電動アシスト付ファットバイクで雪道通勤
私(北海道旭川市在住)が電動アシスト付きのファットバイクで雪道を通勤するために行っている工夫などをご紹介します。
北海道の冬道
数年前から健康上の理由で車の運転ができなくなりました。地下鉄などの交通機関に乏しく、1年のうち半分近くが雪に埋もれる旭川市で車のない生活をするのは、けっこう大変です。3kmほど離れた職場までの通勤は、夏は自転車で行なえますが、冬はバスか徒歩しかありません。バスはあまり好きでないため、歩くことが多かったのですが、往復1時間以上を歩くのが年々しんどくなってきました。
そんな中、雪の積もった歩道を歩いている私をさっそうと追い抜いてゆく乗り物がありました。「ファットバイク」と呼ばれる太いタイヤを履いた自転車です。もともと雪上を走行するために考案されたこの自転車は、いわば「雪上自転車」です。
ただし、冬道を自転車で走るのは、間違いなく夏道よりも大変です。車道の左端には雪が積み上げられ、自転車が走る部分がない状態です。歩道は車道に比べると除雪が十分でないことが多く、人の足跡でかなりの凸凹が生じているのが常です。そこを自転車で毎日何キロも走ることは、61歳の私には、ちょっと難しそうです。
電動アシスト付ファットバイク
そこで目をつけたのが電動アシスト付のファットバイクです。これならば歩道を走って毎日通勤できそうな気がします。
自転車の選び方
ファットバイクは多くの製品が販売されていますが、電動アシスト付となると種類が限られています。それでもいくつかの選択肢がありますので、どれを選ぶかが悩みどころです。
求められる性能・諸元
冬道の通勤に使うという私の使用目的に求められる性能・諸元は次のとおりです。
- 電動アシスト付
絶対必要です。
アシストなしでも走れないことはないですが、かなり厳しい。特に10cm以上の積雪があるときは、これがなければ私には無理です。
重要なことは、「電動」ではなく「電動アシスト付」でなければならないということです。個人的には、スロットルの付いた「電動」でも、安全上何も問題がないと思うのですが...違法です。 - タイヤ幅4インチ
絶対必要です。
「雪の上を自転車で走ることができるのか」という疑問をお持ちの方がいると思いますが、圧雪されている場合ならば普通のママチャリでも案外普通に走れます。ただし、通勤に使う以上は、新雪や人の足跡で荒れた路面でも走れなければなりません。
そのためには、タイヤ幅4インチのファットタイヤが必須です。空気圧を下げた状態にするとママチャリの5倍以上の接地面積があるので埋まりませんし、ブロックパターンなのでしっかりと雪面に食い込んでくれます。 - タイヤ直径26インチ
そうであった方が良いレベルの要求です。
タイヤの直径は幅と同じように接地面積に影響を与え、かつ、転がりやすさに大きな差を生み出します。20インチと26インチでは走破性の違いが歴然としています。ただし、乗り降りのしやすさや足つきの良さは20インチの方が圧倒的に上です。 - 前後輪サスペンション
前輪だけは絶対必要です。
人の足で踏み荒らされた歩道は、夏のダート走行に匹敵するでこぼこ道です。サスペンションなしでは、毎日乗り続けるのはかなりつらいと思います。後輪サスペンションがあればさらに乗り心地が向上します。 - 外装式バッテリー
できればそうであって欲しいレベルの要求です。
気温が-10度を下回ることが頻繁にある旭川の冬に屋外でバッテリーを充電することはできません。このため、バッテリーを簡単に外せて室内に持ち込めるほうが便利です。内装式のバッテリーの取り外しは、フレームを折りたたまなければならず、大変手間がかかります。ただし、自転車ごと玄関に保管できるのであれば、問題がありません。 - 泥除け
これは必須です。
通勤で使う以上、雨の日も走行できなければ話になりません。雪が溶けた状態のときも同じです。そのためにはフルフェンダーと呼ばれる完全な泥除けがどうしても必要です。
購入した製品
というわけで、私が選んだ製品はこちらです。「タイヤ直径26インチ」と「バッテリー外装」の要求を満たすものは見つかりませんでした。
XPLORER
https://emotorad.jp/products/xplorer
普通自転車および電動アシスト自転車として、型式認定認証済みなのが一番のポイントです。
