。

NTSBの事故状況の包括的な審査により、次の要因が事故原因に寄与していないと判断した。両機の乗員資格と医学的要因、乗員の疲労、旅客機・ヘリコプターの機械的要因、管制官の資格、管制官の医学的要因と疲労、気象状態、および空港の対応。

2.2 事故の経緯

2.2.1 管制官のパフォーマンス

2.2.1.1 業務負担と資源管理

事故当夜、LC席とHC席が統合されていたため、LC管制官は到着・出発の固定翼機へのサービス提供に加えて、空域を移行する多数のヘリコプターへのサービス提供という追加の責任を負っていた。事故前20分間、LC管制官が担当する航空機の総数は7〜12機の間で変動していた。

人的要因の研究によれば、ATC業務において音声通信は管制官の注意を当該航空機に向けさせる効果が高いことが知られている。PAT25の5342便とのビジュアル・セパレーション維持の要求を最初に承認した後、LC管制官は出発待機中の旅客機に注意を向け、ランウェイ33に旋回中の交通を通知して滑走路上で整列待機するよう指示した。

状況把握とは、「ある時間・空間における環境要素の認知(レベル1)、その意味の理解(レベル2)、および近い将来における状況の予測(レベル3)」と定義される。

NTSBは、事故当夜にLC席とHC席を継続的に統合させておいたことがLC管制官の業務負担を増大させ、そのパフォーマンスと状況把握に悪影響を与えたと結論付ける。NTSBはさらに、交通量と複雑性を考慮すれば事故発生時にLC席とHC席は分離されるべきであったと結論付ける。

2.3 DCA航空交通管制塔施設

2.3.2 ビジュアル・セパレーション

典型的な運航慣行と正式な運航要件の間の乖離の受容は、「逸脱の常態化(normalization of deviance)」と表現されてきた。本件では、管制官がビジュアル・セパレーションを承認する前にヘリコプター搭乗員が相手機を実際に目視しているとは限らず、管制官がヘリコプター搭乗員の状況認識を過大評価する危険があった。

NTSBは、ワシントンD.C.地域でヘリコプターと固定翼機の交通を分離する主要な手段として操縦士主導のビジュアル・セパレーション(目視回避)に依存するという長年の慣行が、管制官とヘリコプター搭乗員の間の運航慣行の逸脱を招き、空中衝突の可能性を高めたと結論付ける。

実際の試験飛行を伴う研究は、警報なしで接近機を目視で発見できるのは両機が互いに1〜2マイル以内に接近した後がほとんどであり、接近速度120ノットでは昼間における接近機の探知確率は衝突12秒前まで85%に達しないことを示している。

2.3.3 無線周波数管理

HC席とLC席が統合されていた場合、別々の周波数の使用はヘリコプターからの送信が旅客機には聴取できず、旅客機からの送信がヘリコプターには聴取できないことを意味した。事故乗員が互いの管制官への送信を聴取できていれば、PAT25は5342便のランウェイ33への旋回進入の承諾を聴取し、5342便はPAT25のメモリアル橋での位置報告を聴取していたであろう。

NTSBは、ローカル席とヘリコプター管制席が統合されている場合にDCA ATCTが専用ヘリコプター周波数を維持する手順が当該地域で運航する操縦士の総合的な状況把握を低下させたと結論付ける。

2.3.4 コンフリクト・アラート・システム

現行システムはCAの発出原因に関わらずすべてのCAを同一の方法で表示するため、管制官がそのCAが即座の対応を要するかどうかを自ら判断しなければならず、認知的な負担を増大させている。

NTSBは、潜在的な競合の知覚される深刻度に関する追加的な顕著な手がかりを管制官に提供することが管制官の認知負荷を低減し、最も重要なコンフリクト・アラートへの反応時間を改善する可能性があると結論付ける。

2.3.5 事故後の薬物・アルコール検査

LC管制官、ALC管制官およびOSは事故後それぞれ約18時間、20時間および18時間後にDOT職場事故後薬物検査を受けたが、アルコール検査は受けなかった。

NTSBは、管制官が事故発生時にアルコールまたは禁止薬物の影響下にあったという証拠はないと結論付けるが、証拠は事故後のアルコール検査の欠如によって著しく制限された。NTSBは、FAAのATOによる薬物・アルコール検査の判断はDOTの適時性要件を満たさなかったと結論付ける。

2.4 ヘリコプター・ルートの設計および情報

本事故の予備的な調査所見から、推奨最大高度200フィートで飛行した場合、ヘリコプター・ルート4のポトマック川東岸上空を運航するヘリコプターはランウェイ33に進入する旅客機から約75フィート(約23メートル)の垂直間隔しか持たないことが明らかになった。

NTSBは2018年1月から2025年2月までのルート1またはルート4を運航する固定翼機とヘリコプターの接近に関してFAAが提供したPDARSデータを調査した。この期間に、間隔が1,000フィート(約305メートル)以下の接近が4,067件(月平均65.6件)、間隔が500フィート(約152メートル)以下の接近が348件(月平均5.6件)あった。

