フォーラム:機内での電子機器の使用
論説、意見、アイデアおよび情報
ここに表明された見解は専門的な議論を喚起するためのものであり、アメリカ陸軍またはアメリカ陸軍コンバット・レディネス・センターの方針を示すものではない。
リスク・マネジメントのデジタルマガジンに最近寄稿された記事は、航空科部隊に2つの問題が潜在していることを指摘するものでした。その問題とは、「コックピット内で個人用電子機器を使用すること」と「電子フライト・バッグを操作するために飛行中に手袋を外すこと」です。その記事は、あるアパッチでフルサイズの個人用iPadがダッシュボードから落下してコレクティブ・レバーの先端に当たり、林の中に降下してクラスCの損傷が生じた事案を紹介するものでした。
航空機内の電子フライト・バッグ(EFB)と個人用電子機器(PED)
コックピットで使用される電子機器は、耐空性情報(AWR)に示されたものでなければなりません。
上記の警告は H-60M の操縦マニュアルに掲載されているものですが、同様の文言は他のすべての回転翼航空機の操縦マニュアルにも記載されています。電子フライト・バッグの使用が許可された陸軍機には、その運用条件や制限を規定する対空性情報が存在します。そこには、特定のタブレット製品と必要なアプリケーション・ソフトウェアが指定されています。また、耐空性情報の制限や制約内での運用においても、赤丸Xの状態記号(訳者注:飛行可能であるが、機能が一部損なわれている状態を意味する)を航空機飛行整備記録に記入することが必要です。
連邦通信委員会(FCC)は、飛行中の携帯電話の使用を禁止しています。
米国連邦規則集第47編からの抜粋:第22.925 機上での携帯電話使用の禁止
航空機、気球、またはその他の種類の航空機に設置または携帯された携帯電話は、航空機が空中(地面に接触していない状態)にある間に操作してはならない。航空機が地面を離れる際には、その航空機に搭載されているすべての携帯電話の電源を切らなければならない。以下の通知を、航空機に設置されているすべての携帯電話またはその近くに掲示しなければならない。
「連邦通信委員会規則により、この航空機が空中にある間の携帯電話の使用は禁止されており、この規則に違反した場合、サービスの停止および/または罰金が科される可能性があります。この航空機が地上にある間の携帯電話の使用は、FAA(連邦航空局)による規制を受けます。 」
これらの規則は、電子フライト・バッグおよび個人用携帯電話にも適用されます。携帯電話の送信は、機内モードなどの手段で抑制しなければなりません。
加えて考慮すべき事項
電子フライト・バッグや個人用電子機器を携帯して飛行する際に、加えて考慮すべきなのは、バッテリー火災です。H-60M操縦マニュアルには、どの陸軍機にも適用されている以下のような警告が示されています。
手袋なしで飛行しないこと
陸軍規則95-1(第5-7章)は、航空部隊指揮官に対し、電子フライト・バッグを使用する場合、標準化、デバイスの内容、説明責任、適切な搭乗員の訓練、および航空機内での冗長性を確保する電子フライト・バッグ・プログラムの確立を要求しています。機長は、搭乗員が電子フライト・バッグの方針と手順を遵守していることを確認する責任があります。同規則は、第8-8章で飛行中の手袋着用を義務付けています。
指揮官は、電子フライト・バッグの使用に適応した手袋を乗組員に支給するか、スタイラス(タッチ・ペン)の使用を義務付けるべきです。機長は、指揮官が設定した基準を徹底しなければなりません。パイロットにヘルメットやブーツを着用せずに飛行させることがありますか? 機長は、航空搭乗員や同乗者が飛行中の携帯電話使用に関する制限事項や、リチウムイオン電池火災が発生した場合の対処方法を理解していることを確認すべきです。また、起こさずに済む事故を起こさないため、飛行前点検、地上取り扱いおよび整備作業中の携帯電話の使用禁止についても検討すべきでしょう。
出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2024年11月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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