AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

アメリカ空軍特殊作戦コマンドがCV-22オスプレイの飛行禁止を命令

(2022年08月17日)

ヴァレリー・インシナ

2021年1月8日、訓練任務のため日本の横田基地から離陸する第21特殊作戦飛行隊所属のCV-22 オスプレイ(撮影:米空軍 Yasuo Osakabe)

アメリカ空軍特殊作戦コマンド司令官のジム・スライフ中将は、過去6週間に2件、2017年以来合計4件の不安全事例が発生したことを受け、16日に安全の確保のための飛行禁止を命じた。

この記事は、2022年8 月18日午前9時40分に海軍航空システム・コマンドからの指摘を受けて修正された。

本紙が確認したところによると、アメリカ空軍特殊作戦コマンドは、クラッチに関する未解明かつ安全に影響を及ぼす問題により「不安全事例が増加」していることを受け、空軍のCV-22オスプレイ・ティルトローター機52機すべてを無期限に飛行停止させた。

アメリカ空軍特殊作戦コマンドの報道官であるベッキー・ハイス中佐は、同コマンドの司令官であるジム・スライフ中将が、過去6週間に2件、2017年以来合計4件の不安全事例が発生したことを受け、16日に安全確保のための飛行禁止を命じた、と発表した。

アメリカ空軍特殊作戦コマンドは、この問題を「ハード・クラッチ・エンゲージメント」と表現している。CV-22の2つのロールスロイス・リバティAE1107Cエンジンのうちの1つをプロペラ・ローターに接続しているギアボックス内のクラッチに、何らかの原因で滑りが生じている、とハイス中佐は述べた。それが起こると、ほぼ瞬時にもう一方のエンジンに負荷が転移する。これは、一方のエンジンが故障してもオスプレイが飛行し続けることを可能にするための設計構想である。その後、ほとんどの場合、滑りが生じていたクラッチが再び噛合し、元のエンジンへの負荷が急速に回復する。

しかし、2つのエンジンの間で急激に出力が移動することにより、搭乗員は、CV-22を直ちに着陸させることを余儀なされる。ハイス中佐は、「この事象が発生した際に、搭乗員が機体を適切に制御できなかった場合、制御不能状態で着陸することになる可能性があります。」と付け加えた。

ハイス中佐は、「CV-22を運用する空軍兵士の技量とプロ意識のおかげで」、この問題による負傷者や死亡者は生じていない、と述べた。

「私たちにとって、空軍兵士の安全は最も重要です。したがって、ハード・クラッチ・エンゲージメントの原因を特定し、必要な対策が講じられるまでの間、アメリカ空軍特殊作戦コマンドのCV-22は飛行を行いません」と、ハイス中佐は述べた。

多くの場合、事象が発生すると両方のギアボックスおよびエンジンを交換する必要があり、損害額が250万ドルを超えるため、クラスAの事故に該当することになる。

「アメリカ空軍特殊作戦コマンドは、統合事業事務局と連携したものの、根本原因を正確に特定するために必要な技術データを収集することができていません。したがって、それが機械的なものか、設計上のものか、ソフトウェアによるものか、またはそれらの組み合わせによるものかは不明です」とハイス中佐は述べた。

また、アメリカ空軍特殊作戦コマンドの担当者たちは「この問題を完全に理解し、壊滅的な結果を生じる可能性を軽減できる対策を確立するため、統合事業事務局および業界パートナーとの連携を密にします。…最終的な目標は、実行可能な長期的な器材上の解決策を決定することです」と述べた。

米軍初のティルトローター機であるV-22オスプレイは、ヘリコプターのように垂直に離陸してホバリングし、ナセルを回転させて飛行機のように高速で前方に飛行することができる。ベル・ボーイングはオスプレイの3つの派生型機を製造している。2009年からアメリカ空軍特殊作戦コマンドが運用を開始したCV-22、アメリカ海兵隊のMV-22、およびアメリカ海軍が物資および人員の空母への空輸に使用しているCMV-22Bである。

V-22 は、墜落や死亡事故を含む、さまざまな安全上の問題により、30年間にわたって論争を巻き起こしてきた。最近では、2022年3月に発生したノルウェーでのMV-22 墜落事故で4人、2022年6月に発生したカリフォルニアでの墜落事故で5人の海兵隊員が死亡している。(海兵隊の調査報告書によると、3月に発生した墜落事故は、パイロットのミスによるものであることが判明している。海兵隊の担当者は、6月に発生した墜落の原因については、調査中であると述べていた。) 6 月下旬、海兵隊は、最善の運航および安全手順を再検討するため、すべての海兵航空部隊に対し短期間の飛行停止を命じていた。

声明の中で、海軍航空システム・コマンドの広報担当者は、海軍航空システム・コマンドおよびV-22統合事業事務局は、ベル・ボーイングと連携しつつ、「既知のV-22クラッチ」問題の解決に向け努力している、と述べた。

また、「根本的な原因は調査中ですが、隊員の安全を確保するため、追加のリスク軽減対策を実施しようとしています」とも述べた。「プログラム・オフィスは、同盟国を含むすべてのV-22ユーザーとの意思の疎通および連携を継続します。パイロットおよび搭乗員の安全確保は、私たちの最優先事項です。」

海兵隊および海軍は、この問題が海兵隊および海軍のV-22にも影響を与えるかどうかについて、即答を避けた。ベル・ボーイングは、国防総省へのコメントを保留している。

本記事は、追加情報が入手され次第更新する。

編集:ジャスティン・カッツ, Breaking Defense

                               

出典:Breaking Defense 2022年08月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

アクセス回数:390

コメント投稿フォーム

  送信後5分間は、編集が可能です。

2件のコメント

  1. ワニ より:

    近年は陸自のヘリよりも見かける機会が多かった横田のCV-22を先週から見かけなくなったので、どこかへ行っているのかと思ったらこんなことになっていたとは思いもしなかったです。

    • 管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      そうだったんですね。

      この記事以上の情報は入手できていないのですが、本問題の解決には時間がかかるかも知れませんね。
      理由は、次のとおりです。(私の勝手な想像です。)
      ・クラッチに滑りが生じる原因には、ナセルが水平から垂直まで回転すること(クラッチへの潤滑状態が変化すること)が影響しているかもしれない。
      ・再噛合した際に姿勢が変化する原因には、左右のギアボックスが複数の長いドライブシャフトで連結されていること(トルクの伝達にタイムラグが生じること)が影響しているかもしれない。
      ・クラッチの滑りや再噛合を検知して、自動操縦装置により姿勢を制御することもできそうな気がするが、大規模なソフトウエアの改修や試験が必要となるかもしれない。
      ・クラッチの滑りを検知して、警報を表示させることもできそうな気がするが、それでは空軍が納得しないかもしれない。