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陸軍航空の情報センター

米国の軍用無人航空機優勢の解放

国防長官 ピート・ヘグセス

国防総省で行われたドローンの展示の場で、本覚書に署名するヘグセス国防長官(2025年7月10日)(写真:米海兵隊)

国防長官(国防総省 1000、ワシントンDC 20301-1000)

2025年7月10日(訂正版*)

あて先:国防総省高級幹部、各戦闘コマンド司令官、各国防機関の長

件名:米国の軍用無人航空機優勢の解放

国防長官に就任した際、私は、脅威に見合った能力を備えるよう軍を再建すると約束した。ドローンはこの一世代で最大の戦場の革新であり、ウクライナにおける今年の死傷者の大半はドローンによるものである。敵対国は、合わせて毎年数百万機の安価なドローンを生産している。過去3年間で世界の軍用ドローンの量産が急増する一方、前政権は煩雑な規制を持ち込んだ。米軍の部隊には、現代の戦場が必要とする、殺傷性の高い小型ドローンが装備されていない。

6月6日、トランプ大統領は、米国のドローン産業を支援し、戦闘員に装備を与えるため、大統領令第14307号を発した。国防総省は、この大統領令が求める以上の取組みを行う。私は、量産を妨げ、これら不可欠な技術の入手を制限してきた制約的な方針を撤廃し、米国の製造業と戦闘員の創意工夫を結び付けて、両者が秘める力を解き放つ。ドローンを調達し運用する権限を、官僚機構から戦闘員に委任する。

我々の任務は三つある。第一に、数百の米国製品を軍の購入対象として承認し、発展途上にある米国のドローン製造基盤を強化する。この産業を支える民間資本の流れを生かしつつ、米国製品の購入(バイ・アメリカン)を明確に優先する。

第二に、技術で一気に追い抜くことを目指し、世界をリードする米国の技術者と人工知能の専門家が作る多様な低価格ドローンを戦闘部隊に装備させる。ドローン優勢をめぐる競争は、技術の競争であると同時に、プロセスの競争でもある。現代の戦場で革新を生むには、製造業者と第一線の部隊とを一体化させる新たな調達戦略が必要である。

最後に、我々は、実際に戦うとおりに訓練する。現代の戦場を模擬するため、上級幹部は、予算編成から兵器化、訓練に至るまで、あらゆる面で官僚機構が本能的に持つリスク回避の姿勢を克服しなければならない。来年には、ドローン同士の対抗戦を含め、関連するすべての戦技訓練にこの能力が組み込まれていることを期待する。

新たな技術には、新たな予算項目が必要である。ドローンの緊急の需要に応えるため、大統領令第14307号に示された資金支援の手法を検討している。

別添に詳述する指示は、我が国の産業基盤を支え、調達を改革し、新たな技術を戦闘員に供給するものである。自ら課した制約によって殺傷性を損なうことがあってはならない。我々が自ら発明しながら、その後の取組みで後れを取った技術を活用する場合は、なおさらである。ドローン技術の進歩はあまりに速く、最大のリスクはリスクを避けることにある。国防総省は、官僚的な制約を脱ぎ捨て、本気で臨む。

別添:記載のとおり

* 別添から切り離した場合に「UNCLASSIFIED(秘密区分なし)」と表示するための訂正版

別紙A

件名:規則および指示――米国の軍用無人航空機優勢の解放

参照:

(a) 大統領令第14307号「米国の無人航空機優勢の解放」(2025年6月6日)

(b) 2020会計年度国防権限法(公法第116-92号)第848条

(c) 2024会計年度国防権限法(公法第118-31号)第1821条から第1825条まで(「2023年米国安全ドローン法」)

(d) 2023会計年度国防権限法(公法第117-263号)第817条「外国製無人航空機システムの運用・調達禁止の修正」

(e) 2020会計年度国防権限法第848条を実施するための無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems, UAS)の運用および調達の手続きに関する指針

(f) 調達・維持整備担当国防次官室覚書「ブルー小型無人航空機システムに関する方針要件の例外」(2022年10月13日)

