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陸軍航空の情報センター

V-22オスプレイが飛行を再開

訓練要領を変更するのみで機体の改修は行われない

ミーガン・エクスタイン
コートニー・マベウス=ブラウン
レイチェル・S・コーエン著

2023年12月6日、カリフォルニア州上空で第920救難航空団のHC-130Jコンバット・キングIIから空中給油を受ける、ディスタント・フューリー・スタリオン23に参加中のMV-22Bオスプレイ(第164海兵隊中型ティルトローター飛行隊所属)(ダリウス・ソストル・ミロワール2等軍曹/アメリカ空軍)

アメリカ軍の400機以上のV-22オスプレイが、昨年11月に日本近海で死亡事故が発生して全面飛行停止になって以来、3ヶ月間ぶりに飛行を再開する。

3月6日、海兵隊、空軍、海軍の各軍が記者会見を開き、訓練内容および整備項目の変更を行ったうえで、通常運用への回復を速やかに開始することを発表した。

ただし、このティルトローター機を実任務で完全に運用できるようになるまでには、さらに数ヶ月を要すると見込まれる。

飛行再開にあたって、機体の改修は実施されない。

V-22統合プログラム・マネージャーであるブライアン・テイラー海兵隊大佐は記者団に対し、統合プログラム・オフィスおよび各軍は「故障の発生部位と発生状況を把握できたと確信している」と語った。ただし、故障の発生原因は現時点では不明である。

テイラー大佐などの軍関係者は、空軍特殊作戦コマンドのオスプレイが11月29日の訓練任務中に海に墜落し、搭乗していた8人全員が死亡した事故に関し、その原因となった故障の発生部位については明らかにしなかった。また、故障発生のリスクを回避するため特定の条件または特定の地域における運用を制限するかどうかについても回答を避けた

この事故の調査は、今後も継続される。アメリカ空軍は、墜落の要因となった不具合をより詳細に調査するため、空軍、海軍および海兵隊のV-22の調達および整備を所轄する統合プログラム・オフィスなどの機関との間で調査結果を共有してきた。

テイラー大佐によれば、オスプレイの残骸は回収されるまでの約1カ月の間、太平洋に沈んでいたため、動力伝達系統に腐食が発生しており、当該構成品の故障原因は特定できない可能性がある。このため、各軍の対策計画には、事故調査官たちが作成した「フォールト・ツリー」と呼ばれる故障要因図が示されている。

主要な対策は、自動車のオイル交換の回数を増やすように、すでに行われている点検の頻度を増加させることである、とテイラー大佐は語った。また、この対策は当該構成品の飛行間における「安全領域」をさらに広げることになるとも述べた。

テイラー大佐は当該構成品が何であるかという情報の提供を何度も拒否したが、オスプレイのエンジンをプロップ・ローター・ギア・ボックスに接続するインプット・クイル・アセンブリではないと述べた。この構成品は、摩耗が急速に進み、2022年に海兵隊および空軍においてクラッチの故障を複数回発生させていた。2023年には空軍および海兵隊が一部の機体の飛行を停止し、クラッチに発生する「ハード・クラッチ・エンゲージメント」と呼ばれる事象によるリスクを軽減するための処置および原因となった部品の交換間隔を検討した経緯がある。

NBC(ナショナル・ブロードキャスティング・カンパニー)は2月19日、11月の墜落事故の原因に、小さな金属片が運用中に剥がれ落ちてエンジンに損傷を与える「チッピング(金属片の発生)」が関係していた可能性があると報じた。テイラー大佐は、チッピングが墜落に及ぼした影響については明らかにしなかったが、それを機械システムに一般的な現象であるとし、V-22には小さな金属片を探知し、それが検出された場合にパイロットに警告する高度な監視システムが搭載されていると述べた。そのうえで、11月の墜落事故はそれまでのV-22の事故とは無関係であると明言した。

これまでに75万時間の飛行時間を記録しているV-22プログラムにとって、「当該構成品にこの種の故障が発生したことを確認したのは初めてであり、前例のないことです」とテイラー大佐は述べた。この実績を踏まえたうえで、「私たちはこのシステムに自信を持っています」。

「ガンダム22」墜落事故

11月29日の事故は、空軍にとって2018年以降で最も死傷者の多い事故であり、オスプレイにとって2年間で4件目の死亡事故であった。2022年3月以来、オスプレイの事故で死亡したアメリカ軍兵士は20名にのぼる。

墜落した「ガンダム22」には、オスプレイ・パイロットのジェフ・ホルネマン少佐、ルーク・アンラス少佐およびテリー・ブレイマン大尉、医療隊員のエリック・スペンドラブ少佐およびザック・ラヴォイ2等軍曹、機上整備員のジェイク・ターネージ3等軍曹およびコディ・ジョンソン伍長、ならびに航空通訳官のジェイク・ガリハー3等軍曹(いずれも空軍)が搭乗していた。