https://phoenix-h.com/xplorerplus/
細部については、こちらの記事がおすすめです。
雪道の走り方
低速で走行
「雪道を自転車で走って滑らないのか?」とよく聞かれます。そりゃ滑ります。でも、車でも人でも滑ります。安全に走行するためのコツはとにかく「ゆっくりと走る」ことです。
これさえ守っていれば滑ったときにも転ばないように対応できますし、万が一転んでしまった場合の被害も小さくできます。雪山の陰から突っ込んでっくる車に跳ねられることも避けられます。
通常は、ギアを最も低速にセットして、時速7~8kmで走るようにしています。歩くより楽で速ければいいんです。
歩道を走行
旭川のような田舎では「歩道を自転車で走っていいのか?」と聞かれることはまずありません。逆に「車道を自転車で走っていいのか?」というマヌケな質問をされることの方が多いくらいなので、歩道を走って問題になることはまずありません。
規則上は、自転車は原則として車道を走らなければなりませんが、次の場合には普通自転車であれば歩道を走行することが許されています。
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-roadtraffic-law-rules/
- 13歳未満、70歳以上の者、または身体の不自由な者が自転車を運転するとき
- 標識や標示で自転車の歩道走行を許可しているとき
- 自転車の通行の安全を確保するため歩道通行がやむを得ないと認められるとき
車道の左端に雪が積み上げられている場合は、「自転車の通行の安全を確保するため歩道通行がやむを得ないと認められる場合」に該当すると(勝手に)解釈しています。
歩行者を優先
普通自転車が歩道を走行する場合は、「歩行者の通行を妨げる恐れがあれば、一時停止する」ことが義務付けられています。除雪の終わっていない歩道を走行する場合、歩行者とすれ違うのが難しい場合があります。その場合は、ちゅうちょせず新雪の中に突っ込んで、歩行者に道を譲るようにしています。
万が一歩行者と接触してしまった場合、自転車側に責任を負わされる可能性が極めて高いです。このため自転車保険に加入するとともに、ドライブレコーダーを装着して走行中の状況を常に録画するようにしています。
自転車保険はこちらに入っています。
https://www.jtsa.or.jp/jitensyakai/
ドライブレコーダーは、こちらから購入しました。
https://amzn.to/3wwAhIA
ハンドルへの取り付けには、クランプバーを使っています。
https://amzn.to/3Ix4Qkd
不整地であることを意識
雪道は不整地です。新雪であってもその深さや硬さは場所によって異なり一定ではありません。人の足跡は、凍りついた凸凹です。圧雪された平らな場所はアイスバーンになっている可能性があります。除雪されているところとそうではないところには、30cm以上の段差が生じている場合もあります。
このため、不整地を走行する場合と同じようにハンドルを両手でしっかりと握り、ペダルを土踏まずでしっかりと踏むことが重要です。特に緊要な箇所では、ニュートラルポジションやレディポジションを取る必要があります。https://www.cyclesports.jp/topics/61064/
問題点と対策
スタックする
経験上、10cmの積雪ならば通過できますが、20cm以上ではほぼ間違いなくスタックします。(26インチのタイヤであれば30cm程度でも通過できる場合がありました。)スタックした状態から、ペダルを踏んで抜け出すのは困難です。
タイヤチェーンも販売されています。こちらのものが使えそうなので購入しました。ただし、今までのところどうしても必要な状態にはなっていません。
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手が冷たい
「冬に自転車に乗って寒くないのか?」とよく聞かれます。もともと歩いて通勤していましたから、それと同じ服装であれば寒いことはありません。(オートバイのように高速で風を切って走るわけではありませんから)
