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陸軍航空の情報センター

在日アメリカ空軍のオスプレイは飛行停止を継続

コンスタンチン・トロピンおよびトーマス・ノヴェリー

2024年3月21日、カリフォルニア州ペンドルトンの海兵隊ベースキャンプで訓練中に第15海兵機動展開隊第165海兵中型ティルトローター飛行隊(増強)のMV-22Bオスプレイから降機する第15海兵機動展開隊第1/5大隊上陸戦闘団B中隊の海兵隊員(アメリカ海兵隊ルイス・アゴスティーニ伍長撮影)

日本南部の海岸沖での墜落死亡事故から数ヶ月間続いた飛行停止が解除されたことを受け、在日アメリカ海兵隊はオスプレイの飛行を再開した。しかし、在日アメリカ空軍は、依然として飛行していない。

3月26日、空軍特殊作戦軍報道官のレベッカ・ヘイセ氏はMilitary.comに対し、空軍にはまだオスプレイの飛行を再開した部隊がないと語った。

これとは対照的に、沖縄に本拠を置く海兵隊の第1海兵航空団は、飛行停止の解除から1週間も経たない3月14日に飛行再開を発表した。

海軍航空システム・コマンドおよびV-22統合事業事務局は、海兵隊、海軍および空軍が運用するこの航空機について、搭乗員8名が死亡した11月29日の屋久島沖での空軍オスプレイ墜落事故の調査でこれまで発生したことがなく、まだ完全に原因が判明していない機械的故障が発見されたと発表した。

アメリカ海軍は、日本にオスプレイを常駐させていない。海軍の報道官は3月26日、カリフォルニア州サンディエゴに拠点を置くCMV-22Bが飛行再開のプロセスを開始したとMilitary.comに語った。

この機体の飛行再開を許可した当局者は、データ分析の結果、オスプレイは安全であると判断されたと述べたが、機体の故障した部位および飛行停止解除の条件である運航手順変更の内容については公表されなかった。

3月初旬、V-22プログラム・マネージャーのブライアン・テイラー海兵隊大佐は記者会見で、「私たちは、どの部品が故障したのか、どのように故障したのかを把握していることに強い自信を持っています」と語った。

そのうえで、「我々がまだ取り組んでいるのは、『なぜ』なのかということです」、「この特定のコンポーネントがこのような形で故障することは、これまで確認されたことがありませんでした」と述べた。

アメリカ空軍のこの慎重なアプローチは、2022年にこの航空機に関するもう一つの未解決の問題が公表された際のことを思い起こさせる。

2022年8月、アメリカ空軍で複数件のハード・クラッチ・エンゲージメントが発生すると、それに懸念を抱いた空軍指揮官たちの判断によりオスプレイの飛行が一時的に停止された。

しかし、その翌日、アメリカ海兵隊はオスプレイの飛行を継続したのみならず、海兵隊のパイロットはこの何年も前から認識されていた問題に対処できるとしたのである。

ハード・クラッチ・エンゲージメントは、エンジン故障時に一方のエンジンのみでの飛行を可能にするクラッチ・アセンブリという複雑なシステムに生じる問題である。そのクラッチの故障は、少なくとも15件の事故において発生していた。

Military.comは、2017年に空軍のオスプレイで、この問題により死亡事故につながりかねなかった事故が1件発生していたと報じた。

海兵隊はクラッチの問題をコントロールできているとしていたが、2022年6月にオスプレイ1機がカリフォルニアの砂漠で墜落し、5名の海兵隊員が死亡してしまった。

この事故の調査が終了した後、テイラー大佐は、その後のクラッチに関わる事故データの分析に基づき、その重要な部品(インプット・クイル・アセンブリ)の交換頻度の増加で99%の効果があるとの結論に至ったと説明した。ただし、これに対しては、ある海兵隊パイロットの未亡人が疑問を呈している。

これに対し、海兵隊はこの航空機に絶大な信頼を置いていることを改めて表明している。

第1海兵航空団は、その声明で「海軍航空システム・コマンドによる飛行の許可、実証済みの運航上の安全管理の確行、この素晴らしい航空機、そしてパイロット、搭乗員、整備員に対する我々の信頼が、オスプレイの運用を再開するという我々の決定を裏付けている」と発表した。

海兵隊は、オスプレイに大きく依存している。空軍の約50機に対し、海兵隊は350機近いオスプレイを保有しているからである。

カーステン・ヘックル中将は2月に海兵隊は飛行停止によって「劇的な影響」を被ったと述べ、第1海兵航空団司令官のエリック・オースティン少将はオスプレイが部隊にとっての「成功の鍵」であると語った。

オースティン少将は3月の声明で、オスプレイは「戦闘の実施、緊急時の対応、そして同盟国と連携した自由で開かれたインド太平洋の維持において中心的な役割を果たしています」と述べた。

ジャパン・タイムズの報道によると、先週には日本の陸上自衛隊もオスプレイの飛行を再開している。

                               

出典:Military.com 2024年03月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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4件のコメント

  1. 匿名 より:

    2022年のカリフォルニア砂漠での墜落事件の原因調査の報告書がより科学的根拠であると言えるのではないでしょうか。
    戦闘の訓練であろうとも、その機体の機能性能率性のために、生きている人の命を蔑ろにした運用は、決して許されないはずです。

    しかも、人の命を守るためではなく、敵と見なした敵地の人々の命を奪う攻撃の一翼を担うオスプレイ。
    その運用は、生きるすべての存在を否定する発想だと考えます。
    誰の命もかけがえのない、たった一度きりの命(人生、未来)を守ることを尊重してください。

    • 管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      これからも「攻撃の一翼を担うオスプレイ」の情報を発信してまいります。
      よろしくお願いいたします。

  2. 自由人@aero より:

    元装備品開発者です。有意義な情報源として拝見させていただいています。
    個人的にはオスプレイが欠陥機だとは思っていませんが、海兵隊の不可解な行動には疑問しかありません。前回も今回も、数が多いから多少の問題は目をつぶるのか?と言う見方しかできません。問題の把握が事実ならなぜ公表できないのか?どう考えてもクラッチ問題以外に何かあるとも思えない。空軍や米議会関係者でも今だ調査中と言うのに、自衛隊が再開するのもロジカルに見えない。しかし、もやもやしたまま事を見守るしかないのでしょうね。