搭乗員のうち6名は日本の横田空軍基地、2名は嘉手納基地で勤務していた。搭乗員全員が空軍第353特殊作戦航空団に所属していた。日米による数週間にわたる捜索活動により、スペンドラブ少佐を除く搭乗員の遺体が回収されている。

アメリカ軍は現在、数百機のV-22を保有しているが、その大半は海兵隊に所属している。ティルトローター機の大きな特徴は角度を変えられるナセルである。これによって、ヘリコプターのように離着陸することも、固定翼機のように高速で飛行することもできるのである。このことは、この機体を舗装された滑走路がなく、固定翼機が着陸できない場所に兵員や物資を投入するために用いることを可能にしている。

アメリカ海兵隊は約350機のオスプレイを保有している。アメリカ空軍および海軍は、それよりも少なく、それぞれ約50機および約30機を保有している。

アメリカ空軍特殊作戦コマンドは、今回の墜落事故の発生に伴い、安全・事故調査委員会による調査以外にも、CV-22オスプレイ計画を徹底的に調査し、空軍隊員の安全を確保するために必要な訓練や装備などに問題がなかったかどうかを判断しようとしている。

政府責任説明局および下院監視・説明責任委員会も、V-22に関する独自の調査を開始している。3月6日、下院監視委員会の委員長を務めるケンタッキー州共和党のジェームズ・カマー下院議員は、軍からはオスプレイの安全性や性能に関する情報をまだ受領できていないと述べた。

カマー議員は声明で「墜落を防ぐための説明責任の履行、国民への透明性の確保、整備および運用維持に関する優先順位の決定、国防総省によるリスク評価の方法などに、深刻な懸念があります」と述べた。「我々はアメリカ国民に代わってこれらの疑問に対する答えを導き出し、アメリカ軍人の生命を守るため、国防総省のオスプレイ計画に対し厳格な調査を続けます」

海兵隊の準備状況

数ヶ月間にわたる飛行停止の影響を最も強く受けているのは、最大のオスプレイ・ユーザーであるアメリカ海兵隊である。艦船の甲板や地上基地を拠点に運用され、人員、物資、武器の輸送を担うオスプレイは、海兵隊にとって欠かせない存在となっている。

航空担当副司令官のリチャード・ジョイス海兵隊准将は記者団に対し、12月初旬に飛行停止が始まって以来、海兵隊はできるだけ早期に飛行を再開できるよう、部隊のオスプレイに関する練度の維持に努力してきたと語った。「練度を可能な限り維持するために、シミュレーターを最大限に活用してきました」

アメリカ海兵隊は、ジブチのMV-22パイロットを数千マイル離れた日本にあるシミュレーターで訓練するために派遣したり、中東に派遣された第26海兵起動展開隊のMV-22パイロットをシミュレーター訓練のために本国のノースカロライナまで輸送したりしてきたのである。

統合プログラム・オフィスがオスプレイの飛行を許可したことを受け、アメリカ海兵隊は、最も経験豊富なパイロットおよび搭乗員により飛行再開に必要な整備確認飛行を実施し、その後「中堅および初級搭乗員」の再訓練を開始する予定である、とジョイス准将は語った。これらの要員が基本的な技能を回復できたならば、後輩のパイロットや搭乗員と一緒に基本訓練を続けることなる。

ジョイス准将によれば、飛行隊全員の基本技量を回復するためには約1ヶ月が必要と見積もられるという。より高度な技量を回復し、戦闘強襲、戦闘空輸などの任務遂行に特有の操作を再訓練するためには、さらに時間がかかるであろう。飛行停止前のレディネス・レベルに回復できるのは春の終わりか初夏になるようである。

V-22飛行隊が追加の点検整備を行うためには、フィルターなどの消耗部品の交換が必要となる。これらの部品の交付および訓練の支援は、まず派遣中の飛行隊を対象とし、次に派遣予定飛行隊、主要な演習および海兵隊レベルの訓練に参加する飛行隊、そして最終的には試験・評価飛行隊、それから派遣予定が未定の飛行隊に対して行われる。

今春にカリフォルニアから派遣される予定の強襲揚陸艦ボクサーおよび第15海兵機動展開隊が、それまでにV-22の派遣準備が整えられるかどうかは不透明である。このことはV-22の飛行再開に伴う最も差し迫った課題のひとつである、とジョイス准将は述べた。

空軍の検討状況

空軍特殊作戦コマンド司令官のトニー・バウアーンファインド空軍中将は、3月6日に行われた記者会見において、空軍兵士たちは3ヶ月間の飛行停止期間中、オスプレイの維持管理に努めてきたが、「飛行していない機体にできることは限られています」と述べた。

そのうえで、オスプレイの飛行再開までの12週間のロードマップを説明した。それによれば、まず、新たな必要となる整備が経験豊富な空軍隊員により実施されることになる。その整備作業が予定どおりに進捗しなかった場合は、必要に応じて計画の期間が延長される。

