AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター


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間違った番号の入力

空軍大尉ナタリー・D・ミラー
第238航空連隊第2大隊B中隊
空軍州兵
サウスカロライナ州グリーンビル

その日、機長として初めて飛行する私は、少し興奮していたし、緊張してもいました。その飛行は、私の部隊がある陸軍基地(クラスD空域を管理する民間飛行場と同じ場所にある)から離陸し、部隊の訓練地域を経由して、その近くのクラスCの民間空港に進入し、帰投するという、ごく通常の訓練でした。

この2時間の飛行訓練の目的は、新人のレデイネス・レベル1のパイロットをより広範囲のローカル飛行エリアに慣熟させることにありました。既にレディネス・レベル1を達成していたそのパイロットは、自分の飛行場およびそのローカルへの進入・離脱手順には、既に精通していました。このため、訓練の主眼は、我々がよく利用するそのクラスC民間空港の空域への進入・離脱手順に慣熟させることに置かれていました。

飛行中、そのパイロットは、自分たちの部隊のある駐屯地の周辺と、そこから20マイル(約37キロメートル)離れたところに位置する約200平方マイル(約518平方キロメートル)の訓練地域の上空における航法を問題なくこなしているようでした。私は、飛行が順調に進んでいることに満足していました。飛行前点検に問題はなかったし、任務の分担も完了していたし、飛行計画は適切に処理されていたし、経路および飛行手順に関するブリーフィングもしっかりと行われていました。

ボブ(個人が特定できないように名前を変えています)は、この訓練の目的を理解しているし、教官操縦士以外の機長と一緒に飛行できることにやりがいを感じているとも言っていました。飛行中のボブは常に落ち着いており、操縦操作にも問題は見られませんでした。標準的な用語を使用し、管制要求を適切に行い、予備の航法手段を確保し、無線通信も適時に行っていました。飛行中のほとんどの時間は、ボブが操縦を担当しており、私は無線を担当して、周波数の変更、次の航法ポイントへのGPS設定の変更、航法機器の調整などを行っていました。

訓練地域の上空では、トランスポンダを一般的な有視界飛行方式において使用する1200に設定していました。訓練地域内での飛行の終了に伴い、私は、クラスC空域に向かう北側ルートの飛行を要求しました。航空間管制官は、標準的な手順に従い、「レーダー・コンタクト」を行っていることと、航空機の位置を強調表示するために必要なスコークと呼ばれるコード番号を通知してくれました。

その時も、私が無線を担当し、副操縦士が操縦を担当していました。私は、手を伸ばし、トランスポンダーの4桁の数字表示部の下にあるボタンを押し込んで、そのスコークを入力しました。その後、我々の注意は、機外に向けられ、飛行を継続しました。私は、クラスC空域への通常進入経路上にある地形地物について、ところどころで地点指示を行いました。そして、航空管制官から指示されたとおり、有視界飛行方式でチェックポイントへの経路上を進入し続けました。

航空管制からスコークを受領してから約5分が経過しました。その間、副操縦士は、330度の方位に向かって水平直線飛行を続けていました。無線と航法機器を再確認した私は、機外のクロスチェックを行いました。その時です。右席のボブに眼を移すと、そのヘルメット右上部分に暗い形が浮かんでいるのが見えました。この小さな空域を飛行しているのが私たちだけではないことに気づいた私は、「アイ・ハブ・ザ・コントロール」と発唱し、機体を左旋回しながら降下させました。操縦かんから手を離したボブは、外が見えるように座りなおすと、我々の機体から200フィート上空の10ローターしか離れていないところを白い小型セスナ機が飛行していることを確認しました。「ウワッ!見えていませんでした。」と彼は叫びました。

さて、問題はどこにあったのでしょうか? クロスチェック手順に問題があったのでしょうか? 恐らくそうなのです。確認行為に抜けがあったのでしょうか? 間違いなくそうなのです。心臓の鼓動が収まり、この危機一髪の事態に至るまでの過程を思い起こした私は、「なぜ航空管制官は、このトラフィックについて、通報してくれなかったのか」と考えざるを得ませんでした。

前かがみになって、トランスポンダーのコードを再確認すると、なんと、1つの数字がずれていることに気づきました。これで合点がいきました。たった1つの番号を確認しなかったことで、大変な危険にさらされてしまったのです。ボブは、目視で航空機を発見できなかったことに責任を感じていましたが、ヘリコプターの後部右側座席には、クルー・チーフも搭乗していました。しかし、乗組員の命を危険にさらした責任は、誰よりも、トランスポンダへの入力を誤り、その安全システムを無効にしてしまった私にあったのです。

その日以来、スコークが割り当てられた場合には、必ず他のパイロットに入力状態を確認させるようになりました。そして、飛行前のブリーフィングでは、次のことを明確に伝えることにしています。「副操縦士には、搭乗員訓練マニュアルに示されたとおり、各システムおよび計器のクロスチェックをしっかりと行ってもらいたい。私には、貴官の援助が必要なのだ」

訳者注:レディネス・レベルとは、パイロットの訓練練度の段階をいう。3段階に区分されており、レディネス・レベル3は操縦技術は修得しているが戦術的訓練は実施していないレベル、その上のレディネス・レベル2は特定の機種について操縦技術及び戦術を修得しているレベル、最上位のレディネス・レベル1は派遣を予定している地域の環境に適合した訓練を終了しているレベルである。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2021年02月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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