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陸軍航空の情報センター

安全確保のためオスプレイの「一部」を飛行停止

アメリカの3つの軍種と日本が運用するオスプレイのうち、何機がどのくらいの期間にわたって飛行停止になるのかは公表されていない

ジャスティン・カッツ

環太平洋合同演習(Rim of the Pacific, RIMPAC)2022で行われた多国間沿海域作戦訓練において、水陸両用襲撃に飛び立つMV-22オスプレイ(写真提供:ニュージーランド空軍ディロン・アンダーソン伍長)

ワシントン発-V-22オスプレイの安全性に問題はないと宣言されてから数ヵ月しか経っていないのにもかかわらず、アメリカ国防総省は、部品交換が必要な「一部」の機体について、飛行停止を行うという。何機が飛行停止になり、飛行再開までにどれくらいの時間がかかるのかについては、明らかにされていない。

海兵隊、海軍および空軍の3つのアメリカ軍および日本が運用している多用途ティルトローター機に飛行停止の処置が行われることになった。Breaking Defenseが8月に報じたアメリカ空軍特殊作戦司令部による空軍オスプレイの飛行停止から、数ヵ月しか経っていない。空軍機の飛行停止は、9月初めに解除されていた。

しかし、国防当局者は、土曜日の記者会見で、飛行の安全を確保するため、一定の飛行時間に達した機体の「インプット・クイル・アセンブリ」を交換する必要があると述べた。インプット・クイル・アセンブリは、エンジンを動力伝達系統に接続する部品であり、クラッチを内蔵している。

「今回の安全勧告は、ハード・クラッチ・エンゲージメント発生件数の増加および継続中の技術解析に基づくもの」だという。「所定の飛行時間を超えたインプット・クイル・アセンブリが使用されている機体は、部品を交換しなければならない。交換が完了した機体は、飛行を再開する。」

複数の記者から質問があったにもかかわらず、この指示により影響を受けるV-22の数については、「一部」であるとしか説明されなかった。このため、この措置により影響を受けるのが、少数の機体だけなのか、大多数の機体なのかは不明である。また、交換が必要となる飛行時間についても、明らかにされなかった。

ただし、インプット・クイル・アセンブリの交換は飛行隊レベルで行うことが可能であり、直ちに開始できる状態にある。各軍種は、V-22の主契約者であるベル・ボーイングと協力し、この問題に関する試験およびデータ分析も行っている。長期的な解決策として、クラッチの再設計にも取り組んでいるという。

「この航空機の主契約者であるベル・ボーイングは、これらすべての取り組みに深く関与している」という。「インプット・クイル・アセンブリが交換されれば、運用に復帰することができ、その後は何年にもわたって交換する必要がない。交換が必要となる飛行時間に到達するまでの期間は、機体ごとの運用状況により異なる。」

オスプレイの派生型には、空軍のCV-22、海兵隊のMV-22、海軍のCMV-22Bがあり、日本の自衛隊も独自のV-22派生型を運用している。日本のV-22を管理する日本政府当局に対しては、アメリカ軍機と同一の支援および情報が提供されている

昨年の夏、アメリカ空軍は安全検査のためにV-22を飛行停止したが、アメリカ海兵隊はそれを行わず、この問題はパイロットにより対処できると主張していた。

それから何が変わったのかという質問に対し、ハードクラッチ事案が「徐々に増加」していることが明らかにされた。「今回の措置は、ここ数週間で、全般的なデータの推移から、今回示した飛行時間が適切な間隔であるとの結論に達したことによるもの」だという。

                               

出典:Breaking Defense, Breaking Media, Inc. 2023年02月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    「やるべきことをちゃんとやっている」ということだと思います。