ただし、冷え切ったハンドルのグリップを持つ手は、どうしても冷たくなってしまいます。ハンドル・カバーと呼ばれる製品もありますが、万が一転倒したときに手が引っかからないか心配です。小型の「貼るカイロ」も効果はありますが、毎回張り替えるのが面倒です。USB給電のグリップ・ヒーターも使ってみましたが、肝心の厳寒時には正常に作動しませんでした。
いろいろと試行錯誤する中で、フォームチューブを被せたグリップが思いのほか効果があることが分かりました。
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https://amzn.to/3OXVJwq
これら2つの製品を組み合わせれば寸法もピッタリです。(フォームチューブは2本必要です。)
このグリップを取り付けるためには、標準装備のレボシフトレバーを通常のシフトレバーに取り替える必要があります。不要になった「電動」ファットバイクから流用しました。
低温時に電源スイッチが入らない
あまりにも低温(-15℃以下)だと電源スイッチを押しても起動しない場合があります。このため、低温が予想される場合は、自転車自体を玄関の中に保管しています。
このとき、標準装備されている折りたたみ式ペダルがとても便利です。
低温時に充電ができない
同じく低温時(-0℃以下)には、バッテリーの充電もできません。こちらも玄関の中に入れて、バッテリーが温まってから充電することで対応しています。
定期的なメインテナンスが必要
毎日の通勤で使い続けていると、いろいろな不具合が発生します。その主な原因は「振動」です。ファットバイクのブロックパターンのタイヤは、車体全体に高周波振動を与えます。また、人の足跡でできた凸凹は、低周波振動を生じさせます。このため、スクリューやナットが緩んだり、配線の被膜が剥がれたりというようなトラブルが絶えません。
これを防止するには、定期的に点検するしかありません。私の場合、1か月に一度はスクリューの緩みなどのカレンダー点検を行っています。元ヘリコプター整備員の私には楽しみのひとつですが、慣れない方には苦痛かもしれません。
スクリューの緩み防止には、ロックタイトが効果的です。
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その他
なぜかベルが付いていなかったので、取り付けました。なかなかカッコいいのが見つかりました。
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盗難防止アラームも取り付けました。安物ですが、雨ざらしでも壊れず、厳寒時でもちゃんと作動してくれています。
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盗難防止保険にも入りました。
https://zuttoride-ssi.co.jp/
十分に使える交通手段
「雪道を自転車で走るのは危険だ」と仰る方もいますが、車のように人を轢き殺したり、家や車を破壊したりすることはほぼありません。大気汚染も起こさないし、漕ぐことで運動にもなります。速度は遅いですが、歩くよりは十分に速く、通勤であれば十分に使える交通手段だと思います。
ただし、本当は「フル電動」の自転車の方がずっと走りやすいです。スロットルでパワーをコントロールすることで、深雪でもより確実に走行することができます。実際に乗ってみると何も危険は感じられず、これが禁止される理由がわかりません。「自転車のくせに生意気だ」というだけで禁止されているとしたら、実にもったいない話だと思います。
https://okwave.jp/qa/q5901699.html#goog_rewarded
【追記】
前カゴも付けちゃいました(別売の正規品)。やっぱり、あったほうが便利です。
時計とスマホホルダーも付けちゃいました。時計は、特に冬に便利です。手袋や防寒着で腕時計が見にくいからです。シフトレバーも交換しました。
時計:https://amzn.to/3Qtify7
スマホホルダー:https://amzn.to/3W8W6Zc
シフトレバー:https://amzn.to/3W7uRP3
不注意でディスプレイを破損させてしまったのですが、部品を注文するとすぐに送ってくれました。アフター・サービスもバッチリです。
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