アメリカ海兵隊はMV-22を飛行停止せず
(2022年08月18日)
アメリカ海兵隊は、当該クラッチの不具合の発生を2010年から把握しており、「再発した場合に備えて、緊急操作を行うために必要な措置を完了している」と考えている。
空軍が安全上の懸念からCV-22オスプレイを飛行停止にしたことを受け、海兵隊の最先任操縦士は、海兵隊は、この問題を10年以上前から把握しており、空軍に追随することはない、と述べた。ただし、同様の問題が発生する可能性を減少する方法に関するガイダンスを発行している。
海兵隊が本日発した声明によれば、「海兵隊において、ハード・クラッチの問題は、2010年以来認識されている事象であり、飛行中に問題が発生した場合に適切な緊急対応ができるようにパイロットを訓練してきた」「今後も、統合事業事務局(joint program office)、海軍航空システム・コマンド(NAVAIR )および関連企業と連携し、本問題の根本原因の解決を図ってゆく。」
本紙は、17日に、空軍特殊作戦コマンドが52機すべてのCV-22オスプレイを飛行禁止にしたと報じた。これは、過去6週間に発生した2件を含め、航空機のクラッチに関連する「不安全事例が増加した」ためである。
海兵隊の担当者は、記者団に対し、2010年に最初に発生して以来、海兵隊はクラッチの問題に対処する方法についてパイロットを訓練してきた、と語った。その時以来、V-22プログラム (海軍、海兵隊、空軍の派生型機すべてを意味する) 全体において、15件の事例しか記録されておらず、そのうちの10件が海兵隊で発生している、とも述べた。15件の事例の中に、海軍用の派生型機であるCMV-22で発生したものはない。
アメリカ軍は、航空事故を当該事故によるパイロットの負傷および航空機に生じた損害額に応じて「クラス」に区分している。当該海兵隊担当者は、15件の事故のクラスの内訳について即答できなかったが、人命の損失を伴う最も深刻な事故である「クラス A」に該当するものはない、と述べた。さらに、パイロットが重傷を負った事故も含まれていない、と付け加えた。(空軍特殊作戦コマンドの担当者は、以前、本紙に対し、空軍の見積もりでは、多くの場合、事故後にギアボックスおよびエンジンの両方を交換する必要があり、被害額が250万ドルを超過することからクラスA事故に該当する、と語っていた。)
空軍特殊作戦部隊は、本日、16日に開始したCV-22の飛行停止の決定に変更はない、と述べた。空軍の決定にもかかわらず、海兵隊が飛行を停止しない理由について問われると、当該海兵隊担当者は、海兵隊のパイロットは問題発生の可能性を減らす方法についてすでに教育を受けており、さらに新たなガイダンスを発行することによりそれを強化できている、と強調した。
「この緊急事態が再び発生した場合に対処するための適切な処置が完了していると感じています」と当該海兵隊担当者は述べた。「それが明日であろうと1年後であろうと、海兵隊の搭乗員は、この緊急事態に適切に対応し、機体を安全に着陸させることができるように訓練を受けています。」
副司令官から示されたガイダンスで強調されている事項には、「ホバー・チェック」を行うことの重要性が含まれている。これは、パイロットが計器をチェックしながら、一瞬の間、機体を地面から数フィートまで浮かせて「ホバリング」する操作である。
「これらの不安全事例の3分の2以上は、離陸後数秒以内に発生しています。そのため、前進飛行を開始する前に、計器を監視しながら地面効果内ホバリングを実施することで、クラッチの不具合事象による影響を減少させるのです」と当該海兵隊担当者は述べた。
その一方で、機体改修による問題改善に関する質問については回答を拒否し、V-22統合事業事務局に委ねた。
編集:バレリー・インシンナ, Breaking Defense
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陸上自衛隊も一時的に飛行を見合わせることになりました。
陸自オスプレイが飛行停止