飛行再開のための訓練は、地上およびシミュレーター訓練から開始される。その訓練には、安全管理およびブリーフィング要領の変更、航空機整備記録の確認、新たな安全管理要領を実行するために必要な飛行隊レベルの訓練計画の修正などが含まれる。

新たな安全管理要領として、どのようことが追加されたのかについては、説明がなかった。新たな安全管理要領は、2月22日から23日にかけてフロリダ州のハールバート・フィールドで実施されたオスプレイ搭乗員の全員を対象とした集合訓練において、空軍特殊作戦部隊が説明を行ったという。「搭乗員たちからは、非常に有益な内容だったという肯定的な所見が得られました」とバウアーンファインド中将は語った。

ロートマップの第2段階では、航空機搭乗員および整備員の基本的な練度の回復に重点が置かれる。当初は、指導、教育、技量評価および武装を担当する士官を対象に訓練を実施する。飛行停止期間中のシミュレーター訓練は、技量を維持するために非常に役立ったという。

段階的に訓練を進めることにより、安全監察で得られた調査結果および事故原因および再発防止対策に関する部内報告書などに適合した処置を完了するための時間を確保する。バウアーンファインド中将は、3月1日に安全委員会の調査結果を受領したという。

バウアーンファインド中将は、空軍が11月29日の墜落前の練度を回復するまでには、3ヶ月以上を要すると見積もられると述べた。そのうえで、現在進行中の2つの事故調査を終了する前にオスプレイの飛行を安全に再開できるとみて間違いがないと語った。これらの方針については、墜落機の搭乗員の家族にすでに情報提供してきたが、事故調査委員会の結果についてはまだ伝達していないという。

「私たちは今、飛行を再開するために必要な知識を十分に有していると確信しています」とバウアーンファインド中将は述べた。

海軍の任務再開状況

海軍航空司令官ダニエル・チーバー海軍中将は記者団に対し、海軍も同様に飛行再開を慎重に進めることとしており、当初は、経験豊富な要員を対象とした昼間の基本飛行訓練のみを実施する予定であると語った。

これを終えた隊員は、その後、後輩の隊員とともに夜間作戦などのより複雑な訓練を再開することになる。艦隊対応飛行隊が新人パイロットや航空搭乗員の訓練を再開するのは、その後になる。

チーバー中将は、飛行を再開することと任務を再開することは同じではないことを付け加えた。海軍のCMV-22Bが海上の航空母艦に貨物や人員を輸送する作戦任務を実施できるようになるまでは、さらに数ヶ月を要する見込みである。

全隊員が十分な練度を回復するまでは、長時間の海上飛行は行わない。ただし、海上飛行の実施時間に関する運用制限については、NAVAIR(海軍航空システム・コマンド)の指示に従うと述べるにとどまった。NAVAIRのV-22プログラム・オフィスのテイラー大佐は、飛行再開計画に機体の運用制限が盛り込まれているのかどうかについては言及しなかった。

チーバー中将は、海軍の柔軟性を強調しながら、V-22の飛行停止間もすべての空母の運用には問題が生じていなかったと述べた。海軍は、インド太平洋に配備されているセオドア・ルーズベルトを含む空母への補給を、CMV-22Bの後継機であり2026年に退役予定のC-2Aグレイハウンドに依存している。

チーバー中将は、また、海軍は補給艦への依存度を高めるとともに、空母が寄港した際には通常より多くの物資を積み込むことを検討していると述べた。そのうえで、老朽化した退役予定機とは異なり、患者後送を実施したり、大型のF-35Cエンジン部品を空輸したりできるCMV-22が本来の任務に復帰することの重要性を指摘した。

ミーガン・エクスタインはディフェンス・ニュースの海軍担当記者です。彼女は2009年以来、米海軍と海兵隊の作戦、調達プログラムおよび予算に焦点を当てた軍事ニュースを担当してきました。これまでに4つの艦隊から報告を行い、艦船で記事を執筆しているときが最も幸せだといいます。メリーランド大学卒業。

コートニー・マベウス=ブラウンは、エア・フォース・タイムズの主席記者です。彼女は、初めて空母に足を踏み入れたバージニア州ノーフォークでネイビー・タイムズおよびザ・ヴァージニアン・パイロットの記者として勤務したジャーナリストです。その記事は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、フォーリン・ポリシーなどにも掲載されています。

レイチェル・コーエンは、エア・フォース・タイムズの編集者です。彼女は、2021年3月に主席記者として入社しました。その記事は、ワシントン・ポスト、フレデリック・ニュース・ポスト(メリーランド州)、エア・アンド・スペース・フォース・マガジン、インサイド・ディフェンス、インサイド・ヘルス・ポリシーなどに掲載されています。

                               

出典:Marine Corps Times 2024年03月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    オスプレイの飛行再開については、いろいろと批判があるようですが、私は次のように考えています。
    「航空事故の発生=飛行停止」ではない。←今回は、飛行の安全を確保するために必要と判断された。

    「事故調査の完了=飛行再開」ではない。←今回は、事故調査の結果を待たずとも安全を確保できると判断された。