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陸軍航空の情報センター

GAOがFLRAAの機種選定に関する報告書を公表

アシュリー・ロック

GAO(Government Accountability Office,  政府責任説明局)によると、アメリカ陸軍は「シコルスキーの提案は、住宅の外観を示しただけで、部屋割りのような機能的詳細を示して欲しいという我々の要求を満たしていない」と説明したという。

GAOは、FLRAAに関し、アメリカ陸軍がベル社のV-280バローを選択したことを支持する理由を示す報告書を公表した。写真:Bell

2023年4月14 日午後12時26分 (アメリカ東部時間)訂正: プロジェクトの総費用を機体あたりの費用としていた誤りを修正

ワシントンFLRAA(Future Long-Range Assault Aircraft, 将来型長距離強襲機)の機種選定について、費用はシコルスキー・ボーイングの提案の方がベル・テキストロンよりも36億ドル安いが、陸軍はそれ以外の重要な項目のいくつかを「✕」印(unacceptable, 許容外)と判定していたことが明らかになった。

GAOは、木曜日、数千機のUH-60ブラック・ホークの後継機にベル社のV-280バロー・ティルトローターを選定した陸軍の決定を最終的に支持することにした理由について、38ページにおよぶ報告書を公表した。この計画が生産に移行すれば、その契約総額は700億ドルに達する可能性がある。GAOの報告書は、ベル社がどの項目で優れていると判断されたのかを明らかにしている。

報告書に添付された表には、陸軍の決定を導き出した4つの包括的な評価項目が示されている。その中には、ベル社が80億ドルを想定する費用をシコルスキー・ボーイングのデファイアントは44億ドルに抑えていることも含まれている。しかし、このレベルの費用削減をもってしても、シコルスキーとボーイングの提案が持つ他の欠陥を補うには不十分だったのである。

陸軍は、GAOへの説明に際し、この提案を住宅の設計図に例えたという。

GAOの報告書によると、「シコルスキーの提案は、住宅の外観を描いた図のようなもので、家の大きさと形しか示していなかった。...そこには、陸軍が要求していた、住宅内部の部屋割りがどうなっているか(すなわち、システムの機能がそれぞれの領域にどのように割り当てられるのか-例えば、食品庫や調理台がキッチン内にどのように配置できるのか)というような機能的な詳細がなかった」のである。

報告書はさらに、それぞれの陣営について、主要項目とそれに関連する副次的項目ごとの評価を明らかにした。シコルスキー・ボーイングの設計開発の項目は、「✕印(unacceptable, 許容外)」と評価されている。

2023年4月13日のGAO報告に添付された表には、提案企業の評価が項目ごとに示されている。出典:GAO

GAOによれば、「RFP(request for proposals, 提案要求書)には、『設計開発』と『製品サポートの項目』は同等の重要性を有し、いずれも『費用/価格』の項目よりも重要であり、『費用/価格』の項目は『小規模事業のサポート』の項目よりも重視されると記載されていた」。

加えて、「全体を通じて、『費用/価格』以外の項目を総合した結果は、『費用/価格』の項目よりも著しく重要であり、機種選定されるためには、『費用/価格』以外の項目のそれぞれについて『△(許容内)』以上の評価を受けなければならないと規定していた」。

結果的に、陸軍は、ベル社の提案した「兵器システムとしての性能および設計」、「基本概念設計」、および「製品サポート」の各項目について、シコルスキー・ボーイング社の設計開発よりも「勝っている」と判断したのである。

この報告を受領したシコルスキー社の広報担当者は、慎重に文書を検討し「次のステップを決定します」と述べた。さらに、「シコルスキー・ボーイング・チームは、FLRAAに関して、最も高性能で、最も手頃な価格で、最もリスクの低いソリューションを提出したものと確信しています」と付け加えた。

                               

出典:Breaking Defense, Breaking Media, Inc. 2023年04月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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