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陸軍航空の情報センター

日本における攻撃ヘリコプターの動向

グレッグ・ウォルドロン

日本が検討中の50機以上の攻撃ヘリコプターの取得について、今後、どのような要求仕様が示されるのかが注目されている。

2018年5月に防衛省が発出した情報提供依頼書に対しては、ベル社、ボーイング社、レオナルド・ヘリコプター社、エアバス・ヘリコプター社および三菱重工業がそれぞれの回答を提出した。

陸上自衛隊のAH-1Sなどの後継機の調達を目的とするこの事業は、従前はAH-Xと呼ばれていたが、今回の依頼書においては、NAH(New Attack Helicopter, 新戦闘ヘリコプター)と呼ばれている。

この依頼書に対する回答が多様に渡っていることからも分かるように、その内容は、かなり幅広なものとなっている。その回答には、攻撃専用のヘリコプターだけではなく、三菱重工からの提案のように、既存の機体を武装プラットフォームとして活用するものも含まれていたのである。

今回の依頼書では、戦場における他の装備品とのコミュニケーション能力に加えて、海上運用が重視されていた。また、日本の主要な同盟国であるアメリカが運用しているプラットフォームとの相互運用性が重視されていたとも言われている。

情報収集後の予定については明らかではないが、日本が確かな情報を収集したいと考えているのは確かなようである。また、過去の事例から考えると、現地生産が主要な考慮事項に加えられる可能性もある。

当サイトの「Flight Fleets Analyzer」によれば、日本の陸上自衛隊は、71機(ベルが製造した機体が2機、SUBARU(旧富士重工業)が製造した機体が69機)のAH-1S攻撃ヘリコプターを運用しており、その平均運用期間は、30年以上に及んでいる。また、これ以外に12機のAH-64D戦闘ヘリコプターと36機の川崎OH-1偵察ヘリコプターを運用している。

ベル社は、AH-1Z攻撃ヘリコプターを提案している。アメリカ海兵隊のパイロットであったジョージ・トラウトマン元中将は、ベル社は、海上運用を考慮して設計された唯一の機体を提案していると述べた。また、他のヘリコプターでは、一時的には艦船での運用も可能かもしれないが、長期間の運用は困難であり、艦船上の他のシステムと電磁干渉を引き起こす可能性もあると述べた。

ボーイング社は、AH-64Eアパッチの継続使用を提案している。ボーイング・ディフェンス・スペース・アンド・セキュリティの国外セールス担当副社長であるトミー・ダネフは、AH-64Eは、他のプラットフォームとのネットワークが構築できることを強調した。また、海上運用に特化したヘリコプターではないものの、AH-64Dに比し、この分野に関しても改善が進んでいるとも述べた。

これに対し、レオナルド社は、AW249の発展型を提案している。同社は、この取引のために、日本における機体改修も可能な、完全な生産型機の提供を用意しているという。

エアバス・ヘリコプター社は、新型のHフォース武装システムを装備したH145Mを提案している。

三菱重工は、既存のUH-60ブラックホークを改修し、武装搭載能力を追加することを提案している。幅広い役割を担えるこの機体の能力は、攻撃ヘリコプターの運用に大きな柔軟性をもたらすという。

日本は、数か月以内に要求仕様を示すものと考えられるが、今回の依頼内容が広範に渡っていたことを考慮すると、再度、情報提供依頼書を発出することも考えられる。

                               

出典:FlightGlobal 2018年11月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    およそ2年前の記事です。その後は情報が途絶えてしまっていますが、はたして今後はどうなるのでしょうか?