NTSBは、ワシントンD.C.地域のヘリコプター・ルートに関してFAAが公表した情報は、ヘリコプターと固定翼機の運航者にヘリコプター・ルート構造と固定翼機交通からの手続上の分離の欠如について完全な理解を提供するには不十分であったと結論付ける。また、現行の航空図は進入・出発回廊と競合または近接する可能性のあるVFRヘリコプター・ルートに関する情報を提供しておらず、これが操縦士の状況把握を低下させると結論付ける。

2.5 ADS-Bと衝突回避技術

ヘリコプターはADS-B Outを送信していなかったが、そのトランスポンダーがモードSへの問い合わせに応答していたためDCAのローカル管制官にはその位置と速度が利用可能であった。NTSBは、事故ヘリコプターからのADS-B Outの欠如は本事故に寄与しなかったと結論付ける。ヘリコプターはレーダーで追跡されており、旅客機がADS-B Inを搭載していなかったため、ADS-B OutはDCA管制官または5342便の乗員への交通警報を改善しなかったであろう。

NTSBは、旅客機のTCASは設計どおりに動作したが、現行の起動基準とRAの抑制高度のため衝突防止には効果がなかったと結論付ける。NTSBはさらに、交通の位置に関する追加情報を含むTAの音声警報が操縦士が目標機を目視捕捉するために必要な時間を短縮できると結論付ける。


3. 結論

3.1 認定した事実(主要な選抜)

以下は74件の認定事実のうち特に重要な項目の抜粋である。

ヘリコプターと固定翼機の交通を分離する主要な手段として操縦士主導のビジュアル・セパレーションに依存するという長年の慣行が、管制官とヘリコプター搭乗員の間の運航慣行の逸脱をもたらし空中衝突の可能性を高めた。混合交通を分離する主要な手段として操縦士主導のビジュアル・セパレーション(目視回避)に依存することはDCAクラスB空域に容認できないリスクをもたらした。

事故ヘリコプターからのADS-B Outの欠如は本事故に寄与しなかった。ヘリコプターはレーダーで追跡されており、旅客機がADS-B Inを搭載していなかったため、ADS-B OutはDCA管制官または5342便の乗員への交通警報を改善しなかったであろう。

旅客機のTCASは設計どおりに動作したが、現行の起動基準とRAの抑制高度のため衝突防止には効果がなかった。

陸軍はヘリコプターのフライト安全データ監視プログラムを持っておらず、その結果、DCA進入管制区域での恒常的な高度超過と関連するリスクを認識していなかった。

3.3 推定原因

NTSBは本事故の推定原因を次のとおり認定する。FAAが滑走路進入経路近傍にヘリコプター・ルートを設定したこと、ヘリコプター・ルートおよび入手可能なデータを定期的に見直し・評価することを怠り、DCA近傍における空中衝突リスクを軽減する勧告への対処を怠ったこと、ならびに目視回避概念の限界を考慮することなく効率的な交通流を推進するために航空交通システムがビジュアル・セパレーションに過度に依存したことである。

また、ヘリコプター搭乗員による効果的なパイロット主導のビジュアル・セパレーションの欠如が空中衝突を招いたことも原因として認定した。さらに、ヘリコプター管制席とローカル・コントロール席の統合による高い業務負担、およびリアルタイムの運航上のリスク要因を識別・軽減するリスク評価プロセスの欠如による管制塔チームの状況把握の喪失とパフォーマンスの低下もまた原因であり、これが業務優先順位の誤り、不十分な交通情報の発出、および両乗員への安全アラートの欠如をもたらした。

また、陸軍がヘリコプターの気圧高度計における誤差許容範囲の影響について操縦士が認識していることを確保することを怠り、搭乗員が公表されたヘリコプター・ルートの最大高度を超えて飛行した結果となったことも原因として認定した。

寄与要因には以下が含まれる。


4. 勧告

4.1 新規勧告(主要項目)

FAA向け

米陸軍向け

DOW PBFA向け

RTCA向け

                               

出典:アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB) 2026年01月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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2件のコメント

  1. 管理人 より:

    十分に注意しながら翻訳作業を行ったつもりですが、なにしろ長文ですので、行き届かないところも多々あると思います。
    お気づきの点がありましたら、お知らせください。
    また、正確な情報の把握には、原文を参照してください。

  2. 管理人 より:

    事故が発生したときには大々的に報道されますが、その原因が明らかになっても、それほどには注目されないものです。
    この調査報告書も2月17日に公表されていましたが、つい先日まで私も気づいていませんでした。(これは重大なミスでした。)

    この報告書には重要な教訓が含まれていると思います。
    私が理解したこの事故の原因は、「多くの人が立体交差点だと思っていた場所が、実は普通の交差点だった」ということだと思います。
    そういう場所が日本にはないことは、すでに確認されていると信じていますが...、本当にそうでしょうか?