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航空事故回顧:FOD関連事故

戦闘支援のため2機編隊によるNVGを使用した夜間離脱任務を実施していたUH-60Lがテール・ローターの推力を喪失し、数回旋転した後に墜落した。機体は破壊され、4名の搭乗員及び10名の同乗者の全員が死亡した。

発生状況

当該機の任務は、前夜に敵地に侵入し戦闘活動を支援していた偵察チームを夜間に離脱させることであった。任務の計画、ブリーフィング及び承認は、次のとおり行われた。計画では、2機のOH-58Dが監視態勢をとった後、2機のUH-60Lが2つの別々のLAに同時降着することになっており、約1時間の飛行を予定していた。ブリーフィングは、小隊教官操縦士により実施され、計画の承認は、大隊長により行われた。
 1600(現地時間、以下同じ)に搭乗報告、1900に飛行前点検を完了し、2000に任務及び敵情についての補足ブリーフィングが実施された。2030に機上任務指揮官による編隊ブリーフィングが実施され、離陸前に各航空機の位置で搭乗員ブリーフィングが実施された。本任務は、中程度のリスクを伴うものと考えられていた。
0018にUH-60Lの2機編隊が離陸し、事故機は2番機としてLA(訳者注:米陸軍ではPZ, Pickup Zoneと呼ばれる。)に前進を開始した。LAには、0044に到着した。1番機は、ブラウン・アウト状態となったため、4回の進入と着陸複行を繰り返した後に無事着陸し、10名の偵察員を収容した。続いて2番機は、進入を2回繰り返した(同じくブラウン・アウト状態になったためと考えられる)後に無事着陸し、残りの10名の偵察員を搭載した。2番機から1番機には、「離陸準備完了」の報告があった。0049頃、編隊は離陸し、右旋回を行って、展開地に向かった。0050、1番機は、2番機から「テール・ローター・クオードラントのコーション・ライトが点灯したため、前方運用基地に戻る」という無線を受信した。その直後、2番機から「墜落する」という無線が発せられた。監視任務中の2機のOH-58は、当該機が速度を落とし、機首を上げ、右に旋転しながら地面に激突するのを目撃した。

搭乗員の経歴

左側操縦席に搭乗していた機長(空中任務指揮官)は、1,000時間近い総飛行時間を有しており、そのうちの800時間がUH-60によるものであった。また、200時間のNVG飛行及び330時間の戦闘飛行の経験を有していた。副操縦士は、470時間の総飛行時間を有しており、そのうち285時間がUH-60であり、82時間のNVG及び100時間の戦闘飛行の経験を有していた。機付整備員は、記録が不完全であるものの、125時間以上の総飛行時間を有し、そのうち100時間が戦闘飛行、54時間がNVG飛行であった。射手は、125時間の総飛行時間で90時間が戦闘飛行、31時間がNVGであった。

考 察

調査の結果、No.2テール・ローター・ドライブ・シャフトのセクションⅡに発生した損傷により、テール・ローターのコントロールを完全に失っていたことが判明した。このため、機体は複数回にわたって右旋転し、その後墜落したものと推定される。
 No.2ドライブ・シャフトの損傷は、セクションⅡ付近に存在した何らかの物体により削られたことにより生じたものと推定される。当該ドライブ・シャフトには、いくつかの引っかき傷があり、そのうち1つは非常に深いもので、損傷の起点となったと考えられる。
 ドライブ・シャフトに当該損傷が発生した具体的なメカニズムは明らかにならなかったが、整備員又は搭乗員の誰かがドライブ・シャフトに引っかき傷を生じさせるような工具又はその他の物体をドライブ・シャフトの周辺に置き忘れた可能性が考えられる。
 当該機は、#1フェーズ点検を完了したばかりであり、部隊SOP及び整備実施規定に基づくFOD点検が実施されていた。部隊整備工具セットの員数点検が実施されたが、欠品は発見されなかった。

出典:FLIGHTFAX, No.49 May 2015, U.S. Army Combat Readiness/Safety Center
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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