(g) 統合参謀本部議長指示3255.01「統合無人航空機システム最低訓練基準」変更1(2011年10月31日)

大統領令第14307号(参照(a))は、国防総省に対し、国内で生産された低価格のドローンを調達し、戦闘員と我が国の産業を支援するよう求めている。国防総省は、戦場での優越を達成するため、この大統領令が求める以上の取組みを行わなければならない。国防総省は、「2025年暫定国防戦略指針」の戦力計画の枠組みに沿って、自爆型の機材や徘徊弾薬などの無人航空機システムに投資する。2026年末までに、すべての分隊が低価格の使い捨てドローンを保有する。その際は、インド太平洋地域の戦闘部隊を優先し、国防長官が示した他の戦略指針文書とも整合させる。

本覚書は、参照(e)の2021年の覚書「2020会計年度国防権限法第848条を実施するための無人航空機システムの運用および調達の手続きに関する指針」と、参照(f)の2022年の覚書「ブルー小型無人航空機システムに関する方針要件の例外」を廃止する。この新たな指針は、権限を訓練コマンドと作戦部隊に委任するとともに、最大のリスクを負う第一線の隊員が24時間以内に改修を行えるようにする新たな調達戦略を求めるものである。私の企図は、多様なグループ1およびグループ2の、すなわち「小型」の無人航空機システムを、この能力を駆使して戦闘で敵を撃破できるあらゆる部隊に急速に普及させることである。我々は、外国製よりも米国製の無人航空機システムの装備化を優先する。

本日から、大佐級の指揮官またはこれに相当する者は、運用認可(authority to operate, ATO)を与えることができ、また、法令上の制限に適合する小型無人航空機システムを、研究所の試作品から市販品、さらには適合した重要構成品を用いて米軍の隊員が製作したものに至るまで、調達し、試験し、これを用いて訓練することができる。この権限は、さらに下位に委任することはできない。これらの無人航空機システムは、国防総省のネットワークから隔離された、閉じたサイバー・ネットワークの中にとどめなければならない。大佐級の指揮官およびこれに相当する者は、基地司令官と調整のうえ、管理された環境で非致死性の自律型小型無人航空機システムを試験することも認められる。

(中略)

各軍省長官は、無人航空機システムの耐空性および部隊使用承認(materiel release)の要件を定めるものとするが、グループ1およびグループ2の無人航空機システムについては、わずかな例外を除き、これを免除する。これに伴い、統合参謀本部議長に対し、参照(g)の統合参謀本部議長指示(Chairman of the Joint Chiefs of Staff Instruction, CJCSI)3255.01「統合無人航空機システム最低訓練基準」を直ちに改訂し、グループ1およびグループ2の無人航空機システムを対象から除外するよう指示する。グループ1〜2の無人航空機システムの操縦者の訓練と資格は任務要求によって定まるものであり、ここにその権限を各軍省に委任する。小型無人航空機システムの操縦者に追加で適用する医学的基準は、最小限にとどめる。各軍省以外の国防総省の機関は、陸軍長官が定める基準に従う。

(中略)

小型無人航空機システムは、高性能な飛行機よりも、むしろ弾薬に近い。小型無人航空機システムは安価で、速やかに補充でき、消耗品に区分されるべきである。各軍省長官は、小型無人航空機システムの調達、試験、訓練および供給を過剰に規制している内部方針のうち、本指針に反するものをすべて修正または削除する。例えば、小型無人航空機システムには、NATO標準化協定(Standardization Agreement, STANAG)4586の基準は必要ない。グループ1およびグループ2の無人航空機システムは、非消耗品ではなく消耗品として計上する。統合参謀本部議長に対し、研究・工学担当国防次官および調達・維持整備担当国防次官と協議のうえ、国防総省の現行の無人航空機システムの区分について改訂の要否を検討するよう指示する。特に、米国の製品設計に影響を及ぼしているグループ3の重量の幅(現在は56ポンド〔約25キログラム〕から1,319ポンド〔約598キログラム〕まで)を再検討すること。

(中略)

実用性試験は、無人航空機システムの安全な兵器化を大規模に進められるよう、迅速化、合理化および標準化を図らなければならない。兵器審査委員会は、小型無人航空機システムの武装化の申請に対し、30日以内に回答する。

(中略)

米国の資本市場は、無人航空機システムの急速な拡大に呼応し、民間のスタートアップ企業を支えてきた。ドローンの技術は陳腐化が速く、製造業者と第一線部隊との一体化が欠かせない。これまでのところ、国防総省の取組みは、無人航空機システムを必要な規模と速度で部隊に配備できていない。この技術の変化の速さに後れを取らないよう、我々は、次の要素からなる無人航空機システムの継続的適応モデルを実行する。

1. 大まかな最低限の要求性能を公表し、これに基づいて行う民生品の反復的な購入。数か月ごとに少量ずつ入れ替え、戦闘員が推奨する製品の大量購入に進む前の段階で、特定業者への依存(ベンダー・ロックイン)を防ぐ。

2. 米軍の隊員が民生部品や交換可能なペイロード、ソフトウェア・パッケージを用いてシステムを組み立てられる、第一線でのモジュール性。

3. 自動化されたサイバーセキュリティの妥当性確認(適当な場合はエア・ギャップ環境での試験を含む)と迅速な指揮官の承認を経て、数時間以内にファームウェアとソフトウェアを更新できるようにし、不要な遅延を排除するソフトウェアに関する権限。

4. 部隊の運用データを毎日記録して送る仕組み(データ・パイプライン)。これにより、人工知能のモデルを毎晩再学習させ、改良する。

5. 契約担当官とプログラム・エグゼクティブを、納入の速さ、柔軟性および対応力によって評価する業績評価の枠組み。

(以下略)

訳者コメント:
本覚書の出発点となった大統領令第14307号「米国の無人航空機優勢の解放」(2025年6月6日署名)は、目視外飛行の規則の整備、電動垂直離着陸機(eVTOL)の試行計画、国内の産業基盤の強化、民間ドローンの輸出促進などを定めた、主に民生分野の産業政策です。軍に関する規定は第9条だけで、米国製ドローンの優先的な調達、ブルー・リストの拡充と毎月の更新、ブルー・リストに載った機体を例外措置の手続きなしにすべての軍の施設で運用できるようにすること、訓練用の空域・周波数の確保、無人航空機システムに置き換えれば費用対効果や殺傷性が高まるプログラムの特定を求めています。一方、小型無人航空機システムを消耗品として扱うこと、大佐級の指揮官への権限の委任、耐空性要件の免除、全分隊への配備は大統領令になく、いずれも国防長官自身の判断によるものです。本覚書が冒頭で「この大統領令が求める以上の取組みを行う」と述べているのは、このことを指しています。
本文に出てくる「グループ1」「グループ2」は、米軍が無人航空機システムを重量・速度・運用高度によって5段階に分けた区分です。本サイトの参考資料「ATP 3-01.81 Counter-Unmanned Aircraft System (C-UAS) Operations」に、区分の一覧(表1-1)の和訳を掲載しています。同表によれば、グループ1は重量20ポンド(約9キログラム)以下、グループ2は21〜55ポンド(約10〜25キログラム)の機体で、本覚書が「小型」と呼ぶのはこの二つです。一方、グループ3は56〜1,320ポンド(約25〜599キログラム)と幅が広く、55ポンドをわずかに超えただけで数百キログラム級の機体と同じ区分に入ります。覚書は、これが米国の製品設計に影響を及ぼしているとして、区分の見直しを検討するよう統合参謀本部議長に指示しています。
翻訳について補足します。表紙の覚書は米国防総省が公表したものですが、別紙A(別添)には「CUI」(管理対象非機密情報)の表示があり、同省は公表していません。別紙Aは報道機関によって全文が公開されており、本記事では、そのうち小型無人航空機システムの位置づけ、権限の委任、耐空性要件の免除、消耗品としての扱い、武装化の審査、継続的適応モデルなど、覚書の要点に当たる部分を抜粋して訳出しました。
                               

出典:Unleashing U.S. Military Drone Dominance, Memorandum, Secretary of Defense 2025年7月10日

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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